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赤聖国で生まれた僕は  作者: 真灯出愼
最終章―決戦―
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第42話

 時を同じくして秀国では――。

反乱軍が国軍を制圧する寸前まで追い込んでいた。

しかし国軍に増援が到着し、中々制圧出来ず手を焼いていた。


「お前達は松田の軍か?」


 見知らぬ男が反乱軍の分隊長に声をかけてきた。

――――松田とは一体誰のことだろうか。

隊員の1人が松田という人物について心当たりがあった。


「分隊長、隊長の赤聖国時代の名前が松田翔と聞いたことがあります」

「そう! 松田翔。そんな名前だった」

「それは我が反乱軍の隊長、吉本源です」

「そうか。今は吉本と名乗っているのか。どちらでもいい。まもなく国軍に更なる増援が到着する。このままの手勢ではやられるぞ」

「あなたは一体?」

「俺はムウと呼ばれている。松田……いや、吉本に言えば覚えているだろう。何しろ、あいつの仲間を殺した男だからな」

「そんな人の話を聞くでしょうか」

「とりあえず、吉本に連絡を取れないか?」

「やってみます」


 分隊長はそのまま本部に連絡を取った。


「こちら秀国制圧班。隊長にお話が」

「どうした」

「国軍の増援で手を焼いているところに、ムウという男性が来て国軍の更なる増援が予想されるという情報を」

「ムウ……。あの秀国スパイのムウか!」

「久しぶりだね、松田。あの時は本当に悪かった」

「ムウ。何のつもりだ。お前は号国に捕まったはず」

「あれから色々あってね。今はまた秀国のスパイとして働いているんだ。しかし、今従えているのは透国の兵士。君の事を知っている隊員が数人居てね。それで君達反乱軍の手助けをしたいと思って連絡を取ってもらった」


 ムウ。優太さんを殺した奴だ。

そんな奴の情報なんて信用出来るか!

しかし、透国の兵士には確かに知り合いが数人存在する。

とりあえず話だけでも聞いてみようと思い、僕はムウに兵士と話をさせてくれと頼んだ。

ムウは喜んで透谷の兵士を呼んだ。


「松田さん! 僕のこと覚えてる?」

「その感じは……。声変わりしているけど、りょうくんかい?」

「そう! あの時ハッキングゲームで一緒に遊んでもらったりょうです!」

「声だけでも立派に成長したことが伝わってくるよ。今でも透国の兵士として?」

「うん。僕、あれから直ぐにスパイ養成所に行って色々学んだんだけど、やっぱり皆と離れるのが寂しくて兵士側に戻ったんだ」


 懐かしい思い出が溢れてくるが、今は感傷に浸っている場合じゃない。

他にもあの不法地帯の兵士達が数人参加しているようだ。

もちろん、元赤聖国民の養田も居た。


「松田。これでもまだ俺の情報を疑うか?」

「ムウ。僕は今でも君のしたことは許せない。でも今は私情を挟む立場じゃない。君の言葉を信じよう。そして、手を貸してくれ」

「承知した。これより我ら透国兵士軍は赤聖国反乱軍の力となり、共に戦う。お前は優雅にお茶でも飲んで良い報告を待っていろ」

「はは。そうさせてもらうよ」

「隊長! この人たちを信用しても良いのでしょうか」

「ああ。兵士だがスパイに近い技術を兼ね備えている。信用して共に戦え」

「了解!」


 シンコウといい、ムウといい。なぜ僕なんかに手を貸してくれるのか。

今まで優しすぎると怒られてきたが、それが今となっては救った人たちが手を貸してくれる。

あのまま殺すだけのスパイになっていたら今の状況はなかっただろう。

後は僕が赤聖国で決着を付けるんだ。

そのためには元国軍官僚である達樹くんの力が必要だ。

僕は早速達樹くんに連絡をとった。


「純くんか。どうした?」

「そろそろ決着を付けに行こうと思う」

「決意したんだね」

「達樹くん、手を貸してくれるかい?」

「もちろんさ。その為に準備していたんだ」

「明日の正午、そっちに着く。そこから作戦会議をして明後日に決行だ」

「承知した」


 僕は反乱軍の大多数を連れて赤聖国へと向かった。

一斉に向かえばその場で争いが始まる可能性もあった為、何回かに分けて赤聖国に入った。

僕は到着早々、達樹くんの官僚低に行き、互いの補佐を連れて作戦会議を行った。

相手にもこの情報は行き渡っており、明日の正午に赤聖国軍と反乱軍の戦争が幕を開けることとなった。


 反乱軍総勢120人。国軍総勢350人。

数では圧倒的に負けているが、それでも僕たちは負ける気がしなかった。

正午を前に、僕とお父さんが顔を合わせた。


「純。やはりお前が反乱軍の隊長として俺を倒しにくることになったな」

「父さんはそれを分かっていて僕をスパイとして育てたんだろ」

「俺を止めることが出来るのは、俺の血を引く子供しかいないと思っていたからな」

「僕は父さんの筋書き通りに成長したわけか」

「そう。だからこの後も俺が勝ってお前は俺の下で働く。それがお前の未来だ」

「そうはならない。父さんは僕たちに負ける。そして、新しい時代が来るんだ」

「これ以上話しても意味が無いな。互いに手加減無しだ。いいな」

「もちろん。殺す気で行くよ」

「それでいい」


 僕はお父さんに堂々と背を向けて反乱軍の本部へと向かった。

お父さんもそれを見届けて国軍の本部へと向かった。

正午。時計の針が全て12を指したと同時に銃弾が放たれた。

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