Episode11: 第二試合
「第二試合を始める!両者、位置につきなさい!」
訓練場中央に立ったロアの声が、静寂に包まれていた場を切り裂くように響いた。
「ったく…せっかく手を貸そうと思ったのに……」
朋佳が不満げに呟きながら戻ってきた。
私たちは無言でギアの確認を始める。ぎこちない沈黙の中、私は朋佳に話かけた。
「……あの二人より、リアムさんのほうが強いんだって。カイさんが言ってた。」
そう口にした瞬間、朋佳の手がわずかに震えた。ギアが弓の形をとったその瞬間も、その指先はわずかに揺れている。
「そっか…。あの二人より強いんだ……」
無理に明るく言おうとする彼女の声は、どこか上ずっていた。
前にあんな試合を見せられたのだ、震えるのは無理もない。
私は彼女の震える手の上に、そっと自分の手を重ねた。
「私が先に攻撃を仕掛ける。自信は無いけど…できるだけ注意を引きつけるから――援護、お願いできる?」
「もちろん。」
彼女が小さく頷いた。
訓練生時代、朋佳は誰よりも遠距離攻撃を得意としていた。
彼女の援護があるだけで、どれだけ心強いことか。
ふと視線を向けると、リアムがすでに準備を終えていた。その姿は凛とし、何一つ無駄がない。赤みを帯びた髪が照明の下で鈍く光っている。
まっすぐな視線が、こちらを射抜いた。
――まただ。
目が合うと、不思議な感覚に包まれる。静かなのに、全てを見透かされるような。彼の目は、どこか寂しげで、けれど怖いほどまっすぐだった。
(この人もきっと“継承者”……)
カイとルシアの戦闘を見て、一瞬で継承者ということが分かった。恐らくリアムも…
私の背中に汗が伝い、手のひらはじっとりと湿っていた。
「第二試合を始めます!ルールは先ほどと同じです。訓練用ギア、魔法制御リングの状態を再確認しなさい!」
ロアの声が再び場を包み込んだ。
私はギアに呼びかける。「訓練モード、起動。」
銀色の腕輪が、柔らかい光を帯びて剣へと変化する。
震える足に力を込める。
視界の端で朋佳の弓が展開され、静かに弦を引く音が聞こえた。
そして、ロアが右手を高く掲げ、宣言する。
「……はじめ!」
私は全力で前へと駆け出した。




