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護衛は必要ありません。私は暴風令嬢ですから!  作者: 夏風
第1章 公爵家の暴風令嬢!
17/61

第17話 私は少し気ままに過ごしていました

2500PVとユニークが500を超えました!

いつもありがとうございます<(_ _)>

励みになっております!

 時は流れてフレイスリア・リーシュベルトは10歳になっていた。

 8歳の誕生日から数カ月にわたり続いた嵐のような出来事が嘘のように鳴りを潜め、穏やかな日々が過ぎていった。

 定例教育やお茶会の頻度も教育の進捗や王家と令嬢の関係進展から頻度が見直され、半年ほど前から以前ほど登城する機会は無くなっている。

 おそらくこれにはレーヴェリアンの貴族学校入学のことも関係しているのだろうと彼女は考えていた。


 ――殿下も護衛がなんて言った日から嘘のように静かで、必要以上には関わってこようとしないし……


 なにはともあれ、自由な時間が増えた彼女は周りに隠れて『フィリア』と名乗り冒険者登録をし、自身の鍛錬と気晴らしを兼ねて時折、冒険者として活動していた。

 まさに趣味と実益を兼ねるとは彼女にとってはこのことだ。

 人の役に立って自分も鍛えられ、報酬も得られて良いこと尽くめだ。


 しかし、公爵家の令嬢である彼女は冒険者ギルドに出入りするだけで注目の的になるだけでなく、齢10歳に満たない幼い少女の彼女では冒険者登録をすること自体が難しかった。

 そのため、頭部を含めた全身をすっぽり覆うフルプレートアーマーを異相力で錬成し、正体を隠すことにした。

 これなら脚絆の足底を盛って背丈を高く見せることができる。そうすれば歳相応には見えないだろうと考えたのだ。


 それでも登録に際して一人では不測の事態に対応をできるかわからない……というのは建前で本音は心細かった。なので、侍女のリザを巻き込んで登録をすることにしたが、当然ながらリザは猛反対だった。

 彼女の両親であるグランバルドやレイチェルに知られた日にはどんなお咎めが待っていることか……良くて解雇、下手すれば彼女の身を危険に晒したとして極刑もあり得る。

 もしかしたら、グランバルドはフレイスリアが冒険者になることを軍事教育の観点から後押しすることも考えられるが、レイチェルはそうはいかないだろう。

 母親のレイチェルは我が娘にお淑やかな女性になってほしいと願っているからだ。


 リザにとって誰が雇用主かを考えれば、取るべき選択はおのずから決まってくるのだが、それを覆す破壊力を有した攻撃をフレイスリアは持っていた。

 口では多くを語らずにキラキラと期待に満ちた眼差しで訴えかけられ、それを何とか跳ね除けると、今度はしょんぼりと気落ちした様子を前面に出すという二段攻撃だ。

 彼女が意外なことに精神攻撃の術も心得があったのには驚きだ。


 これにはさすがのリザも胸の真ん中を射抜かれて彼女に従っていた。

 主人の娘を妹のように思うのは不敬なことなのだろうが、小さい頃から一緒に育ってきたフレイスリアは彼女にとって妹のような存在なのだ。

 そんな妹のように可愛く想っている彼女のあんな姿を見せられては抵抗する気力も削がれて当然のことだった。


 リザ自身もリーシュベルト家で令嬢の専属侍女を任されているため、武の心得もしっかりとある。

 それこそ、そこら辺の冒険者には負けないぐらいには強い。

 なので、いざとなれば自分がお嬢様をお守りすればいいのだと考えていたのだが、その心配は無用だった。


 そもそもフレイスリアが錬成した全身甲冑はエーテルで精密に骨格を形成し、そこにマナで作成した見た目は岩のようだが、高純度の重金属を何重にも張り合わせてある。さらにエーテルを媒介にフォースを通すことで飛躍的に強化させたとんでもない代物なのだ。

 強力な装甲は使いようによっては強力な武器にもなるわけだが、加えて彼女の使う獲物も殺意が高い。

 甲冑の形成と同じ要領で作り出した戦鎚は大柄の男性を上回る大きさであり、これに遠心力を利用して振り回せば大概のものは粉砕できる。


 魔獣どころか高ランクの魔物の攻撃でさえ跳ね返しそうな装甲と破壊力抜群の戦鎚、それらを扱いこなし異相による攻撃も可能な彼女にとって、王都周辺に出没する程度の魔獣など歯牙にもかけない。

 この日も魔獣化が見られる狼の群れを討伐してほしいとの依頼を受けて情報のあった森を散策していると、幸先よく標的と遭遇した。

 数は八頭で依頼の数と合うことを確認すると、フレイスリアはリザに後ろで控えるように言って一人で前に出る。


 全身を甲冑で固めた彼女の風貌から放たれる威圧感に狼たちが怯むが、果敢に一匹が向かってきて首筋を狙い飛びかかる。

 それを左腕で殴り払うと、頭部に強烈な打撃を受けた狼が痙攣したまま動かなくなった。

 今度は左右から迫ってくるが、フレイスリアの障害にもならない。戦鎚を振り回して次々に仕留めていく様は、まさしく暴風と形容されてもおかしくない姿だった。


 戦意を失った最後の一匹が逃げようとするが、彼女はそれを見逃さず跳躍して力任せに戦鎚を振り下ろして叩き潰すと、辺り一帯を震わす地鳴りが響く。


「逃げられると思ったら大間違いよ」


 戦鎚を肩に担いで得意げに彼女は語る。

 フルフェイスの下の顔は見えないが、きっとしたり顔をしているに違いない。


 ――あんな重そうなものを身に纏って何ですか、あのびよーんって跳び方は……そんなに軽いものじゃないでしょう。これ……私が冒険者登録する必要ありませんよね。


 リザは彼女の戦いぶりを見て自分の助けなど要らないのだろうと内心溜息を吐いていた。

 そんな彼女をフレイスリアが呼んでいる。

 どうやら達成証明を剥ぎ取るための道具を忘れてきてしまったようだ。

 また心の中でリザは溜息を吐いていた。しかし、今度の溜息は安堵と喜びからのものだ。


 ――暴風みたいに強いですけど、やっぱり、お嬢様にはまだまだ私が付いていなくては。


 強く可憐で愛おしい彼女に必要とされる喜びをリザは噛み締めたのであった。


いつもご覧頂きありがとうございます。


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「ドゥームズワールド」 https://ncode.syosetu.com/n1643hi/


「死に戻り令嬢の奮闘記~どうせ、死ぬんだから好きにやらせてもらいます~」 https://ncode.syosetu.com/n7502hj/


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