18.オウルハーピーと魔物鉱山
今日はログイン早々、クラン《ソロソロ》のクランハウスに来ていた。知りたい情報があって足を運んだのである。僕が知りたい情報とはドラゴンの卵についての情報である。
ドラゴンの卵は、《ワイバーン》からのドロップ品で調べたところ約0.1%で落ちるレアアイテムらしい。ボスモンスターとは何度でも再戦できるが《ワイバーン》を周回しようとは僕は思わないな。面倒くさいからね。
話がそれたが、今回はドラゴンの卵の孵し方の情報がないか聞きに来たのである。
クランハウスの応接室——初めにロゼッタさんと話した部屋——のソファーに腰かけていたら、ロゼッタさんがやってきた。
「いや~遅れてすまない。キッド君。」
「いえ、早めに来ただけですから。」
ロゼッタさんが対面のソファーに腰を下ろした。
「それで聞きたいことがあるんだったね。」
「はい。実はドラゴンの卵を手に入れたんですが。孵し方がわからなくて。」
「なるほど。また珍しいものを手に入れたね。しかし孵し方か…。」
「難しいですかね?」
「結論から言うと孵し方は調査中だ。だが、モンスターの卵を孵すことはできるらしい。」
「なるほど?」
「セントラルに図書館があってね。そこのテイマーに関する文献の特殊なテイム方法に、卵を孵して従魔にするという記述があるらしいんだよね。」
へぇー、面白そうな文献があるんだな。暇があったら見てみるのもいいかもな。
「ごめんね、わざわざ来てもらったのに大した情報なくて。」
「いやー、まぁそういうこともありますよ。」
ロゼッタさんに謝られてしまった。ドラゴンの卵については何かわかったら連絡をしてもらうことにして、今日は解散となった。
クランハウスを出て僕は少し手持ち無沙汰になったので、街をぶらつきながら思考を巡らせていると、不意に声をかけられた。
「キッド殿、お久しぶりですな。」
ウオタクさんだった。ただいつもと様相が違っていた。いつも一緒にいたフクロウ型のモンスター《オウル》がいない。代わりに羽毛に全身を覆われた女の子が隣にいた。大きなきれいな目に、ミミズクのような羽角、両の腕はもはや手ではなく翼であり、まさにフクロウを模した鳥人である。
「ウオタクさん、隣はNPCではないですよね。」
「コノハはモンスターだよ。」
うお、しゃべった!やっぱり人型モンスターはしゃべるんだ!というか“コノハ”って名前だったのか。かわいらしいね!
「いや~、自分もキッド殿の真似をしてセントラルの孤児院にてモンスターと子供たちの交流を図っていたら進化しましてな。《オウルハーピー》という種類ですな。」
「なるほど。僕もペティが進化しまして、《ウォリアーバニーガール》になりました。」
「ふむ、やはり進化条件に“複数のNPCやプレイヤーと友好的であること”というのはありましたかな?」
「ありましたね、人型になるための必須条件とみていいでしょうね。」
「そうですな。」
話が途切れて話題が変わる。
「ところでキッド殿はこの後どうされるんですかな?」
「そうですねどうしようか迷っていますね。いま鉱山都市マインに到達してますけどおすすめありますかね。」
「ふむ、では“魔物鉱山”をおすすめいたしますな。」
「魔物鉱山?」
聞いたこともないので、尋ねてみた。
「魔物鉱山は全100階層からなるいわばダンジョンで、特徴としては階数イコール推奨レベルであること、10階ごとに採掘できる鉱石が違うことがあげられますな。」
「へーよさそうですね。」
「レベルも無理なくあげられるし、機械系の従魔に食べさせる鉱石を集められるのでキッド殿には一石二鳥ではないでしょうか。」
「いいですね。行ってみることにします。」
ウオタクさんと別れて早速マインにワープした。道具屋でつるはしを購入し、魔物鉱山へ向かった。
魔物鉱山はマインの北西にあり、プレイヤーが採掘できる唯一の鉱山である。マインには採掘場自体は結構あるがどれも住人のものでありプレイヤーが近づくと番兵に止められる。なぜ魔物鉱山では採掘できるかというとモンスターが出てくるからである。故にたとえ鉱脈があってもNPCからは放棄されているのである。
魔物鉱山に入るときに重要なのはレベルで、初めて入るときでも自分のレベルと同じ階数下に侵入することができる。さらに、階層を攻略していけば自分のレベルより大きい数字の階層の探索も行うことができる。
現在僕のレベルが25なので25階層から侵入して31階層を目指そうと思っている。なぜなら、31階層からは魔法金属である魔鉄が採掘できるからである。21~30階層では鉄と石炭が採掘でき、31~40階層では魔鉄を採掘できる。魔鉄を材料にして装備を作ると部位ごとに《筋力アップ》などの有用なエンチャントがつく。需要が高く自分で使ってもよい。そんな金属が魔鉄なのである。
魔物鉱山についたので早速中に入っていく。魔物鉱山の中は入り組んでいてまさに坑道といった様相である。
「みんな採掘するから、周り警戒お願いね。」
「はいよ!」
「わかりました!」
「キュィィィィィン!」
ヴィーゼルの食べ物も欲しいし、お金にもなるから鉄と石炭も積極的に採掘していく。
そうしてしばらく採掘しているとモンスターが現れた。大きめの岩のようなモンスターで、飛び跳ねて近づいてきた。種類は《跳ねる原石》というらしい。
「ファイアランス!」
「アクアランス!」
先手必勝!戦闘になったら、接近される前に僕とタコちゃんが魔法をぶち込んだ。堅そうだったから魔法で攻撃してみたのだが、《跳ねる原石》は体力を失って消滅した。
《跳ねる原石》のドロップ品は“鉄鉱石”だった。これは階層ごとに《跳ねる原石》の
ドロップ品も変わりそうだな。
その後も探索しながら採掘を続けていると、新たなモンスターと邂逅した。《アイアンゴーレム》だった。以前戦ったボスモンスター《ブロンズゴーレム》に似ているが、それよりはるかに小さく、狭い坑道の中でも存分に戦えそうだ。
「ファイアランス!」
「アクアランス」
僕らは魔法による攻撃を繰り出す。《ブロンズゴーレム》も魔法が弱点だったしね。魔法攻撃を2度ほど放てば、《アイアンゴーレム》は光となって倒れる。ドロップ品はやはり鉄鉱石だった。このダンジョンは徹底的に鉱石素材のための場所らしい。
モンスターを撃破しつつ、採掘しつつ、次の階層を目指した。敵のモンスターの弱点が属性攻撃なので、特に苦戦することもなかった。JOBアップで《マジカルテイマー》になったのも効いているかもな。
そうこうしていると、26階層にたどり着くことができた。きりもいいし今日はゲームをやめようかな。魔物鉱山はいつでも外に出ることができ、次に探索を再開するときも到達階層から始めることができる。
魔物鉱山から脱出した僕たちはファーストにワープし、孤児院に寄ってログアウトした。
読了ありがとうございました。
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