19.魔鉄とマッスルさん
今日も《First Fantasy》にログインしていく。
いつものように孤児院に赴いて干し肉をもらったのだが、ヴィーゼルに鉱石をあげてなかったことを思い出す。どうやって食べるんだろう。
「タコちゃんとペティは干し肉、ヴィーゼルには鉄鉱石をあげるね。」
そう言って、タコちゃんとペティには干し肉を、ヴィーゼルには鉄鉱石を与えた。するとヴィーゼルの顔のバイザー部分が開いて鉱石を1個中に取り込んだ。そのあとにガリガリと音がして、どうやら食べているみたいだ。
今日も魔物鉱山へ来た。昨日の感じだとMPに気を付けていれば31階層までは余裕を持っていけそうだった。故にMPポーションを購入し、採掘はせずに敵を倒しつつ次の階層へ向かうことにした。
順調に敵を倒して坑道を駆け抜けていたら、28階層を進んでいた時に見たこともないモンスターに遭遇した。メタリックな色合いをした、つやがある球体。《金属スライム》である。古の某ゲーム見たく経験値をいっぱい獲得できるのかな?
「ファイアランス!」
「アクアランス!」
僕とタコちゃんが二人で魔法を放ち《金属スライム》を倒す。逃げられるわけでもなく、倒しにくいわけでもなく、簡単に倒せてしまった。やっぱり魔物鉱山のモンスターは属性攻撃に弱いみたいだ。
《金属スライム》を倒してみたが、経験値、所持金ともに大きく変わることはなかった。しかし、ドロップ品が鉄鉱石×10個であった。《金属スライム》は鉱石を多くドロップするボーナスモンスターだったんだろうな。
思わぬ収穫もありつつ、今回の目的は魔鉄なので引き続き31階層を目指して探索していく。とわいえ《金属スライム》を見逃すのももったいないので、道中目を光らして下へと進んでいく。
モンスターを倒しながら、坑道内を突き進むこと数十分、ようやく31階層にたどり着くことができた。
31階層にたどり着いたので採掘を始めるのだが、今回は前回とは違う方法で採掘してみようと思う。その方法とは僕とタコちゃんがモンスターの露払いをして、ペティとヴィーゼルが採掘をすることである。
魔物鉱山のモンスターは魔法に弱いので僕とタコちゃんが担当し、魔法攻撃できないペティとヴィーゼルが採掘を担当する。事前に確認したら「任せてくださ~い♪」と言っていたし、そのためにつるはしも2個買ってある。
早速鉱脈にペティとヴィーゼルが構え、左右から僕とタコちゃんはモンスターが来ないか見張る布陣を整え、モンスターに備えつつ採掘をする。
ついに“魔鉄鉱石”を手に入れた。魔鉄鉱石は鉄鉱石に似た色合いをしているが怪しい薄紫の光を放っている。装備使用分以外はヴィーゼルのおやつかな?
2匹で採掘していたからなのか、僕より筋力の数値が大きいからなのか、前回の採掘より時間がかからなかった。1つの鉱脈でこれなら前回の2倍くらいは鉱石を掘ってもいいな。
鉱脈はそこら中にあるので、僕たちはどんどん魔鉄を採掘していく。途中モンスターが出てくるが目新しいのは《アイアンゴーレム》が薄紫色に発行した《マギアイアンゴーレム》がいるくらいだった。しかし、ドロップ品は《跳ねる原石》であっても魔鉄に変更されていた。
モンスターに邪魔されながらも採掘はスムーズに進み、62個の魔鉄が手に入ったので魔物鉱山から出ることにした。これでペティの装備を安く更新できるし、当面のヴィーゼルのおやつも確保できたぞ。
マインに戻ってきた僕たちは、セントラルの《ソロソロ》のクランハウスを訪ねることにした。なぜかというと生産職である《ブラックスミス》の人を紹介してもらうためである。《ブラックスミス》はその名の通り鍛治師である。
生産職は初め《スミス》から始まり、取得したスキルに応じてJOBチェンジにより特化職になるのが主流である。いろいろ作りたい人は《スミス》をJOBアップさせる。
ロゼッタさんに連絡をとり、了承を得られたのでセントラルのクランハウスに向かった。クランハウスに入り、応接室に向かうとすでにロゼッタさんと1人の男性が待っていた。浅黒い肌に、頭にタオルのようなものを巻いたマッチョな男性だ。
「すいません、待たせましたか?」
「いや、それほど待ってはいないよ。」
僕が詫びを入れると、ロゼッタさんがフォローをした。
「本題に入ろう。彼がブラックスミスの“マッスル”だ。」
「うっす!よろしく!キッド君!」
「よ、よろしくお願いします。」
大きな声であいさつされて、その圧力に少し慄いた。
「すげー筋肉だな~。」
「おっ、わかってくれるかタコの人!」
「タコちゃんな!」
タコちゃんが筋肉を褒めると、マッスルさんは喜んでいた。VR空間だけどうれしいのかな?
「それでなにを作ってほしいのかな?」
「えっと、このうさぎの、ペティって言うんですけど、剣と盾と胴鎧をお願いしたいですね。」
「鎧は“重鎧”と“鎧”の二種類あるがどっちだい?」
「鎧の方でお願いします。」
金属を使った装備を使うのはペティだけだから、剣と盾と鎧を注文した。
マッスルさんはさらに質問を続けた。
「素材はあるのか?」
「魔鉄があります。」
「石炭を持っているか?魔鉄と混ぜることで魔鋼になる。少々値は張るが魔鉄より性能はよくなるぞ。値段は剣が5万5000、盾が3万、鎧が5万ってところだ。」
なるほど、鋼があるなら魔鋼もあるか…。少し迷ったが魔鋼で装備を作ってもらうことにした。
「それじゃあ、魔鋼でお願いします。」
そう言って、僕は素材をマッスルさんに渡した。
「よし!明日までに仕上げるからフレンド登録しよう。それで個人間の取引ができるようになる。」
「わかりました。よろしくお願いします。」
僕はマッスルさんとフレンド登録をして、クランハウスを後にした。
今日は魔物鉱山で目的を果たせたし、装備の注文もできたのでログアウトすることにした。
ログアウト前に孤児院に寄って肉の納品をしたのだが、手持ちの肉の在庫がなくなってきたので次回は《北の高原》に行こうかな。
読了ありがとうございました。
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