表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
赤聖国で生まれた僕は  作者: 真灯出愼
第2章ー成長ー
13/49

第11話

模擬任務(前編)

 合宿3日目。

模擬任務が始まった。


【第39班に第27班のスパイが情報を横流ししている。暗号ブックを見つけ出しスパイを拘束せよ。スパイ容疑:39班05番】


 僕は第40班。全く関係の無いチームのことに首を突っ込む形だ。

この模擬任務は国同士を想定している。

他国の情報を横流ししているスパイを証拠と共に見つけ出すのはよくある任務だ。

そして他国同士の争いに首を突っ込む形も、雇われスパイとして働く僕たち赤聖国にはよくあることだ。


「それでは潜入は03番と23番に任せる」


 そう言って卓さんは2人に紙を渡した。

2人は直ぐ部屋を出て行き、残った僕たちは別任務が言い渡された。


【講師に全てのチームの情報を握り、情報錯乱を狙うものが居る。その講師を見つけ出し本当の情報を手に入れろ】


「この任務を残りの28人で行う。講師相手の任務だ。油断するなよ」

『はい!』


 僕はひとまず全講師の情報を手に入れる為、他のチームに聞き込んだ。

講師は全員で10人と宿長の合わせて11人。

任務には講師と書いてあったので宿長は対象から外す。


アスレチックの担当、笹永先生、火口(ヒグチ)先生、(サカイ)先生。

組手の担当、御山(ミヤマ)先生、堀田(ホリタ)先生、茶島(サシマ)先生。

フィールド担当、野間(ノマ)先生、堂阪(ドウサカ)先生、本間(ホンマ)先生。

講師長、(ミナミ)先生。


 一番情報を握っていそうなのは講師長である南先生だが、それは単純すぎる。

まず気になったのが野間先生だった。

野間先生のフィールド授業を受けた第12班から話を聞いたが、先生は常にイヤホンを付けている。

そしてわざわざ他チームの情報を流して士気を上げようとしてきたそうだ。

各チームに講師へ情報を流すスパイが居るのかもしれない。

しかし、もし本当に野間先生がスパイなら、そんな見え見えな行動をするだろうか。


「ヒトマルニーマル、ポイントG」


 卓さんから集合指示が入った。

ひとまず集めた情報を持ってGポイントへ向かった。

全員集まり情報交換と次の作戦に出る。

僕は野間先生の周りを徹底的に調べることになった。


 周りから攻めるだけでは確信も持てない。

直接話す手段を取る。

怪しまれない為には他の先生に話してる姿を見せるのが一番早い。

堂阪先生の近くへ行き、野間先生からも姿が見えるか確認。

大丈夫、しっかり見える。

後は話している姿を目撃してもらわなければならない。


「堂阪先生!」

「おお、君は波多くんだね」


 早速堂阪先生に声をかけた。

今はまだ誰も見ていないが、流れで呼び寄せてやる。


「昨日アスレチックからフィールドが見えてたので少し聞きたいことがあるんですけど、昨日の授業を担当した班はどこですか?」

「ん? 昨日は授業をしていないよ? もしかしたら野間先生じゃないかな?」

「あれ? 先生を見間違えましたかね?」

「野間先生! ちょっと来てもらえます?」


 堂阪先生が野間先生を呼んでくれた。

絶好のタイミングだ。

もちろん昨日の授業は野間先生だったことも知っている。

堂阪先生を利用させてもらった。


「どうしました?」

「波多くんが先生に聞きたいことがあるらしくて」

「すみません、わざわざ」

「じゃあ僕はここで」


 堂阪先生は去っていった。

僕はそのまま野間先生に質問をした。


「昨日の授業で担当していた班ってどこですか?」

「昨日は第39班だったよ。それがどうかしたのか?」


 39班……。今別任務で潜入中だ。

先生の容疑を確かめるにはちょうどいいネタがあった。


「先生は他チームにスパイ行為をしている生徒を知っていますか?」


 これで05番と言えば先生は情報を確実に知っている人物だ。

僕のあまりの直球な質問に先生は少し驚いた顔をしたが、すぐ笑って答えてくれた。


「あはは、君は直球だね。ああ知っているよ。39班にも居たね、敵チームに情報を流しているスパイが」


 居るとは答えたがはっきりしない。

ここまで来てしまえばもう聞くしかない。


「直球ついでにもう一つ。それは誰ですか?」

「んー。本当は教えてはいけないんだけど、堂阪先生を使って僕の警戒心を解き呼び寄せた君へのご褒美だ。39班05番だよ」


 来た!これで確信出来た。

後はこの事を報告すればいいだけだ。


「あまり驚いていないね、知っていたのかい?」

「はい。今任務で39班に仲間が潜入してます」

「ちなみに何番が潜入しているんだい?」

「それは流石に言えません」

「もしその潜入している生徒が二重スパイだったとしても?」

「二重スパイ……!?」


 これで終わろうとしていたのに先生から話を掘り下げてきた。

しかもうちの班にも二重スパイが居る口ぶりで。


「何人で潜入しているか知らないが二重スパイが潜入した場合、他の仲間が捕らえられる可能性が高いね。そうなると任務失敗の確立が高くなる。僕は君の班のスパイも知っているよ。番号を教えてあげようか」


 迷っている間に先生は僕の耳元で囁いた。


「君のチームに居るスパイは23番だ」


 そう言って去っていった。

23番は39班に潜入している。

もし本当にスパイなら03番が危ない。

しかし野間先生が錯乱させる為に言った嘘なら…?

情報を全て握っているなら39班05番がスパイということも、僕たちのチームから潜入している人も知っている。

混乱させる為に本当の情報と嘘の情報を混ぜている可能性だってある。

しかし本当にただ優しいだけの可能性もある。

話し始めた時、39班に何人潜入しているかを知らない口ぶりだった。

とにかくもう少し探る必要はある。

こうして僕は更に野間先生の周りの情報を聞き込み集めた。


「ヒトゴーゴーマル、ポイントA」


 集合指示だ。

Aポイントに戻り情報を伝えた。

しかし驚いたことに他の先生の情報を集めた人で野間先生と同じ行動をしている人物が浮かび上がった。

アスレチック担当の笹永先生だ。

笹永先生は野間先生と逆で03番が二重スパイだと言っていたそうだ。

どちらにしろ、潜入しているどちらかが二重スパイの可能性が高い。

となれば潜入は危険だ。

一旦引かせるか?

しかし卓さんは続行を選んだ。

今の状況で引くと怪しまれる。

という判断だ。


 日が暮れると今日の任務は明日に持ち越しだ。

ひとまず情報をまとめて次の作戦に出なくてはいけない。

しかし、何かが引っかかる。

この違和感は一体……


 日が暮れて夕食で食堂に全生徒が集まる。

39班のところに03番と23番がしっかり潜入している。

ジッと見ていると23番が何か手元を見た。

そしてこっちを見てきた。

僕が見られたのか? それとも隣の卓さんを見たのか?

その時は分からなかった。


 夕食を終えて就寝した。

廊下を歩く足音。

先生の見回りだろうか。

部屋を空けて中に入ってくる。

いつもココまで見回りはしない。

誰だ?

薄く目を開けて足音がする方を見てみる。

23番だ。

卓さんに作戦を聞きに戻ったのか?

しかし卓さんの場所を直ぐ離れて去っていった。


 23番と卓さん。

まさか……ね。

僕は再び眠りについた。

いや、眠らされたのだった。


 目が覚めるとココがどこか分からない。

手足が縛られ口もガムテープで塞がれている。

なぜ僕が捕まっているんだ!?

出口らしき扉が一つ。

それ以外は何もない。

その扉が開いて人が入ってきた。


 卓さんだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ