燃やして!
ゴブミは俺が「雇う」と言うとガッツポーズしてそれから
「今からゴブリンリーダーに夜襲を仕掛けるゴブ!フェイナさんも行くゴブ!」
「私もお!?」
驚いたフェイナにゴブミは頷いて
「包丁でもナイフでも何でも武器を持っていくゴブ!やっちまうゴブ!あいつはクズだゴブ!」
俺は落ち着かせようと
「ゴブミ、まずゴブリンリーダーの居場所を教えてくれ」
ゴブミはそのしわくちゃなゴブリン顔で頷くと
「村長の家だゴブ。村長殺してゴブリンリーダーがなりすましてるゴブ」
「そんな……優しい村長さんが」
フェイナがその場に座り込んでしまった。
「ゴブミ……いくぞ。ゴブリンリーダーを倒す」
「待って!私も行く!戦いたい!」
フェイナが立ち上がると真剣な表情で俺を見てきた。
俺は断ろうとも思ったが、フェイナの決意した顔に負けて
「いいよ」
と答えてしまった。
「夜襲だゴブ!待ってろゴブリンリーダー!今まで偉そうにしやがってゴブ!」
勇んだゴブミを先頭に俺たちは、深夜の村を走っていく。
村の端の小高い丘に三階建ての大きな屋敷は建っていた。しかし何処か荒れ果てている。
ゴブミが屋敷に向けてツバを吐き
「村長に化けたゴブリンリーダーがクズすぎて執事もメイドも、皆逃げたゴブ」
フェイナが意を決した顔で
「燃やして!全部!ゴブリンリーダーごと!」
俺を見てきた。
俺は親父の言葉を思い出す。
放火というのは日本では殺人に次ぐ重罪なので絶対にしてはいけない。と親父は俺に言ったあと
「でも戦場で火を使うこともある。その時はターゲット以外のものを燃やさないようにするんだ」
そして燃やし方のコツを教えてくれた。
俺はゴブミと共に物置小屋の鍵を壊して斧と灯油が入った大きな瓶を取り出した。
シュバババ!ザッ!ザッ!バサッ!
俺は広い屋敷の周りの伸び放題の草を親父が教えてくれた最強木こりの草刈り術で刈って行く。
三十分で全て刈ると、ゴブミとフェイナに屋敷の周りに刈った草を全て積んで貰い、その間に近くの森から枝を大量に切って屋敷の近くに持ってくる。
更に三十分ほどすると屋敷の周りには枝と草木が積み上がり、それにまんべんなく灯油をかけていく。
そして、3人の持ったたいまつに火を起こして点け、屋敷周囲の三地点から点火した。
ゴオオオオオオオ!!
驚くほど炎の回りは早く、屋敷は瞬く間に燃え上がっていく。
バキン!バチッ!ヒューン!ドサッ!
というガラスが割れる音も聞こえ出したのとほぼ同時に、太った裸の緑の肌丸出しのゴブリンリーダーが三階の窓から飛び降りて、そのまま足を折って倒れ込んだ。
「てめえ!俺をずっとバカにして許さねえゴブ!」
「村長のかたき!」
フェイナとゴブミが瞬く間にゴブリンリーダーを殴る蹴るして、ゴブリンリーダーはそのままうつ伏せになって動かなくなった。




