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転生古龍の遊者道  作者: 茜雲
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第64話 魔力防御




「――流石は闘技大会出場者、って言えばいいのかな?」


 迫り来る数多の風弾を斬り払いながら呟く。


 まだ距離が数十メートル離れているにも拘わらず、風弾は正確に私に向かって飛んで来る。しかもそれなりに威力も高い。


「まぁそれを軽々と対処してる私が言うのもあれだけど……」


 などと阿呆なことを呟きながら距離を詰めていくと、新たな呪文が耳に届く。


「……空に……雷龍よ……その……の一端を……」


 流石に距離が遠くて全部は聞こえないが、結構な魔力が込められているのは解かる。多分、今の風弾よりは高威力な何か。


 果たしてそれは正しかったようで、魔術師さんが構えた両の手のひらに雷が集約されていく。


(雷魔法……!)


 どうするか、対処に思考を巡らせる。


 雷魔法は単純に強力だ。回避が難しい速度もそうだし、雷の性質上多少の防御は貫いてくる。残念なことに今回は快く(・・)盾になってくれそうな人間もいない。


(……避けられなくはないけど、足は止まるかな)


 雷魔法そのものを避けるのは、私なら可能だ。けど流石に回避後の隙は出来るだろう。そこを狙われる可能性もある。


 いや、まさにそれを狙った作戦なのだと思う。足が止まったところにあの風魔法の連続攻撃。作戦としては悪くないように思える。……普通の相手になら。


(私なら、それも含めて対処できる。多分そこから相手に状況をひっくり返す手は無いだろうし、そのまま勝負を決められるはず……よし!)


 そうと決めた私は、飛来するであろう雷撃を回避すべく、その気配察知に集中する。


(これでいい。ちょっと強引だけど、生身で雷撃を防ぐのは無理だし、魔法を使わない戦いにも慣れておきたいし)


 そう、魔法で壁でも作ればそれで終わりなのだが、今回はそうしない。


 元々、なんとなくで始めた魔法なしの縛りプレイ。けれど実際、この先そういう状況がないとは言えない。魔法が効かない相手だったり、私の魔力が底をついたりした場合だ。


 まぁ後者はまずないと思うけど。


 さておき、そういう状況に慣れておきたいのは事実。魔法での迎撃など、魔力消費の大きい行動はしない。


 そこまで考えたところで、1つ思いつく。


(……消費、か)


「食らえっ!」


「――ッ!」


 疑問を抱いたと同時に雷魔法を撃ち放たれる。それは不意を衝かれた形になり、回避の難易度を著しく向上させた。


(ミスった……! ああもう仕方ない、試してやるッ!)


 やや投げやりに覚悟を決め、その場で足を止める。


 その時点で避けるタイミングは逸した。ならばもう、すべきことは一つだ。出来るかどうかわからないけど、己の直感を信じるしかない。


 飛来する雷に向けて腕を交差させる。言うまでも無く、見たまんまの防御体勢。


 それは一見、雷撃に対して無謀と言うか、無意味極まる愚行である。そのまま(・・・・)なら、だけど。


(もしハズしたら恥ずかしいなぁ……)


 などとのん気なことを考えつつ、私は両腕に魔力を込めた。


 ちょうどそのタイミングで、ついに雷魔法が私にまで到達し、交差した腕に直撃した。



 ――バチィッ!



 接触と同時に稲光が奔る。それは雷が弾かれた証だ。


「痛(つ)ぅっ!」


 けれどもその衝撃は私の身体に響いた。魔法の衝撃だけではあるが、生身で受けるには些か重い衝撃ではある。


 それでも、雷撃そのものは私を貫くことなく、弾かれて宙に散った。


 その結果に、にやりと笑みを浮かべてみる。対して魔法を放った本人は大口を開いて呆然としていた。こういう時の相手の表情を見るのは痛快だ。


「あたた……でも、案外出来るもんだね、魔力(・・)での防御って」


 雷を受け止めた手をぷらぷらと振って痛みを誤魔化しながら一人ごちる。そう、これは厳密には魔法でなく、純粋な魔力を使った防御だ。


 魔法や魔力同士の衝突だと、魔力の密度が低い方は弾かれてしまう。端的に言えば魔法の強度の差。要はより魔力を込めた方が勝つ。


 それは私が普段使ってる魔力の防御壁や、あの老人の黒い魔法を弾いた時に実証済みだ。


 それらは魔力を放出して防御に使うのだけれど、今回のこれは魔力を外に出さずに体内で集中させているだけ。だから、消費なくこのまま維持できる。


 それによって魔法そのものは集中させた魔力の密度が勝ってる限り弾いてくれる。ただし自分の身体で受け止めることになるから魔法の衝撃そのものはしっかりと受けてしまう。


 まあそれは長所と短所というものだ。多少の短所は致し方ない。


 ただし、これは魔力を十二分に制御しないとできない芸当だ。この世界の魔法事情から考えると、実際に行使できる人間は限られるだろう。


 それでも、大いに有用な技術であることは確かだと思う。


「実際、他の魔法に影響与えないから案外便利かもね。自分だけ護りながらゼロ距離で魔法ぶっ放すとかも出来るようになるし」


 いやそんな自爆戦法ごめんですけどね?



 ――バシュッ!



 考え込んでいる間に放たれていた2発目の雷魔法を、今度は片手で弾いてみせる。相変わらず手に衝撃を受けるが、予め解かっていればどうということはない。


 魔術師さんはもう呆然を通り越して顔を引き攣らせている。


 さて、新しい技術をものにしたことだし、そろそろ終わらせようか。





ここまでお読みいただき、ありがとうございます。


日本に帰ってから、ベッドで寝るよりこたつで寝る方が確実に多い……

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