第35話 フレデリカは裏で画策する
フレデリカ視点です。
フレデリカは自室で手紙をしたためながら、フレイスリアの事を思い返す。
まったく、毎回、可愛いと思っているけど、さすがにここまで来るともどかしいわね。
フレイのレオナルド様に抱いている感情は、明らかに恋慕のそれなのに、あの子ったら何かにつけて認めようとしないのよね。
それとも、本気で勘違いしているのかしら? その線もあり得るわね。
フレデリカは手紙を封筒に収めて封をすると、呼び鈴を鳴らす。
すると、すぐにメイドがやってきた。
「お呼びでしょうか、お嬢様」
「これをレイクイン大公家宛てに出してちょうだい」
「かしこまりました」
後日、私は街中にある喫茶店で優雅にお茶を楽しんでいた。
ここは高位貴族御用達のお店で、どれも一級品が出てくる私のお気に入りのお店だ。
そこにある男性が私を訪ねてくる。
「やあ、フレデリカ嬢」
「ご機嫌麗しゅうございます、レオナルド殿下」
レオナルド様が先にテーブルに着いていた私の正面の席に座る。
彼が席に着き、一拍置いてからウェイターが注文を取りくると、適当な飲み物を注文した。
運ばれてきた飲み物に一口付けたレオナルド様は、テーブルに両肘をついて顔の間で手を組むと、私を真っ直ぐに見る。
「それでフレイに関係する用件とは何かな?」
「殿下におかれては、色々とアプローチをしているようですが、成果が芳しくないと思いまして」
「そんなことはない……と言いたいところだが、実際はその通りだ。歯痒い限りだよ」
素直にお認めになるなんて……実に好印象だわ。
やっぱり、少し……いえ、だいぶ軍事に思考が偏っているフレイには、彼のような人の方が釣り合いを取れる。
それにレイクイン大公家とリーシュベルト公爵家は、縁も浅くないし、条件としては申し分ない。
私はレオナルド様とフレイの相性を、家同士の関係や性格面まで考慮してかなり良いものだと結論付けた。
「フレイは良くも悪くも、幼い頃から軍事に関することばかりに興味津々でしたから、色恋沙汰やゴシップなどには疎いのです」
「確かにそれは見ていてわかる。だが、そんなところも好ましい」
レオナルドはどこか幸せそうな表情を浮かべている。
あらあら、端正なお顔が緩んでしまっていますよ。フレイの姿でも思い浮かべているのでしょうけど。
これは思っていた以上に心を奪われているようですわね。
そんな彼の様子を見てフレデリカは心の中で笑みを浮かべる。
「つきましては、殿下のお力をお借りできればと思いまして」
「何かな? フレイのことかい?」
「もちろん」
「それならば、可能な限り力を貸すことを約束しよう」
「ありがとうございます」
この後、フレイへのプレゼントを選ぶため、レオナルド様とアクセサリーショップなどを見て回ったが、どうやら、その姿を彼女に見られていたらしい。
誤算ではあったが、それに対するフレイの反応は上々だった。
何と言っても、レオナルド様が私と一緒にいるところを見て、やきもちを妬いたのだから。
まあ、彼女自身はその気持ちが何なのか、まだよくわかっていない様子だったが。
私はこのことを早速、レオナルド様に伝えることにした。
きっと、彼も喜ぶことだろう。
それにこの事実があれば説得も容易になるかもしれない。
「まあ、別に私はあの方の事、そんなに嫌いじゃありませんからね」
フレデリカは空に向かって独り言を呟くと、レイクイン大公家へと向かうのであった。




