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赤聖国で生まれた僕は  作者: 真灯出愼
第3章―選択―
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第18話

 目の前に突如現れた涼さん。

僕は驚いたが、冷静に答えた。


「涼さん。あなたについていく事も考えたのですが、今はまだその時じゃないと僕は思うのです。ごめんなさい」


 「そうか」と少し寂しげな表情をした涼さんは少し考えた後、再び顔を上げた。


「純くんが長い間考えて出した答えだ。君の意思を尊重するよ。でも俺は諦めないよ。赤聖国を救う為に君が必要不可欠だからね」

「赤聖国を救う?」

「仲間になるなら教えるつもりだったが、まだ国のスパイとして働く君に教える訳にはいかない」


 涼さんは強い意思を持って国の陰謀を暴こうとしているのは十分伝わってきた。

すると、涼さんが急に僕の眼鏡を外して何かを始めた。


「もし君が俺の仲間になると思い直した時、眼鏡に付けたこのボタンを3回押せばいい。そうすればまた会える」


 そう言って僕に眼鏡を返してくれた。

確かに眼鏡の右レンズの縁の内側に小さなボタンが付いていた。

涼さんが独自開発していると言ってた通信手段なんだろう。


「涼さん。お母さんからの伝言があります。私は国の陰謀を止める為に自分を信じたと」

「そうか…」


 涼さんの目は涙で潤っていた。

そして僕の前から立ち去って行った。

家に帰り、お父さんとお母さんに僕の選んだ道を話した。


「僕は国のスパイとして働く」


 お父さんもお母さんも何も言わず受け入れてくれた。

少し寂しげな顔をして。


 次の日、国の人が家に来た。

これからは本格的に働くため、国の寮に入る事になった。

これから僕は「波多純」ではなく、「松田翔」として生きて行く。

国の人の車に乗り寮に向かった。

車のまま表門をくぐりどんどん中に入って行った。

建物の前に着き、座っている横のドアが開いたので降りるとドアマンをしていたのが香坂先生だった。


「先生! お久しぶりです」


 先生は僕に気付いていないようだった。


「僕ですよ、は……」

「私語は謹め」


 僕を案内する人が名前を言おうとした僕の言葉に被せて止めてきた。


「顔見知りが居ようが自分をアピールするな。スパイの基本だろうが」

「すみません」


 僕は歩き出した案内人の後ろをついて行った。

少し離れて香坂先生も付いてきていた。


「松田を連れてまいりました」

「入れ」

「失礼します」


 中に入ると国の偉い人であろう男性が机に座り、その前に1人の男が立っていた。

指示されてその男の横に立つと、立っていた男は武蔵野だった。


「君が松田くんだね。先日の透国の任務ご苦労様。武蔵野から聞いたよ。情報収集のスキルは高いようだ」

「恐れ入ります」

「これから武蔵野と共に潜入捜査に入ってもらう。任務達成までに何年かかるか分からないがやりきってくれるね?」

「もちろんです」

「それは良かった。あとは武蔵野から聞いてくれ」


 話が終わり部屋から出た後、武蔵野に連れられて別の部屋へ向かった。

そこでこれからの任務について説明を受け、いつ終わるか分からない潜入が始まる。

僕たちはこれから陽国ヨウコクで別人として暮らして行くこととなった。

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