第39話
赤聖国に着くと、国軍が待ち構えていた。
国軍を率いるのは達樹くんだった。
「やれ」
達樹くんが国軍に指示を出した。
一斉に襲いかかってくる国軍に受け身の反乱軍。
銃弾が飛び交うため、物陰に避難した。
「反撃を許可する!」
僕は国軍が先に攻撃してきた事を確認してから反乱軍の隊員に指示を出した。
反乱軍も一斉に国軍に向かって攻撃を始めた。
僕はワゴン車に乗り込み各部隊に指示を出していた。
「A地点に到達。指示を!」
「A地点、発砲を許可する。狙撃班を撃退せよ」
「了解」
「D地点に到達。こちら激戦区。負傷者多数です」
「まだ先に近づける者は居るか?」
「動けるのは6人程です」
「1人は負傷者の介護、残り5人は更に前進」
「了解」
「こちら狙撃A。A地点の部隊が国軍にバレた模様。こちらから狙撃可能です。発砲許可を」
「A地点を狙っている国軍は何人だ?」
「2人です」
「よし、確実に仕留めろ」
「了解」
「こちら潜入B班。国軍の指揮者と思わしき官僚の潜伏地を発見。どうしますか?」
「場所は?」
「国会議事堂の前に止まっている車です」
「向こうも車の中で指示か。そのまま監視を続けろ。突入はまだ待て」
「了解」
――――国会議事堂前か。
僕が今いる場所から10分程の距離。
よし、こっちから出向いてやる。
僕は載っていたワゴン車を国会議事堂に向けて走らせた。
各地で銃撃戦が起きている。
まるで戦争のようだったが、これは全てひとつの地域内だけで行われていた。
国会議事堂前には確かにワゴン車が止まっている。
草陰に隠れた潜伏B班に無線で指示を出した。
「こちら本部。今、国軍のワゴン車近くに着いた。援護を頼む」
「隊長自ら突入するのですか?」
「ああ。これは僕がやらなければいけない戦いだ」
「了解しました。援護します」
僕はワゴン車を降りて達樹くんが乗っているであろうワゴン車に向かった。
すると、達樹くんもワゴン車から降りてきた。
両軍の隊員は隊長を守るように前に出てきたが、達樹くんが国軍の援護を拒否した。
それを見た僕も援護は無しでと頼んだ。
「吉本源! 待っていたよ。あの時の約束を果たそうじゃないか」
「神保龍之介。ここで決着をつけよう」
両軍の隊員が見守る中、僕と達樹くんの1対1の対決が始まった。
2人とも素手でかかって行った。
殴ろうとしても避けられる。
同じく殴られそうになったら避ける。
捕まえてもすぐ逃げられる。
殴る拳がお腹を命中しても全く効いている感じがない。
2人同時にナイフを取り出し、攻防を繰り返していた。
僕のナイフが達樹くんの腕をかすめた。
同じタイミングで達樹くんのナイフが僕の顔をかすめた。
振り返る時に裏拳を放ったが、それを止められてみぞおちにパンチをくらった。
一瞬、動きが止まった隙を突かれて左太ももにナイフを刺された。
ナイフを引き抜かれる前に達樹くんと距離を取り、服を破って止血した。
「全く衰えてないね」
「それは達樹くんも同じだろ」
「龍之介なんだけど。まあいいか。純くんとは本名で」
「次で決める」
僕は足の痛みなど全く感じて居なかった。
達樹くんは僕の左足を狙って蹴りを繰り出した。
そう来ると予想していた僕は、持っていたナイフを蹴りの軌道に合わせて投げた。
ナイフに気付いて蹴りを止めたが、僕のナイフの方が早かった。
達樹くんの右足にナイフが浅く刺さった。
足に刺さったナイフを抜いている隙に顔面にパンチをくらわせ、僕は達樹くんに馬乗りになって首を抑えた。
そして僕は銃を胸元から出して頭に付けた。
「これで決着はついただろ?」
「殺さなければ決着がついたとは言えないよ」
「僕には達樹くんを殺す事は出来ない」
「本当に甘いね。噂通りだ」
僕が達樹くんを殺すつもりがなかったのは初めから気付いていたようだ。
すると、僕の頬を銃弾がかすめた。
「撃つな!」
達樹くんが国軍に指示を出したが、撃ったのは隊員ではなかった。
「いつまで友達ごっこをしているつもりかね?」
出てきたのは紀伊崎だった。
紀伊崎は達樹くんに馬乗りになっている僕へ銃口を向けたまま近づいてきた。
僕は達樹くんの上から降りて両手を上げながら後ずさりした。
「神保くん。君の実力はそんなものかい?」
「紀伊崎さん。僕はその……」
紀伊崎は僕に向けていた銃口を達樹くんの方に向けて発砲した。
銃弾は達樹くんの足に当たり、達樹くんはうずくまっている。
僕は咄嗟に達樹くんの前に行き、盾となった。
「松田くん、敵である神保を庇うのか? 背後から撃たれるという事を考えなかったのか?」
そう言ってニヤリと笑った紀伊崎の笑みに少し寒気を感じた。
振り返ると達樹くんは銃を構えていた。
自ら撃たれに来たような位置に居る僕は動く事も出来なかったが、達樹くんが前に立つ僕を払いのけて紀伊崎に向けて発砲した。
紀伊崎は予想外の出来事に反応出来ず、胸に銃弾をくらった。
「神保、貴様!」
「紀伊崎さん、すみません。僕、やっぱり純くんを撃つ事は出来ません」
そう言うと達樹くんは振り返って僕に笑みを浮かべた。
「松田くん、君は選択を間違えた。あの時、私の誘いに首を縦に振っていれば絶望を味わう事など無かったのに」
「何のことだ?」
「私が教えてやろう。赤聖国のこの計画を立てた真の黒幕を。今の赤聖国を支配しているのは……」
「やめろ!」
黒幕を言う前に達樹くんが紀伊崎に向かって発砲した。
しかし紀伊崎は言葉を止めなかった。
「黒幕は波多 章介だ」
そう言うと紀伊崎は力尽きた。
僕は驚きが隠せず声も出なかった。
達樹くんは知っていたのか、横で崩れ落ちた。
「お、お父さんだと……!?」
紀伊崎が教えてくれた黒幕は、僕のお父さんだった。




