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赤聖国で生まれた僕は  作者: 真灯出愼
第4章ー始動ー
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第24話

 別々の部屋に入れられて各自取調べが始まった。


「我が国の公安の人間が先日、何者かによって殺害された。その人が監視していたのは君の家族だ。スパイ容疑がかけられて、監視されているのを知って殺害したんじゃないのか?」

「何の事を言ってるのかさっぱりわかりません。しかも、僕たちに疑いがかかるように誰かがその人を殺したとも考えれますが」

「他にもあなた方がスパイという証拠は揃っている。ご覧になりますか?」


 と言い、男は数枚の写真を机に置いた。

東條が誰かと立ち話している写真だ。


「父さん? この写真が何か?」

「君の父親と話している相手の男は秀国のスパイだ」

「スパイ……。父さんがなぜそんな人と?」

「それを君に訊ねているのだ」

「そんなこと言われても、僕は分かりません」


 嘘だった。

東條と一緒に写っている男は僕が侯国で手助けした秀国のスパイだ。


「まあいい。まだ証拠はある」


 そう言うと部屋の扉をノックする音と同時に扉が開き、一人の男が何か資料を渡して出て行った。

資料を受け取った男はニヤッと笑って僕の前にその資料を置いた。


「見てみろ。我々号国のスパイが君たちの母国である赤聖国に潜入して盗み出した資料のコピーだ。そうか、君は松田と言うのか」


 完全に僕達の情報は号国に渡ってしまっていた。

僕は流石に逃げ道が無くなり自供せざるを得なくなった。


「確かに。僕は赤聖国民だ。スパイ活動の為にこの国に来た」

「ほう。なかなか素直じゃないか」

「こんな所で足止めをくらっている場合じゃないんだ。今こうしている間にも僕のターゲットは号国を陥れる為に動いている」

「そんな口車に乗ると思っているのか?」

「そりゃ信用出来ないだろうな。だったら一つ教えてやる。明日、お前達の仲間が一人死ぬ」

「冗談はよせ。犯人であるお前達は完全に拘束している。ここで我々を殺すとでも言うのか?」

「ははは。号国はもう少し優秀な人間だと思ったんだけどな。僕が買いかぶり過ぎていたようだ」

「なんだと!!」


 男は僕を殴った。

部屋には他にも2人男が居るが、特に驚く様子もなく、何もしないでただ見ているだけだった。


「取引をしないか?」

「どの立場でものを言っている。お前は我々に拘束されているんだぞ? 取引など受けるはずがなかろう」

「じゃあ仲間を見殺しにするのか」

「お前の言う事が信頼できる証拠でもあるのか?」

「今は無いね。ただ、僕が今言っている事は事実だ」

「信用出来んな。明日も取り調べしてやるから、覚悟しておけよ」


 そういうと男は部屋を出て行った。

僕は残った2人に両脇を固められたまま牢へと向かった。

牢の中でも後ろ手に拘束されたままだった。

東條や村井、野々村は多分別の階の牢に居るのだろう。

翌朝、牢の外が騒々しくて目が覚めた。


「どうしたのですか? 何かあったのですか?」

「黙れ! お前が昨日言ってたそうじゃないか! 我々の仲間が殺されると」

「はい。で、本当に殺されたでしょ? 国永(クニナガ)さん」

「貴様! 誰が殺されるかも知っていたのか!!」


 牢の外で看守を務める男が激情している。

しかし僕は至って冷静だ。

僕がせっかく教えてあげようとしたのに無視するからそうなるんだ。


 すると、昨日取り調べをしていた男が僕の牢の前にやって来た。

看守が牢の鍵を開けると鬼の形相で入って来て僕に殴る蹴るの暴力を振るってきた。

床に血が滲むほどの暴行を加えて気が済んだのか、手を止めて息を切らしながら僕を睨んでいる。

「だから言ったじゃないか」と僕は笑って見せた。


「ふざけるな! 国永を狙うと分かっていたら救えたかもしれないのに、あの時なぜ名前を出さなかった!!」

「僕だけが情報を提示するのは不公平です。それ相応の対価を支払ってもらわないと」

「言ったはずだ、お前にはそんな権限はないと」

「ええ、それは聞きました。だから取引は不成立で僕は教えなかった。ただそれだけのことです」


「貴様……」と今にも噴火しそうな顔でこぶしを握り締めている。

僕はいくら殴られようが関係ない。

僕は僕の仕事をするだけだ。


「取引をしよう。お前たちのターゲットは何をしようとしている」

「取引をする気になってくれましたか。いいんですか? 僕、スパイですよ? しかも赤聖国の」

「構わん。俺の責任でお前と取引をする」

「分かりました。ではこちらからの要求は号国で堂々とスパイ行為をすることを認めていただきたい」

「なっ!!!」

「もちろん、号国を傷つけるようなことはしません。号国には様々な国のスパイが集まる。その情報を集めたいだけです」

「本当に我が国に手を出さないと約束出来るのか?」

「僕は自分から言った事は曲げません。信用がないなら僕が追っているターゲットについてお話しましょう」

「わかった」


 こうして号国の公安との取引が成立した。

僕は追っているターゲットについて説明した。


 東條が会っていた秀国のスパイは“ムウ”と呼ばれている。

僕が関わったあの一件から、秀国内では英雄扱いだ。

スパイとしての地位を確立していた。

そしてその地位を利用して号国と秀国の二重スパイをつくり、号国の公安の人間を次々と殺害していた。


 僕が前に会った“シンコウ”という人物は秀国と透国の二重スパイをしている男だった。

東條とは昔、任務で一緒に仕事をした事がある仲だそうだ。

そして今回のムウと手を組んでいる人物でもある。

ムウは各国の公安の人間を殺害する大規模な計画を立てているそうだ。


「そんな簡単に我々はつぶれないぞ」

「でも、現に重要な人材である国永を殺害されているではないですか」

「それはそうだが」

「いいですか? ムウはどこに潜んでいるのか分かりません。父さんが接触したと言う事は、父さんも何かしら手を貸しているに違いない。僕は流石にそこまで知らないが、調べる事は出来る」

「自分の父を疑うのか?」

「本当の父じゃない。それに僕はスパイだ。与えられた任務を完遂させるために動くのみ。そこで邪魔をするなら仲間でも容赦はしない」

「ほう。では三日。三日だけ解放してやる。もちろん監視は続けさせてもらうがな。その間にお前の任務とやらを完遂させてみろ」

「ありがとうございます。三日もあれば十分ですよ。終わり次第、自らここに戻ってきて差し上げましょう」


「面白い男だ」と言いながら後ろに立っていた看守に何か合図をして去って行った。

看守は僕の拘束を解き、屋外に連れて行ってくれた。

そして、三日間のミッションが始まった。

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