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赤聖国で生まれた僕は  作者: 真灯出愼
第4章ー始動ー
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第25話

 長い年月をかけて完遂する予定だった任務を三日間で成功させなければいけなくなった。

しかし、長い年月がかかるのはこそこそと隠れて行動しなければいけないからだ。

だが今回は違う。

堂々とスパイ行為が出来る。

堂々と言っても号国には隠れなくてもいいというだけであって、他国にはバレていけないのは変わりない。


 解放された日、久しぶりの太陽の光と暑さで頭がクラッとした。

「よし」と気合いを入れ直して家に向かった。

「おかえりなさいませ」と山崎が出迎えてくれた。

ひとまず鞄を置き、自分の部屋で書類を整理し始めた。

しかし最も重要な書類が見当たらない。

どこを探してもない。


「山崎!」

「どうかなさいましたか?」

「僕が留守の間、来客は?」

「御座いません。ただ」

「ただ?」

「ご主人様のお友達と書かれた手紙が届いておりまして」

「それがどうした?」

「昨日帰って来られたご主人様にお渡しした所、急いで出たきり帰って来られないのです」

「その手紙は?」

「ご主人様が持って行かれました」


 そりゃそうか。

しかし、そんなに急いで出て行き、帰って来ないと言うのはどんな内容だったのか。

もしかしたらムウからの手紙だったのか?

そうなれば東條は既にあっち側に付いた可能性もある。

更には僕の機密資料も渡ったとしたら……

シンコウさんが危ない!

僕は急いで家を出た。


 以前シンコウさんに会ったときに聞いていた拠点地に向かったが、そこには既に東條とムウが居た。

そしてシンコウさんが血まみれになって倒れていた。

「シンコウさん!」と叫びながら僕は東條たちに見向きもせず駆け寄った。


「遅かったな、翔。君にはがっかりだよ」

「東條! なぜシンコウを!」

「もう分かってるんだろ? だからここに来て早々、この男に駆け寄った」


 僕は2人を睨むことしか出来なかった。

腕の中で虫の息になっているシンコウさんをどうにか助けることが出来ないかと考えていたが、一人で飛び込んで来てしまった為、助けを呼ぶことも出来ない。

いや、方法はある。


「おい! この人を病院に連れて行ってすぐ手当てをしてくれ! じゃないとお前達の国が危険に晒されるぞ!」

「何を言っている。こいつが助かったら我々が危険になるんだ。助ける必要はない」

「早くしろ!」

「黙れ! それ以上ふざけた事を言っているとお前も消えてもらうぞ」


 すると、建物の影から人影が見えた。

号国の公安員だ。

僕を監視するためにずっとつけてきているのは分かっていた。

公安員は仕方なくシンコウさんを抱えて病院へと向かった。


「ほお。号国と手を組んだのか。取調べで何があったか知らないが、我々を裏切るのか?」

「僕は任務を完遂するだけです。何も裏切ってはいない」

「我々の任務は号国のスパイを根絶やしにすることだ。お前の行動はその逆をしている」

「東條、あなたには言っていなかったかもしれませんね。僕の任務は始めから号国に潜入した“ムウ”という人物を探し出せという任務です。あの時、取調べでムウと会っているあなたの写真を見たときは驚きましたよ」


 東條は僕が別任務を行っているということを知らなかったようだ。

シンコウさんに会えと言ったのは僕とムウを直接会わせたくなかったからだ。

真のボスは誰でも会えるほど甘くないという事を言いたかったのだろう。

しかし、僕は前回の任務で既に顔を知っていた。

シンコウさんから聞いた話は、確かに号国のスパイを根絶やしにする計画だった。

しかし、ボスの存在と素性を聞き出しているうちに候国で助けたスパイと今回のボスの人物像が一致していることに気付いた。

それからのあの東條との写真とくれば、ムウはあの秀国のスパイと確信できた。


 その後、取調べで号国と手を組むことになってから少しだけ聞いた情報の中に、シンコウさんも号国の人間だという情報があった。

それはもちろんムウのターゲットになることを意味していた。

一番近い人物から手をかけていくのは基本だ。

内部情報の流出を防ぐ為だ。

家に帰っている間に先を越されてしまった。


 そして、僕が最も重要としていた資料には、号国のスパイを一覧にしていたものだ。

あの資料の中には光輝さんの名前も入っていた。

そう。光輝さんは今回の任務で始めから号国のスパイだったのだ。

早く見つけ出さなければ。

いや、ここでムウと東條を抑えれば終わる。

しかし一人でどうやって。

号国の公安員はシンコウさんの為に今は病院に向かってしまった。


 東條とムウはやる気満々だ。

僕が号国と手を組み、計画も全て知っている人物になってしまったから、ターゲットの対象となったのだろう。

1対2。

ひとまずこの場を逃げ切って光輝さんを探すしかない。


 こちらに向かって走り出した東條と、後ろで銃を構えるムウ。

僕はポケットからサブの眼鏡を取り出しながら東條の突進を交わし、そのままムウの頭上に向かってサブ眼鏡を投げた。

3・・・2・・・1・・・

眼鏡は空を舞いながら閃光を放った。

予想もしていなかった眼くらましにムウも東條も動けず、僕はその隙に眼鏡を回収してその場から逃げた。

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