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護衛は必要ありません。私は暴風令嬢ですから!  作者: 夏風
第2章 暴風は治まらない!
40/61

第40話 私は隣国へ旅行に行きます

長く更新していませんで、申し訳ありません。

 野外学習の騒動も一件落着し、フレイスリアは無事にフレデリカたちと合流することができた。

 一緒に崖から落ちた三人の令嬢は謝罪をしながら、何故か気恥ずかしそうにモジモジとしていたことに、フレイスリアは疑問符を浮かべる。

 その様子を見ていたフレデリカが「またあなたに懸想するのが増えたわね」とか、ピアローゼが「フレイの魅力は隠せないからね」とか、よくわからないことばかり言っている。


 この後、フレイスリアたちが大目玉を食らったのは言うまでもない。

 ただ、この一件、フレイスリアは巻き込まれた側であり、しかも、一緒に落ちた彼女たちを介抱し、世話を焼いただけでなく、一人で魔物の群れに立ち向かって守り抜いた。

 それにも関わらず、『連帯責任』という言葉で片付けられ、お叱りを受けなければならないことが腑に落ちない。


 ――解せない。


 そんな仕打ちに彼女は不満たらたらだった。

 不満はあったのだが、報せを受けて駆け付けていた家族が彼女たちの無事を喜び、抱きしめ合う光景を前にして、そんなのは些細なことに思えた。


「まっ、いっか」

「何がいいのかな?」


 フレイスリアは自分の中の不満がどうでもいいことのように思え、不意に口から言葉が漏れる。

 それを拾ったレオナルドに突然問いかけられ、小さく吃驚して彼を見た。

 レオナルドの顔は笑っているが、強い圧を感じる。


 ――やばい……レオナルド様、怒ってる。


 圧を放ちながら詰め寄って来るレオナルドの背後にアーサーがいるのを見つけ、フレイスリアは咄嗟に兄に声をかける。


「アス兄様! こんなところまで来てくださったのですか?」

「……」


 フレイスリアは、妹の無事な姿に喜ぶ兄と対面――なんて都合の良い展開を期待し、この空気を有耶無耶にしようと目論むが、何故かアーサーは彼女から目を逸らした。

 あてが外れたフレイスリアの肩に手が置かれる。

 併せて感じる気配が強くなったことに、さすがの彼女も冷汗が頬を伝う。


「フ・レ・イ?」


 レオナルドの凄みを利かせた不穏な笑みに気圧され、フレイスリアは乾いた笑いをすることしかできなかった。


 ――何はともあれ無事だったんだから、大目に見てくれればいいのに。


 レオナルドだけでなく、彼の後に両親からもこってりと絞られた彼女は、溜息交じりにそんなことを思うのだった。


 ―――――――――――――――


 それから月日は流れ、一学年が終わってフレイスリアたちの学校生活は二年目に突入した。

 フレイスリアは今日も軍事科で教練に励み、自身を高めることに余念が無い。

 そして、そんな彼女に感化された同じ学科の同級生たちも研鑽を積み、その力を大きく伸ばしていた。特にフレイスリアと組む機会の多いアーロンの成長は著しく、また、意外にも彼女は人にものを教えるのが上手い事もあって、このクラスは既に様々な方面から注目を集めている。


 ここで勘違いをしないでほしいことがある。

 フレイスリアは教えるのが上手いと言ったが、それはあくまで戦いの技術に関することである。決して、政治や経済などの勉学ではないことに注意してほしい。

 勉学も軍事に関することであれば、優秀なのだが。


 教練を終えたフレイスリアの元にレオナルドが訪ねてきた。

 手には何やら手紙らしきものを携えている。

 それが何かは気になるが、礼を失するわけにはいかないので、カーテシーをしようとすると、レオナルドに制止された。


「フレイ、堅苦しい挨拶は不要だよ」

「恐縮です」

「他を待たせているから来てくれるかな」


 レオナルドはそう言って手をフレイスリアに差し出す。

 エスコートの申し出だ。


 ――私のような脳筋で可愛げのない女に気を遣わなくてもいいのに。


 微笑を浮かべながら自分に手を差し出すレオナルドを見て、そんなことをフレイスリアは思っていた。

 しかし、エスコートを無下にしては不敬にあたるので、手を取らないと言う選択肢は無い。

 それに彼女自身も満更でもない。それどころか嬉しくて胸の真ん中が温かくなる。

 こんな自分を女性扱いしてくれるレオナルドに感謝の言葉を伝える。


「ありとうございます」


 レオナルドの手を取るフレイスリアの顔は、薄っすらと赤く色付き、とても穏やかな表情をしていた。


 そうして、彼に案内された部屋には、他の公爵家の令嬢が集まっていた。

 全員、レーヴェリアンの婚約者候補として名を連ね、一時期はよく茶会などで集まっていたが、現在はその機会に恵まれずにいる。

 そのため、こうして五人が一堂に集まって、顔を合わせたのは久しぶりのことだった。


「さて、これから君たちに集まってもらった理由を説明する」


 レオナルドから理由を聞かされた。

 自国アスタリオとの友好国であるプロキオンから便りが届き、そこにはレオナルドやレーヴェリアン、五公爵家の令嬢を招きたいとあった。

 しかも、差出人はアナスタシア王女からのものであり、これを断ることは国同士の関係に少なからず影響を与えかねない。


 フレイスリアは情勢に悪影響を及ぼすわけにはいかないと嘆息する。

 気乗りしない彼女だったが、この後にレオナルドの「プロキオンで武芸大会が開催される」という言葉を聞き、目を輝かせたのは言うまでもない。

ご覧いただき、ありがとうございます。

しばらく、更新するのが遅れますが、今後ともよろしくお願いいたします。

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