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赤聖国で生まれた僕は  作者: 真灯出愼
第2章ー成長ー
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第9話

チーム対抗 組手試合 決勝!

優勝はどちらの手に…

「それでは、始め!」


 チーム対抗の決勝が始まった。

一瞬で分かり辛かったが、“始め”の合図と同時に目の前を何かが通り過ぎた。

その何かを避けている間に背後から相手の腕が迫ってきた。

下に避けると首に何かが当たった。

糸だ。

気付いた頃には遅かった。

上を通り過ぎたはずの腕が真上から頭部をめがけて振り下ろされていた。


 完全に脳天を殴られた僕は気を失いそうになったがなんとか持ち堪え、前に逃れようと動いたが首に糸が食い込み動けなかった。


 そのまま相手は休む間も無く急所を狙って来る。

受け流しながら首の糸を外そうとするが、何重にも巻き付いているのか、なかなか外れない。

むしろ糸の両端が場外まで伸びて引っ張られ、僕はその場から移動する事が出来ない状態だった。


 為す術なし。

ただただ急所を狙って来る攻撃を少しでも急所が外れるように流すしか出来なかった。

しかしそれも限界が近づいていた。


 対策を考えていると首の糸が少し緩んだ。

仲間が端を持っている敵を見つけて倒してくれたんだろう。

緩んだ隙をついて糸を引き、端を手繰り寄せながら相手を交わして移動した。


 そして、首に巻き付いた糸を外し直ぐに攻撃に回った。


 巻き付いていた糸を離した振りをしたが、そのまま端を持って相手の背後に回り込んだ。

しかしプロである相手がそう簡単に背後を取らせてくれない。

直接攻撃を仕掛ける前に背後を取ろうと距離を取りながらの攻防が続いた。

あまりにも長引くので僕は一旦フィールド端まで距離を取った。

すると相手が急に動かなくなった。

僕は持っていた糸の端を場外の仲間にこっそり渡し、相手の近くまで戻った。


「見事だ」


 相手はお手上げだと言わんばかりの顔をしている。

気付かれないように糸を巻くのが大変だった。

完全に糸を振り払ったフリをして、先端を自分のチームに渡していた。


 プロ相手にどこまで出来るか分からなかったが、試合中に仲間からの暗号が僕に直接伝わって来たから優勢に立てたのかもしれない。


 普通は指揮者が実行者に直接指示を出す事なんて出来ないが、連携が上手くいき、最高のチームプレイが出来た。


 僕は止めを刺すために腕を振りかぶった。

すると相手は糸を切り解き、僕に向かって真正面から突進してきた!

しかし、僕の鼻に相手の拳が当たる寸前で相手は倒れた。


 実は距離を取って攻防している時、持っていた糸の一部を切って、その糸の端を地面に埋め込み、もう一つの端を輪っかにして隙を見せた相手の首に巻いておいた。


 糸を使う作戦に出たのは相手自身だ。

もちろん逆に利用される可能性も想定していただろう。

そのために糸を切る道具ぐらいは忍ばせていても不思議じゃない。


 身体全体に巻き付いていた糸を切って解いても、地面に固定された首の糸は切れてなかったようだ。

地面側の糸も一緒に切られてしまうか、切られず残るかの賭けだったが、今回は僕が勝った。


 こうしてチーム対抗の決勝は僕が直接攻撃をすること無く、相手が作戦で使ってきた糸を逆に利用して勝利した。


「やったー!!!!」

「純、よくやった!」

「やっぱお前スゲーよ!」


 チームのみんなが喜びながら駆け寄ってきた。


「卓さん、この試合は武器の使用は禁止だったんじゃ……」

「見え見えの武器の使用は禁止だ。しかしバレなければいい。これまでも全てそうだったろ?」


 確かにそうだった。

ルールは表向き必要だ。

しかし、それを欺くのが重要なんだ。

それに、今回は武器が見えなかったから勝てたも同然。


 試合中、直接僕に指示を出したのは卓さんだ。

僕がセンターで捕まってた時、糸でモールス信号を送ってきたのだ。

あの時既に両端は僕のチームが抑えてた。

僕と卓さんの反対側に居る仲間に作戦を伝えるには丁度良いとひらめいたそうだ。


 作戦が良くても実行出来る人材が揃わないと勝てない。

表に立つ僕が相手をいかに欺けるか。

それが鍵だった。

しかし卓さんは「無駄な心配だったね」と笑った。


「さあ、もう夜も深い。ひとまず今日はこれで終了だ。明日も長い1日になるから早く部屋に戻って休もう」

「はい!」


こうして特に優勝したからと騒ぎ立てる事もなく静かに1日目が終わった。


1日目はお祭りのようだったが、これは合宿場側からの歓迎セレモニーみたいなものだった。

本当の合宿練習は2日目からだった。

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