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死に戻りの公爵令嬢は、三度目の人生もひた走る!  作者: とり
第一章 武者修行

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19.魔術を学ぼう 時間遡行と加護

転移で戻るとロズウェルは体を投げ出すようにどかっとソファに座った。


「色々と雷を受けたような衝撃だったよ。もう、駄目だ、疲れた。甘いものが食べたいっ」


そこで、ひと休憩入れたのだが、紅茶を啜りつつ先程から眉間に深い皺を寄せて長く考え込んでいるように見える。


両手の指を合わせるように何度かぽんぽんと繰り返して、話す覚悟が決まったかのように顔を上げた。


いつもの砕けた雰囲気はなりを潜め、ロズウェル第二王子の顔だ。



「‥‥先程の魔法もそうだけど、祝福について思案していたんだ。祝福は加護とも言われている。王族血筋に加護を与えられた‥‥なら、未来に希望が持てると。


私の死にもど、『芋』の話はしてなかったね。驚かないで聞いてほしい。リリアナがウィルソン辺境伯領地へ旅立った後に王都が急襲されたんだ」


「———っ!!」


二人とも『死に戻り』にはトラウマがあるので『芋』呼びを継続しているのだが、いつもの冗談にしては酷すぎる。説明を求めるようにロズウェルの目を見ると真剣な眼差しを返してきた。 


「私もリリアナと同じくで二年、二度『芋った』事は伝えたね」


「ぷふん、ごほっ、ごほん」


こんな時に、こんな時だからだろうか。眉根を寄せた真剣な顔での『芋った』にやられてしまった。踏ん張って鼻先で止める。



「一回目、私は黒鳥、特殊部隊と共に地方にいたんだ。王都敵襲との緊急連絡で司令拠点に転移で駆けつけた。そこで『既に王宮は壊滅状態にあり、王都は陥落。民も惨たらしく殺されている』との報告を受けていた所までは記憶にある‥‥。


憶測でしかないけど、あの後すぐに何らかの形で殺害されたか、もしくはリリアナの死との関連があるのかもしれない。


私の生死の如何はともかく、既に王都陥落だ。その後はきっとノーエル王国の滅亡、そして他国の一部になっただろうね」


先ほどから、ぎゅっと、強く握りしめた拳は微かに震えていた。王族として重い責務を背負い立つ、ロズウェルの胸中を察するに余りある。



そして、突然の二年戻って二回目の人生の始まりには大いに困惑して倒れそう‥‥実際倒れたと言う。


「もう、あの時は魔術に没頭しすぎて白昼夢でも見たのか、それとも気でも触れたのかと思ったよ。『芋った』証明ができるモノも一切ないし」


当時を思い出したのか、弱りきったように眉を寄せたロズウェルの話にうんうんと頷く。全くその通りである。あれは孤独との戦いだった。でも、もう一度やり直せることの嬉しさを噛み締めた。



「えっと、とにかく、二回目ね。二回目は秘密裏に綿密な策略を巡らせたよ。できるうる限り、全ての事をね。


あの時点では敵国が判明していなかったから、暗部統括の指揮権をもらって、王国内も隣国もどんな些細な情報や動向も諜報員達に調査させたし、監視もさせた。悪い芽も摘んだしね。


あの因縁の月は予め陛下と王太子殿下を視察の名目でデルネス神聖国に向かわせた。なんて言っても神聖国は安全だからね。


そして王都には訓練と称して王宮魔術師団と騎士団を配置し、更に結界魔術を行使して防衛に全力を尽くしたんだよ。全て無に帰したけど‥‥」


そこまで一気に話終わると、ロズウェルは深いため息をついて目を伏せた。



「リリアナ、敵はマルネス帝国だったよ。あの国は魔導士の国だ。新たに開発した魔導具らしきモノを巧みに使い、見たこともない攻撃魔術で王都を攻め滅ぼした」


マルネス帝国とはノーエル王国の北西に隣接する国で、優秀な魔導師や魔導具で有名な国だ。


「三回目、今回だね。攻撃は最大の防御の心構えで行くよ。こちらからはどの国にも侵略するつもりはない。ただノーエル王国に侵略する芽が少しでもあれば即叩き潰す」


この時ばかりはロズウェルの瞳の奥に強い敵意が燃えていた。



「‥‥ロズウェルお従兄様。その二回目に、わたくしは学院の文官科に通っていて、王宮にもよく顔を出していましたが全く知りませんでしたわ」


「君のお父君はご存じだったよ。王宮の中にも間者が入り込んでいたから、すべて秘密裏に準備していた。実際王国内の貴族にも帝国と手を組んた裏切り者達もいたしね。暗躍している他国の影もあった」


少し躊躇うような間を置いてから、ロズウェルが続けた。



「リリアナ、私はウィルソン辺境伯当主を疑っている。二百五十年前に荒廃するまでは独立した主権に軍を持つ独立国だったのもあって軍事力が強く、こちらの諜報員も長期で潜り込ませることができていない」


なんでも長期だとそれだけ監視の目に晒される機会も増えるので、発見される可能性が高いそうだ。


「それに帝国に隣接しているだけでなく、五代前には帝国の第六皇女がウィルソン家に嫁入りしている。現当主である辺境伯もマルネス帝国皇族血筋の象徴とされる黒髪の持ち主でもあるからね。どうしても訝しく思ってしまうよ」


そこまで一気に話すと大きくため息を吐いた。


「既に前々から国王陛下はウィルソン辺境伯を危険視して、王族血筋のリリアナとの婚姻を取り決めたんだよ」



もしもの可能性に喉がひりつくように渇くので、紅茶で潤した。


「それは‥‥わたくしを殺害した襲撃者達が、辺境伯当主の手の者でもあり得ると言う事でしょうか」


「そうだね。でも辺境伯自身でなく、婚姻を良く思わない派閥の者達かもしれないし、もしくは全く関係ない誰かの謀略かもしれない」


なんてこったである。婚姻の為とはいえ、王都から辺境伯領地へ向かったが、災いに向かって飛び込む「飛んで火に入る夏の虫」だったのだろうか。



ロズウェルは一旦話を切って、頭に浮かんだ考えを整理するかのようにゆっくりと話し始めた。


「『祝福』は国神狼様の御加護かもね。指輪は時の加護、外套はさしずめ防御の加護、そして賢者の本は叡智の加護だろうか。


 指輪の”時の力を汝へ授け、世に祝福を”


国は滅ぼされた。だが、私達は戻り、四年の記憶と知識、それに経験もある。

国を、大事な者を、救う機会を頂いたと‥‥思うんだ。リリアナはどう考える?」


真剣な面持ちで真摯に意見を求めるロズウェルに応える。


「これからお従兄様とわたくしがどう立ち回るかで未来が変わるかと。荷は重いですが、一人では無理でも、力を合わせれば抗うことができるのではないかとも考えます」


ニ度殺された恨みは深い。思い出すたびに鼻息荒く、怒り炸裂である。



ロズウェルはニヤリと悪い笑みを浮かべた。


「よし、ならこれからの事を少し話そうか—————-」

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