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護衛は必要ありません。私は暴風令嬢ですから!  作者: 夏風
第1章 公爵家の暴風令嬢!
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第16話 アーサーは根回しする

 可愛い妹の元気がない。

 何か憂いを抱えていることは一目瞭然なのだが、家族想いの彼女はそういったことを口にすることはほとんどない。

 もう少し年相応に我を出してもいいと思うんだが。

 なので、レオナルド殿下に許可を頂いて久しぶりにまとまった時間をもらうことができた。

 殿下も妹のことが気がかりのようだ。得られた情報を教えることを条件に出すなんて……


 そのおかげでこうしてフレイの悩みを聞く機会を得られたわけだが。

 手合わせの最中でもどこか上の空というか身が入っていない様子で、普段からは考えられない程に動きに精彩を欠いていた。

 異相も解放しての稽古でかなり吹っ切れた様子だった。

 代わりに真正面から彼女の強烈な一撃を受けるのは本当に骨が折れる心地だったことは否めない。

 受け方を間違えれば本当の意味で骨の一本や二本は容易く持っていかれる。


 その甲斐あって、結構ガス抜きが出来たとは思うが、母上には悪いことをしてしまった。

 私たちの様子を見に来た母上は手合わせしている光景を見て硬直していた。

 フレイを母上がもつ理想の淑女からまたも遠ざけてしまったことは申し訳なく思う。

 ただ、母上がどんなに嘆いたとしても妹がこの道を歩むのは仕方のないことだと思えてならない。

 軍事に特化した我が家の教育方針やフレイの類稀な力を考えれば……


 しかし、困ったことに妹を悩ませている原因は、私では対処困難な相手だということがわかった。

 その相手というのは、レーヴェリアン第一王子殿下だからだ。

 そこらの貴族が相手ならば何とかする手段はいくらでもあったのだが、さすがに王族が相手ではそうもいかない。

 両親は特に権力に固執はしていないし、先日の誕生パーティでの一件で殿下のことを良く思っていないだろうから力になってくれるだろうが、やはり難しいだろう。


 そもそも妹は確かに可愛いし、礼儀作法も問題ない。何なら守られるだけのか弱い令嬢ではないことも評価できるだろうが、如何せん政治に関することはお世辞にも秀でているとは言い難い。

 レーヴェリアン殿下が妹のことを気に入っているのは知っているが、将来国母としての務めを果たせるのか問われれば難しいと答える。

 そりゃ、今でも年齢不相応な実力はあるし、このまま行けば私など足元にも及ばないほどになって我が家で一番、いや、もしかすると国一番の強者になっているかもしれない。

 そのことを踏まえればフレイを護衛にと乞われたのも頷けないことは無いが、その実、事あるごとに近くに置いておきたいという裏が透けて見えてならない。

 それに妹の祝いの席であんな仕打ちをするような男に大切な妹を託すわけにはいかない。


 ――フレイの涙を見たのはいつ以来だろうか……


 思い出せないぐらいに妹は泣いたことが無い。

 8歳の誕生日であんなことを受けてもだ。

 そんな妹が涙を浮かべていたのだ。

 きっと私では想像も付かない程、悩んでいるに違いない。


 ならば私の取る道は一つだ。

 レーヴェリアン殿下よりも前から、しかもより強く妹のことを思ってくれているあの方に頼みしかない。妹も今ではあまり関心が無さそうだが、初めの頃は割と気にしていたのだから、全くの脈無しというわけでもない。

 自分の主に身内のことを頼むのは気が引けるが、きっと私が頼まなくても殿下は自発的に動くのだろう。

 なんと言ったって私を専属騎士に選んだのも、足繫く我が家に通ったのも妹が目当てだったのだから……


 そうして、私、アーサーは妹であるフレイスリアの憂いを解消するために彼女に想いを寄せる我が主に助力を願い出たのだった。


いつもご覧頂きありがとうございます。


お時間がある時にでも


「ドゥームズワールド」 https://ncode.syosetu.com/n1643hi/


「死に戻り令嬢の奮闘記~どうせ、死ぬんだから好きにやらせてもらいます~」 https://ncode.syosetu.com/n7502hj/


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