第3話 ギャル・リョーコの家庭訪問
朝のホームルーム。
さっちゃん先生は出席簿をパタンと閉じて言い放つ。
「さて今日のターゲットは、“リョーコ”。 家庭訪問、決行よ」
教室がどよめく。
アツシ「え、マジ? あそこ行くの命知らずだぞ先生!」
ポヨン「こ、こわい人いっぱい…」
リョーコ「来んなっつってんだろ! あたしん家、猫の額よりせまいんだよ!」
さっちゃん、ニヤリ。
「ちょうどいいわね。猫の額でも、教育はできるのよ」
リョーコの家:夕方
古びたアパートの一室。
狭いリビングに、ランドセルを背負った妹たちが3人。
妹A「お姉ちゃん、カップ麺のお湯、まだぁ~?」
妹B「プリントなくしたー!」
妹C「テレビうるさーい!」
さっちゃん(目を丸くして)
「……家庭訪問っていうか、戦場ね」
リョーコ(エプロン姿で髪を結び)
「何笑ってんのよ先生。ウチ、こんなもんよ」
さっちゃん、袖をまくって台所へ。
「よし、カレー作るわ。教育は胃袋からよ!」
リョーコ「はぁ!? 教師が台所入ってんじゃねーよ!」
さっちゃん「静かに。今、玉ねぎが泣いてるの。アンタの代わりにね」
リョーコ「泣いてねーし!」(※だがちょっと目が潤む)
カレーを混ぜながら
さっちゃん「アンタね、優しさ隠すの上手すぎるわ」
リョーコ「……バカにしてんの?」
さっちゃん「逆よ。優しさを隠す子ほど、強くなれるの。」
リョーコ、しばし無言。
カレーの湯気にかすかに笑みが浮かぶ。
妹C「お姉ちゃん、このカレーおいしい!」
リョーコ「ま、まあ…先生がちょっと手伝っただけだし」
さっちゃん「“ちょっと”ね(※実際は全部作った)」
◇◇◇
翌日:教室
ホームルーム中、リョーコがいきなり立ち上がる。
「アタシ、妹たちのためにちゃんとやる!立派な姉ちゃんになる!」
教室「おおお!?」
アツシ「マジか…リョーコがまともなこと言った…!?」
ポヨン「リョーコさん、尊敬です!」
リョーコ、顔を真っ赤にして怒鳴る。
「うっせーバカども!調子乗んなぁー!」
そして
「センコー、うっせーんだよ!」
と、さっちゃんに向かって叫び、教室を飛び出す
教室が静まり返る。
ボソッとアツシ「……素直になれねぇ病、発症したな」
ポヨン「重症です…」
さっちゃん、窓の外のリョーコの背を見ながら微笑む。
「……成長期って、ホントめんどくさいわね」
でもその目は、確かに誇らしげだった。
さっちゃんナレーション
「人の心はね、急には変わらないの。
でも、“カレー”と“優しさ”は、煮込めばちゃんと味になるのよ。」
『3年ONI組、今日もスパイス効いてます。』




