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あっちとこっち  作者: rurihari
3 売り物
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3-2 父親

 掌に包み込んだ土塊の珠に自分の源力を流し込む。

体の表面、今回は掌から力が出て行くイメージをすればすぐに出来る。もうメンバーへの装具の補充で何度も行っているし何も問題はない。


 じいさんの元に通って自分の源力を補充する装具は作れるようになったが問題は他人の異法を定着させることだ。

オウノじいさんは工術士としても高位であるため他人の異法を条件付けて付与させることも容易いのだが、実際にやってみようとするとなかなか難しい。こういった工術士のトレーニングはまずはカードを持っているなら誰もができる『念話』の機能を付与することから始まる。

その理由は異法士、術士、一般人の区別なく都市カードを持っていれば念話は扱えるものであるため、異法として源力で物質を支配して動かすということがイメージしにくい術士にも取っ付き易い。

そのために各人の(パーソナライズされた)源力を自分の源力と一緒に一つの物質になじませて定着させて、馴染んだ源力を介して各人への念話を可能にさせる。

念話できるアイテムはカードがある以上、不要なアイテムなのだがあくまでトレーニングとして行っている。


 パーソナライズされていない源力を扱ってる自分にはいまいち他人の源力というか自分と他人の源力との区別というか違いがうまく感じることができない。そのため、最初のトレーニングに四苦八苦している状態だ。

通常念話の機能を付加する場合は相手の体に自分の術を流し、相手の源力を混ぜた上で物質に定着させて行う。

他の異法士が物質に、医術士などが生きてる人間に源力を作用させることに比べて支配はしないものの物質に源力をとどめて作用させるという特異な存在が工術士といえる。その人数はそれほど希少でもないためにその特異性は認知されてはいないのだが。


 アマザに作ってもらった土の珠を手放し、オウノ爺さんに渡す。

じいさんはしばし握っていたが。


「ダメじゃのう。ワシの源力が混じっておらんのかお主への念話はできん。わしの体に源力を通してはいたが 結局「わしの体を通っただけ」の自分の源力だけをこの珠に込めておるな?」


「う~~~~ん、人や物に源力を込めたり流したり出来るのに混ぜることがうまくいかないとはなぁ。俺ができるのは源力の補充装具を作るだけなのかな。」


「いや、おそらくは出来るじゃろうが・・・・・・なんとなく理由は想像が付くのう?」


「どういうことだ?」


「お前は源力装具を作るつもりで源力を込めとりゃせんか? もしそうなら他人と比べてとんでもない源力量を注ぎ込んでおることになる。つまりわしの源力を1に対してお前の源力100で混ぜたらどうなる?ワシの源力は薄まってしまうじゃろ? 

 そこが問題ではないかの? 

角付きの空間操作能力を付与するならともかく、ただの念話にそんなに多くの源力は必要ないじゃろ、お前はもっと力を小さくして作業するようにしなければならんと思うぞ?」


「なるほど。ところでじいさんに聞きたいんだが俺が使う源力ってパーソナライズされてないから他人にも使えると思うんだが、なんで念話できるんだろう?パーソナライズされてないなら俺は他人と区別できないと思うんだが。」


「そりゃパーソナライズされてるからじゃよ。少なくとも源力がお前の体にあるうちはな。そうでないと物質化したカードにお前の情報が示されるわけがないじゃろ?」


「あっそうか。」


「ただお主の体から放出される時、パーソナライズが誰にでも使えるくらい僅かなものに変わるんじゃろ。そうでないと他人がお前の源力を使えたり爪や髪に変化がないことに説明がつかん。

そもそも全くパーソナライズされてないなら源力を扱うこともできんはずじゃから、物質に源力を込めることもできずに体から放出してもただ散るだけじゃろ?ま、これらは推察にしか過ぎんがな。

遺失した技術の中でも失敗とされていたものじゃからはっきりせんことも多いでな。資料も少なかったし既に手元にもないからのぅ。

 ただパーソナライズが極めて低いレベルでされておるならより他人の源力とも馴染みやすいはずじゃからすぐに工術士として高いレベルになると思うぞ。まずは相手の源力量に合わせて自分が扱う源力を下げてみるんじゃな。その状態で他人の源力を馴染ませたらどこがどう違っているのか分かり易いじゃろ。」


「なるほど、それが掴めない限りは先に進まないか。」


「そういうことじゃな。」


 つまり装具はより多く源力を留めるために全力でいいが他人の源力と馴染ませる時は微力で繊細に、か。


『カイル殿、親父殿が帰宅したのでそちらの都合がよければ会いたいそうだ。これからいいだろうか?』


 おっと、ダーナから念話だ。 先日の件か。


『分かった。どこにいけばいい?』


『中央都市管理棟の玄関前に来てくれ。私が迎えに出る。』


『わかった。すぐに出るよ。』


 俺は念話を終えると視点をじいさんに戻す。


「じいさん、今日はこれまでってことで。いつも仕事の後に邪魔して悪い。今度唐揚げでも持ってくるよ。」


「気にするな。それと唐揚げは遠慮するわい。美味いのは認めるがワシには油物は辛いでな。」


 オウノ医術院からしばし歩いて歪門を2回通って中央歪門広場へ、そこからよく見える5階建ての建物が複数並ぶ場所に向かう。

細長い建物が中央都市管理棟、お偉方の仕事場だ。その横にあるより大きい建物がお偉方こと上級職員に提供されている官舎となっている。


 言われたとおりに中央管理棟の前に来ると既にダーナは玄関前の地域案内版の前に立っていた。

薄い黄緑の髪がサラサラと夕暮れと共に出てきた風になびいている。

いつもは狩人の邪魔になるのか結いあげているので完全に下ろして白いワンピース姿。これから大森林に出るわけではないので当然普通の服を着ている。

これで時代がかったしゃべり方とあの格好で待ってなきゃ日本あっちでもいいとこのお嬢さんに見えるのになぁ。

髪の色が黄緑なのを除けばだけどな。でも日本人としては違和感あるけどこっちじゃ異法士の髪は元の髪の色(黒・金髪・茶色が多い)から変わるせいでおかしくは思わないんだ。


「カイル殿!思ったよりも早かったな。」


「出迎えに来てくれてありがとう。だけど妙齢の女性が足を広げて腕を組んで仁王立ちで待ってるのはやめた方がいいと思うぞ?」


「看板にもたれて待つか、座って待てというのか?そこまで私は現役の狩人だ、足腰弱るほど老いてないぞ?」


「いや、そういう意味でなくて、いいや。」


 話が食い違いそうだからこれ以上突っ込むのはやめておこう。


「では自宅に案内しよう!上級職員官舎内なのでな。玄関に警備がいるので一緒に入った方が面倒が少ない。いくぞ!」


 組んだ腕をほどいて先に歩き出す。その胸元には先日メンバー分と一緒に贈ったペンダントが揺れていた。


 上級職員に都市から提供されている官舎はとにかく広い。もちろん都市の運営と意思決定機関として優遇されていることもあるが、上級職員の家族以外にも住み込みで家政婦などを雇う場合が多いためである。しかしそれでも部屋は余るほどに広い。

官舎に入らず、同じ中央地区で居を構えてもよいがその場合は官舎が無償提供されているのに対して購入資金や家賃は実費となる。しかし上級職員は充分な報酬は貰っているので自宅で庭いじりをしたいと官舎に入っていないものもいるそうだ。無償提供されている官舎はあくまで上級職員である間だけということでいずれは出なければいけない。なので条件がよい家があれば官舎済みに拘る必要はない。


 ダーナの父は官舎に住んでおり、通された廊下や玄関の広さは日本あっちでの庶民の生活環境では見たことがないものだったので戸惑った。

しかし通された大きな部屋は広さの割りに殺風景で中心辺りに10人くらいが囲んで座れそうな横長のテーブルと椅子、壁際に横長のソファーが置かれてその前に小さなテーブルと向かい合うソファーが1組。 

イメージとして調度品や絵画や剥製なんかが置かれてるもんだと思っていたのだが一切無い。白い壁紙と発光石を掛けるためのもの意外に目を引くものは置かれておらず家具の商品が置かれていないショールームみたいだ。


 壁際にある奥のソファーに座る老人を祖父だと思っていたら父と紹介された。外見はオールバックにした白髪に蓄えられた口髭、顔から推察される年の割にはしっかりした体つきだ。上級職員というからには文官トップってイメージで細身で華奢だと思っていたが意外な感じだ。見た目よりも若いんだろうか?

 でもどう見えもカイゼル髭じゃないよなぁ。 


「呼びつける事になってすまんね。これの父親のアケーシという。聞いてるかもしれんが都市の上級職員をしておる。」


 立ちあがって自己紹介をしながら握手、はしない。こっちでは握手の習慣がない。それに狩人同士でもないので爪も見せて名乗る必要も無い、お辞儀もないのだが日本の小市民としての意識があるせいかつい頭を下げて挨拶してしまう。


「初めまして。一般人ですがポーターとして狩人をしているカイルと申します。」


 挨拶のあとアケーシのテーブル向かいの席を勧められ、ミントっぽい風味がかなり強いお茶を頂きながらダーナの奇行を止めてくれたことに感謝すると言われ、壁際の横長のソファーに座って会話を聞いていた当人はバツが悪そうな顔をしてそっぽを向いていた。

困ってたなら父親の自分が言えばいいのに。

ダーナだって身近で尊敬できる男性ってことで父親を参考に髭を付けてたみたいだから注意すれば素直に聞いていたと思う。

 しばらく歓談したあとに切り出した。


「ダーナさんからお聞きしましたが問屋から私の名前を聞いて会いたいと言われたそうですが?」


「うむ。ダーナ自室に戻っていなさい。仕事の話だからね。」


 というとダーナは素直にリビングを出ていった。

上級職員の仕事になると守秘義務が生じる内容もあるので家族から漏れるのを防ぐために席を外すこともこれまで多かったのだろう。 それなら自宅でせずに仕事場ですればいいとは思うんだが。


「平たくいえばこれの話だね。」


 ダーナが見えなくなってから彼が懐から出してテーブルに置いたのはダーナがつけてるのと同じペンダント。『偏食』メンバーに分けたもの以外はまだ手元に置いたままのはず。


「これはあの子の狩人メンバーのものだよ。

会ったことはあるだろう?前髪で目を隠した風の異法士。

彼女は狩人だがワシからの依頼であの子の行動の報告をしてもらっておる。

既に大人とはいってもアレの兄たちは次々に病で失っておってな。親としては残った一人娘が心配なのだよ。とはいえ大森林に出るならばワシに何ができるわけでもないのでな。彼女にストッパーとして危険を避けるように誘導してもらっておるわけじゃ。

 すまんがこのことはダーナには内密に頼む。」


 彼女? あのダブついた服着て「~っす」って言ってた異法士は女性だったのか。周りのインパクトが強くて気付かなかった。

考えてみれば女1人に男4人ってパーティー構成だと親としては危険に思うか。


「分かりました。でも知られても問題ないと思いますけどね。つまるところ無茶をしないようにメンバーに言い聞かせてるだけってことなんですから。」


 もし最初から送り込まれたんなら苦労して人を集めてリーダーとしてやってきたダーナは傷つくかもしれないがメンバーとして結成された後に依頼したのなら大きな問題にはならないだろう。


「それで本題なのだがね。この宝石のペンダント、君が大店おおだなの問屋リクコを通じて作ったもので良いのかな?」


「ええ、そうですね。ただその経緯はリクコのタンジーさんから原石の加工とアクセサリーへ使用した場合、外注したらどれくらいかかるものかを試してみるための発注で私が希望して頼んだわけではありません。」


「守秘義務はワシらにもあるので他言はしていないが、これに使われた宝石も含めて現在買取課に原石を持ち込んでいるのは今のところは1人だけ。それが君だということも間違いないかな?」


「買取課の実績が私しかいないならそうでしょうが他に採取している狩人がいるかどうかについてはわかりません。最近は0番地区に入る狩人も増えてるので私以外にも持ち込んでいないだけで入手してる狩人はいるかもしれませんよ?」


 あくまで俺たちのパーティーが探索している場所での岩場で集めたものだ。危険を承知で更に東西へ足を延ばして新しい岩場を探せば更に見つかる可能性は高い。

ただアップダウンが激しいあの0番地区で夕方までに都市に戻ってくることを前提にすると自ずと探索範囲は狭まる上に岩場が草や低木に覆われていたなら見逃すこともある。しかも巨獣の襲撃などを警戒しつつだ。遭遇したら逃げ切れない場合は狩らねば死ぬ、狩ったからには他の巨獣が血の匂いで誘われる前に指輪リングで帰らないと身の危険。

 そもそも岩場の近辺で採集できる情報すら伏せてあるから、俺たちのことを真似て岩場で狩りをしようとは思っても新しい岩場を探そうとは思わないだろう。なんせ岩場で狩りをした連中は足止めに失敗ばかりらしい。


「いずれにしても継続して数を持ち込めるほどの採取を行ってるのは君だけだろう? この年輪都市ではあまりこういった宝石や装飾品は人気がないが他の都市ではかなり高額で取引されている。それに君が持ち込んだ原石は他の都市では入手困難な大きさのものばかりと聞いている。君から見て宝石の採取や加工はこの都市の事業としてやっていけると思うかね?」


「わかりません!」


「即答だね。他の狩人が気づかず、そして買取課の窓口主任すら価値を判断できなかった宝石の原石を持ち込むほどの君でもわからないかね?」


「はい。

 そもそも私はこの都市以外の都市のことは知りません。

知識としてだけ知っている複数の都市以外にもどれくらいの都市があってどれくらいの人間が住んでいるのか?そもそもそれらの都市でこの宝石がどれくらいで売られてるのかも知らないわけです。

このペンダントにしても原石を提供するという名目だったので御代は支払っていませんしね。

宝石に価値を見出さなかった年輪都市の住民の私が原石に気付いたのは輝虫のおかげです。『綺麗な石』には興味を持たれていませんでしたが『綺麗な素材』である輝虫にはこの都市でも価値はありますからね。そこから需要を思いついただけです。

都市の事業としてやっていくならそれこそ大森林の巨獣のように狩っても尽きないほど埋蔵されている必要があります。ですが果たして私が見つけたところ以外にどれほど埋まっているのかはわかりません。ですが都市からの距離を考えるとそれが判明するのは次の都市拡張時となるでしょう。その時に都市としてすべての原石を回収してから考えても遅くはないのでは?」


「なるほど。」


「それに今、宝石の原石は取れてもここでそれを加工する技術者がいないことです。拙い加工品では宝石はその価値を下げるだけとなるでしょう。仮にその加工職人を育てるにしても年輪都市ではなく、もっと技術が進んでいるところで学んでくる必要がありますが・・・・・・」


「年輪都市の制度上 技術を付ける目的でも外に出るのは難しいか。」


「ですね。」


「新しい技術者や雇用が見込めるかと思ったがそう簡単にはいかんか。」


 そう言って背もたれに体を預ける老翁に尋ねる。ため息が出るほどではないが残念そうだ。


「年輪都市はそんなに職が足りなくて人が余ってるんですか?」


「いや、今のところはむしろ年輪都市だけでみると人が足りていない方だろうな。なんせ年輪都市は他の都市に比べて生産目的別に作った衛星都市が多い。それらに人口が散らばっているとも言える。

だが衛星都市で生産されているものは年輪都市だけで消費するものばかりだ。

 他の都市との交易を行うのに農作物と大森林からもたらされる素材だけではな。巨獣からもたらされる素材は需要はあるがどうしても入荷は一定しないので頼みにし難い。

それに穀物に関しては年輪都市以外でも栽培されてるものだから余所でも豊作だと足元を見られる。他の都市にない強みを更に持っておきたいわけだ。」


「なるほど。」


「そういえば今は君だけが独占しているせいか随分と儲けていると聞いているぞ? 既にそれだけ稼いだのなら遊んで暮らせるのではないのか? この都市では早婚を勧めておるからな、もちろん優秀な狩人が早々に引退するのは勿体ないが若いうちに身を固めるのも選択肢の一つだぞ?」


 こちらを見てニヤリとするアケーシ老。


「はぁ、実は来年結婚することが決まっておりまして。」


 すると残念そうに息を吐いて


「そうか、おめでとう。若くて金持ちという優良物件は女性が逃すはずはないか。都市の職員としては君のような若いものが早めに結婚して子供を儲けてくれるのはありがたい。」


 この人、俺にダーナを押し付けるつもりだったのかよ?


「ワシは今年限りで上級職員も勇退でな。来年にはここを出なければならんが中央地区に別に家を構えておる。いずれはそれらは娘が継ぐことになるだろう。

君も知ってるだろうがこの都市は一夫多妻を認めておる、君が良ければもう一人どうかね?娘が継いだ後は家も付いてくるぞ?」


「申し訳ありません。来年娶ることになってる妻は3人でして。」


 すると今度はがっくりと肩を落とす。


「まさか一度に3人もとはな。揉めることなく一度に娶るならうまくやっておるのだろうな。

 いや済まなかった。

考えてみれば君ほどの収入があれば家や金など魅力になるはずもないか。

今まで男の話題など振ってきたことがない娘だったのだが奇抜な格好をやめたと思ったら君から贈り物を貰ったと嬉しそうにいっていたものでな。親としては大森林で狩人を続けるよりは結婚して安全なところで暮らして欲しかったんだが。」


「申し訳ありません。ですがダーナさんなら他の狩人にも人気はありそうですけどね。」


 これまでの珍奇な行動のせいで生暖かい視線だけどな。


「縁がないなら仕方がないか。 

 ところで先ほどの宝石の件だがな、上級職員になった元外交課や交易課職員ですらいったことがないほどゲートを介する離れた都市にまで持ち込まれているそうだ。なんでも宝石の原石として別格の大きさらしい。個人でいくら持ち込んでも需要はまだまだ満たせてはおらん。君が直接交易人に売るのではなく買取課に持ち込む以上は都市にも利益は入る。なるべく多く採取して欲しいというのが都市としての意見じゃな。できればその存在や取れる場所を他の狩人にも明かして多くの狩人に持ち込んで欲しいところだが最初に見つけた既得権がある以上は仕方がない。あとはその財力を都市内で消費してもらうと有り難い。」


「検討します。ではお話はこれで終わりということで?」


「うむ。最後にだが、君は巨妖もしくは幻妖を見たことがあるかな?」


「いえ、年輪都市の歴史に初期にだけ登場して以後は全く目撃がないのでは?」


 年輪都市が廃墟の上から始まった時に人を襲ってきたと言われているがそれ以後は年輪都市の歴史にも登場せず、実は存在しないのではと言うものもいる。


「もし君が狩人として大森林でそれらしきものを見ても決して驚愕して襲わぬように。それに周りには話さないようにしてくれ。」


「例え巨妖が大森林の奥深くに存在していても私達のパーティーが活動するのは精々緩衝地帯から1か1.5ミイトくらいです。そんな危ない?存在には出会いませんよ。」


「何、あくまで仮定の話さ。

それに君たちは今、狩人の活動経験年数からすると異常なくらいの買い取りを出しているからな。それだけの巨獣を相手に無傷で戦えるほどに強いということでカムカ氏から何かあるかもしれん。」


 上級職員からの忠告が巨妖についてか。 狩人が集まる酒場での与太話ならともかくこういった人が忠告ってことは当然何か知ってるんだろうな。

だが触らぬ神に祟りなし、厄介事はごめんだ。


「カムカ・・・・・・どなたです?」


「君たちのパーティーにいるニミヤくんの父親だ。」


 俺はそれを聞いて表情を変えたつもりはないが内心ではいずれ厄介事がやってくる予感がした。ニミヤとアマザの父親、2人から聞いた印象じゃ関わりたくない人物だ。



アケーシ ダーナの父親 都市上級職員

カムカ ニミヤの父親 都市上級職員

タンジー 大問屋リクコの番頭


1ミイト=1キロメートル

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