フェイナ
フェイナが明日羅を連れて行ったのは村外れの小さな小屋の前だった。
「ここはなんだ?」
「私の家だよ!いいでしょ」
ガチャリ
フェイナはドアを開けて明日羅を小屋の中に入れた。
中には木製の古いテーブルと椅子が並んでいて、窓際に小さなベッドと食器棚とクローゼットがあるだけだった。
「どう!?」
自慢げなフェイナに俺は一瞬言葉を失うが、すぐに、にっこり笑って
「最高の家だな」
褒めた。フェイナはとび上がって喜ぶと
「やった!一緒に住も!1人は寂しいの」
誘ってくる。
俺はこの村の情報を集めるためには良いかもしれないと思い
「いいよ」
と答え、フェイナは嬉しすぎてクルクル回りながら踊り始めた。
フェイナが落ち着いた後に、そろそろ夕ご飯の時間だというので、明日羅とフェイナは、村に買い物に出かけた。
村の果物屋や肉屋、八百屋のおじさんやおばさん達は皆優しく、お金が無くて沢山買えないフェイナにリンゴや肉や野菜のおまけをくれた。
フェイナは小屋に戻ると、裏から鍋や調理道具を取ってきて、キャンプのご飯のように外で火を起こし料理を作り始めた。
俺はご飯の用意を手伝いながらフェイナに尋ねた。
「フェイナさんは、何で1人で住んでるの?」
「……親が去年、モンスターに殺されて」
「モンスターって、大きな熊とか狼とか?」
「違うの……たぶんゴブリン……」
俺は黙って考えた。俺はゲームはあまり知らないが、ゴブリンってゲームとかの敵に出てくるやつだったはずだ。
「フェイナさん、俺が倒そうか?」
「うれしいけど、そのゴブリンは何処かに逃げちゃって」
「そっか……」
それから俺たちは黙って料理を作って、とても美味しい夕ご飯を食べた。
その夜……
最強中学生の俺は床で寝られるように訓練しているので、小屋の床で眠っていると
「ゴブゴブゴブ……女の子食いてえゴブ」
怪しげなダミ声が外から聞こえてきた。
俺はすぐに起き上がり、身を守るためにフェイナから貰った料理用ナイフを片手に持ち、静かに扉から外に出た。




