ゴブミ
俺は明らかに怪しい小柄な人影に背後から忍び寄り、首にナイフを突きつけた。
「何だお前……フェイナに何か用か」
「ごっ!ゴブゴブゴブ!待てゴブ!」
赤いナイトキャップの様な頭巾を被ったしわくちゃでかぎ鼻の顔で慌てながら
「おっ……俺はゴブミっていう普通のゴブリンだゴブ!この小屋なら相手してくれる人間の子がいるって……」
「相手ってエッチなことか?フェイナはそんなことはしない」
「おっ、おかしいゴブ……この村を支配してるゴブリンリーダーは確かに……あっ、やめっ」
俺はゴブミを後ろから締め上げた。
「詳しく話せ」
「どうしたのー?」
フェイナも起きてきてしまった。
ゴブミをフェイナから貰った縄で縛ると、フェイナの家に全員で入る。
「ゴブ……こんなはずでは……俺はかわいい女の子とエッチなことがしたかっただけゴブ」
へこたれたゴブミに怒った顔のフェイナは包丁とナイフを二刀流して今にも斬りかかりそうだ。
俺はゴブミから話を聞くことにする。
「ゴブリンリーダーって誰だ」
「トップシークレットだゴブ。言ったら魔王軍にいられないゴブ」
フェイナが本気で怒った顔で斬りかかろうとするのを俺は止めながら
「早く教えろ。ゴブリンリーダーがこの家をゴブミに教えたんだろ?」
「……あんた強そうだゴブ。俺を雇ってくれたら教えてやってもいいゴブ」
「魔王軍とか言うのはいいのか?」
「どうせ魔王軍にいても出世できないゴブ。でもあんたと居れば、ちょっとはマシな暮らしできるかもしれないゴブ」
俺はフェイナの目を見て
「たぶん、悪いゴブリンじゃない。俺の親父が言っていた悪いやつは素直じゃないって」
「でも!このゴブリンが私の親を殺したかも!」
ゴブミは必死なフェイナの顔を見ると笑い出した。
「普通のゴブリンにそんなことはできねえゴブ!そういう悪いことができるのはゴブリンリーダーくらいだゴブ」
「つまりゴブミは、女の子とエッチがしたいだけなのか?」
俺が尋ねるとゴブミは素直に頷いて
「ゴブリンの女は俺に振り向いてくれねえゴブ!だから人間の女の子を食いにきたゴブ!食うってのはゴブリン的にはエッチするって意味もあるゴブ!」
「フェイナ……ゴブミはたぶん馬鹿だ。馬鹿だけど素直だから悪いやつじゃない」
フェイナは何とか納得した顔で
「……分かった。ゴブミ、ゴブリンリーダーの居場所を教えて」
「でもその前に雇うって約束してくれゴブ。教えたらはいさよならってされたら泣くゴブ」
俺は頷いて、ゴブミの大きな目を見て
「いいよ。雇う」
と言った。




