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転生古龍の遊者道  作者: 茜雲
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第62話 圧倒

日本最高!(発狂)




『では、予選第1回戦……――始めッ!』


 試合開始と同時に私に迫る火、風、水の弾丸。


 見たところそれらの威力は大したことない。慢心した少女(私)に対する軽い罰のつもりなのか、早々に気絶させてさっさと危険から遠ざけようという心遣いか、或いはただ単に舐められているだけか。


 いずれにせよ、戴いたプレゼントにはお返しが必要だ。遠慮など不要だと、見せつけてあげよう。


「はあっ!」


 手始めに正面から迫る風弾を切り裂く。


 目にも止まらぬ速度で振るわれた斬撃は、文字通り空気を裂き、風弾を一刀両断する。身を斬られた風弾はその身の内に圧縮させていた空気を爆発させた。


 その余波を受けて威力の衰えた火弾に向け、今度は蹴撃を放つ。


 それは風弾の余波すらも飲み込む旋風を伴い、火弾を跡形も無く吹き飛ばす。


 残る水弾に関しては、一瞬どうしたものかと思い悩む…………が、面倒くさくなってひょいっと避けてしまった。


 いやだって、魔法なしで吹き飛ばすには他のと違って質量的に重いし、下手な受け方すると服濡れちゃうし。


 まぁそれはともかく、これで目前の攻撃は全て凌いだ。


「さて次は――っと!」


 直後、背後に気配を感じ、振り向くと同時に剣を構えた。



 ――ギィン!



「……乙女の背後を取るのはどうかと思いますよ?」


「なに、君を強敵と認めたが故だよ」


 目の前の人の良さそうなおじさん剣士と鍔迫り合いを演じながら軽口を叩き合う。


 そして感じるもう一つの気配。


「そういうことだっ!」


 横合いから迫る別の参加者。私はおじさんの剣を横に受け流し、その場を離脱する。


「嬉しいけど、ちょっと大人げなくないです――かっ!」


 飛び退いた先に飛来した風弾を再び切り裂く。生まれた烈風を受けながら周囲を見渡す。


(正面に剣士2人。それと……岩場に1人、林に2人の魔術師。……バトルロイヤル、良いね……!)


 不特定多数、全方向からの攻撃。乱戦ならではの緊張感だ。前世でも、今世でも味わったことの無い感覚が私を満たす。


『――ッ!! な、なんと言うことでしょう、いったい誰が予測出来たでしょうかッ! 開幕と同時に一斉攻撃を浴びてリタイアするかと思われた少女は、見事にその全てを凌いで見せました! 一見まだ幼い少女剣士ですが、これは本戦出場者候補としては濃厚かーっ!』


(変に煽らないでくれないかなぁ……)


 ほらもう、目の前の2人の眼がガチになっちゃった。他の参加者からも視線を感じるし。


 あと、一見ってなんだ一見って。私はセリナみたいな年齢詐欺はしてないから! ……前世はノーカウントで。


 まぁそれはさておき……


(どうしようか……。他の人達もそれぞれの戦いを繰り広げてるけど、いつこっちに参戦してくるか解らないし、この包囲網は一刻も早く突破すべきだよね)


 もたもたしていると私の包囲網は更に強固になるだろう。司会さんも随分煽ってくれたことだし。


 そうと決めれば行動は即時だ。まずは、目の前の2人から。


「いきます!」


「勇敢な嬢ちゃんだなっ!」


「その意気や良しッ!」


 真っ向から切り込む。それを受けたのはおじさん剣士。そして、接触した瞬間を狙って来るもう1人のお兄さん剣士。


 それを受ける為に、鍔迫り合うおじさんの剣ごと力技で巻き込んで向きを変え、無理矢理2人目の剣撃も受け止めた。


「なんという膂力……! 末恐ろしい娘子だ……!」


「まだまだっ!」


 私はそのまま更に力を込め、2人の剣を弾く。


 剣こそ離さなかったものの、それで2人は体勢を崩した。その隙を、逃すはずが無い。


「ぐっ?!」


 呻り声を上げるおじさんの懐に入り、剣では無く、掌を構える。そして……


「破ッ!」


「ごふっ!!?」


 気迫を込め、掌底をがら空きの腹部に叩き込む。いわゆる当て身だ。


「ちっ!」


 重い衝撃を受けてその場に倒れ込むおじさん。その間に、お兄さんが体勢を立て直し、こちらに剣を振るう。


 私は掌底の為に剣を手放したから、今は丸腰だ。だからこそ(・・・・・)、今の私に隙は無い。


「んなっ!」


 剣撃をあっさり避けてみせ、お兄さんが剣を握る手に私のそれを添える。合気道の基礎、根幹たる“合気”だ。


「ちょっと、痛いかもですよ?」


 お兄さんにだけ聞こえるようにぽそっと呟きながら、そのまま相手の力を利用し、投げ技に持って行く。


 本来であれば相手を転倒させる程度のものだが、今の私の身体能力なら少々無理矢理でも投げる(・・・)ことすらも可能だ。


「せやっ!」


「どわぁっ!?」


 気合いを込めながら相手の手を引き、そのまま、言葉通り、ぶん投げる。


 自分の身体が宙を舞う経験などそうは無いだろう。お兄さんは間抜けな声を上げる。そんなお兄さんに向かって、飛来するモノ(・・)が一つ。


「いぎっ!?」


「ああ、今度は雷かぁ。それは確かに斬れないねぇ」


 感電して墜ちるお兄さんを尻目に、そんな感想を抱く。


 お兄さんを撃ち抜いたのは多分私に向けられていたであろう雷魔法。私なら魔法の気配はいち早く察知できるから利用させて貰った。


「……うん、大丈夫そう」


 おじさんとお兄さんの息を確かめる。特におじさんの方は結構力込めたからね。


 とりあえず危険な状態ではなさそうだ。うまく気絶してくれてるみたいだし、このまま放置しておこう。


「次はー……」


 周囲を見渡す。開幕から私を狙っていた魔術師達は、どうしたものかと攻めあぐねているのか、すぐに魔術を飛ばしてくる気配は無い。


 私が剣士2人を瞬殺したのを見てか、他の剣士達も警戒して向かってくる様子はない。ライムさんは……おお、私みたく2人同時に相手してる……!


 流石にそれを邪魔するのは無粋なので、私はまず狙いを魔術師に絞る。


「そろそろ私も動くかー」


 このままこの場に留まると近くで気絶している2人が危険だし、一方的に攻撃を受けるだけになる。それはつまらない。


 次の獲物、もとい、私を狙っている魔術師は林に2人と岩場の上に1人。


「んー……じゃあそこの岩場の人っ!」


 岩場の上に立ち、こちらを見下ろす魔術師をびしっと指さす。それで私の意思は伝わっただろう。向こうからも警戒しているのを感じる。


 ちなみにあの人を狙ったのに特に理由はない。別に、見下ろされるのがムカつくとか、高いところに立ってて偉そうとか思った訳では無い。


 まぁそれはさて置いて……私は次の獲物のいる岩場に向け、歩を進めた。



ここまでお読みいただき、ありがとうございます!


さて、年末年始は旅行に行く予定だったのですが……諸事情により中止となりました^^;

3日くらい予定が丸々空いちゃったので書き溜めモードに入ろうかと思ってます。

多分更新ペース全然だから神様からのお叱りなんでしょうね……orz


これ以上天罰を頂戴しないためにも、書かねば


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