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死に戻りの公爵令嬢は、三度目の人生もひた走る!  作者: とり
第一章 武者修行

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20.魔術を学ぼう 次兄との距離

「おっと、今日はここまでのようだね。ほら、後見て」


ロズウェルが指で示した先には片手に沢山の書類を抱え、もう片方の手を必死にブンブン振り回している人達がいる。しかも少し涙目である。


ロズウェルが分かったと言うように頷くと、握り拳を頭上に上げて大喜びだ。


「明日、リリアナには『黒鳥』を紹介するね」


確か『黒鳥』はロズウェル直下の王宮魔術師団特殊部隊の別称だったはず。



ふと時刻が気になって窓の外️を見るともう茜色の夕焼け空だ。


色々な情報が飛び込んできて精神的に疲労困憊である。

こんな時には普段とは違う、何か気晴らし、気分転換がしたい。


(そうだわ。ブライアンお兄様の薄毛も気になるし、会いに行きましょう)


この棟の隣、騎士訓練場では次兄ブライアンが夕食前の自主鍛錬に精を出している頃だ。


ついでに胸を借りて手合わせできたらと思う。


何せこれからの事を思うと、全力の真剣勝負である。出し惜しみしていたら、三度目の『芋』になってしまう。


残りのお茶をクイっと飲み干し、「馬車の手配をさせよう」というロズウェルを止めた。


「いえ、ブライアンお兄様にお会いしてから帰ります。少し後ろを向いていただけますか?」


「えっ、なんで? まあ、いいか‥‥」


後ろを向いたのを確認して、魔法で服を変えてから、ロズウェルに声をかけた。


「えっ、何それ? 冒険服? 一応、ここは高官の執務室がある棟だよ。そんな格好してると不審者扱いで捕まるって。もうー、護衛付けるから一緒に行って」



そう、ロズウェルの心配した通りになってしまった。高官の執務室が並んでいる棟では二度、騎士訓練場近くで一度、結局三度も身分確認で足止めされた。その度にロズウェルが付けてくれた護衛さんのお世話になっている。


棟と棟の間を進むと開かれた広場に突き当たる。ここが訓練場だ。公式訓練場ではなく自主訓練場として利用されているそうだ。


見回すとそこには十数名の騎士が夕陽に染まりながら、銘々、剣の素振りなどに取り組んでいる。


夕焼けの黄金色を反射して、一際輝く銀髪の男がいた。たくましい筋肉の立派な体格、凄腕剣士とも呼ばれる次兄ブライアンだ。



子供の頃、私は刺繍や読書が好きだったのもあって部屋にいることが多かった。逆に三歳年上のブライアンは剣の練習を好んで訓練場に入り浸っていて、話が合わない以前にあまり会うことがなく、気が付いたら自然と距離ができていた。


ブライアンが学院を卒業するとすぐに寄宿舎住まいとなり尚更だ。二度目の人生でも自分のことだけで精一杯で、ブライアンとの距離は縮まらなかった。


今回は仲良くできたらとの想いを胸に、気分転換と剣の練習を兼ねて会いにきたのである。


「これが冒険者旅行記にあった『剣で語り合う』よね」


ロズウェルの付けてくれた護衛に声を掛けて、訓練用の剣を用意してもらう。


「ブライアンお兄様!」


声をかけると弾かれたようにこちらに顔を向け、射るような鋭い目が段々と眇められていく。殆ど目を瞑るぐらいまでに眇めたと思ったら、慌てふためいたように声を上げた。


「ひょっとして、リ、リリアナか?!」

「ええ、ブライアンお兄様。手合わせをお願いしたく参りました」


「あ? 参りましたって、その格好はなんだ?! てっきり不審者だと思ったぞ!」


ブライアンも入れると四度目の不審者扱いである。


「それに、手合わせって———」


ブライアンの大声に訓練場の騎士が集まり始めた。

これはさっさと手合わせして屋敷に戻った方が良さそうである。

先ほどの護衛からサッと訓練用の剣を受け取る。


「よろしくお願いします!」

視線を逸らさず、真剣な面持ちで立礼をする。


え? ひょっとして、かかってくる?、と戸惑った顔をしながらも一応構えているブライアンだが、予想していた通り隙がない構えに威圧感が凄い。


感覚を研ぎ澄ませて先に仕掛ける。


腰を落として、まずは胴を狙って左からの左一文字。

ブライアンが後ろに飛び下がった。


勢いよく踏み出し、右上から左下へ袈裟斬り。

当たり前のように剣で躱される。


そこから連撃の激しい打ち合いが始まった。

一合、二合、三合、四合、五合、激しい剣戟を繰り返すも、隙を探すが見つからない。


身体強化はしているが、一撃一撃が重く腕がキーンと痺れる。


一度払って、後へ下がる。


とんっと地を蹴り、上から真向斬り。

それからはどう動いたか記憶にない。高揚感に飛び、跳ね、舞う。


わくわくと心躍るようで自然と顔がほころぶ。


そして、気が付いたら、巻き落としで剣を弾き飛ばされていた。


(くぅ、負けてしまったわ‥‥。でも楽しかった)



「悔しいですけど、負けましたわ。流石ブライアンお兄様、お強いです。また、手合わせをお願いできますか?」


「あ? ああ。また、来い」


ブライアンが頭の後を照れたように撫でている。


いい気分転換になったし、ストレス発散にもなったしでいい事尽くめである。ブライアンに挨拶をしてから、屋敷へと戻った。



「あっ、髪の薄毛、確認するのを忘れてたわ」

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