表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ソラノヒメゴト  作者: ひつじのポスト。
8/10

それから少年の姿を手に入れた空は、少年に逢いに行った。




初めて、自分とは違うものと言葉を交わした。


初めて、『手』という身体の一部が触れ合った。


初めて、同じ名という偶然に出逢った。




どれも天から眺めていたんじゃ知れないことばかりだった。



でも、このときが長く続かないことは知っている。



願ったって…  祈ったって…  嫌がったって…


この時間すがたは   この一夜だけ。




『奏楽…ここにくるの……初めて…?』



ふと、想いは声になって唇を滑り落ちた。



「え? あ、ああ…。そういえば、ここはいったいどこなんだ?」



 不意の質問に少し戸惑ったように見せながらも、少年は首をかしげて見せた。




 ただの夢だよ。  気にすることないよ。



そういえたなら、楽なのに…。




空はそれを戸惑った。


夢だと知って  目覚めたらきっと覚えていてくれない。


覚えていても  それは所詮、奏楽ヒトにとっては


幾度となく繰り返す  眠りのなかに出逢う


咲いては散ってゆく花のように過ぎるだけの 儚い一時のこと。




「空…?」




問いかけたきり、一向に返事をよこさない空を覗きこもうと少年


はひょいと顔を下にかがめる。


なにか言葉を返そうにも、そんな思いだけがとめどなく溢れてどうにも止まらなかった。



この姿に  慣れていないからだろうか。


もう何年もこの天から人間を仰ぎ見た空には、上手な笑顔の繕い方も知っているというのに、うまく表情を作れなかった。




ここがただの一夜限り”夢”だということも…




空のほんとうの姿も…




  何も知らないまま  少年の夢はこのまま覚める。





      もうすぐ  この夢は覚める。











              夜明けは  すぐそこに――…。

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ