2-17 赤髪亭にて
俺はマリアさんと赤髪亭の昼の営業を捌き、後片付けまで手伝った後はやかんに入ったお茶とコップを持って自室に帰ってきた。
パーティーメンバーに明かしていない重複化のことまでマリアさんに説明することになるとは思わなかった。
なんとなく「説明しなさい!」と感じる視線の圧力とどうも苦手な年上の女性に逆らえなかったのと誤魔化そうとしても質問が飛んできて咄嗟に整合性が取れるいいわけが考えられなかった。
年上の女性って言ってもアマザやタミーみたいに一つ、二つ上ならどうこうは無いんだが……買取課の女性職員に年上の人がいたら押しきられないようにしないとな。
自己反省をしながら皮袋の一つ机の上に広げている。
お気に入りの色や形の原石を持ち帰っては来てるが既にそれが10袋を越えている。とはいえお気に入りとして分けているのは4袋であとはコワい女性窓口担当を避けるために家に持ち帰っていたすぐに売ってもいい石だ。
例えこれらをすぐに売っても部屋に4つも袋が転がっているのは邪魔だ。それに俺の知り合いの女性陣にこれらを使ってアクセサリーを作るにしてもこんなに必要ないだろう。
一気に買取課に持ち込むことも考えたが北大門先の大森林で狩場としていた8つの岩場の周りですぐに拾えるものはもうない。
岩場の周りを掘り起こすか、岩場と岩場の間の大森林の土を掘ってみるなら別だろうが。
とりあえずお気に入りから更に選別して一袋くらいだけ残しておこうと思ってぶちまけているわけだが青色のものが思ったより少ない。色、濃淡、透明度、形は様々だが大きさは5モイト以上のものだけを持ち帰っている。あっちの世界の宝石事情は知らないがいくら原石とはいえ、こんな大きさのものは存在しないのではないだろうか?
(実際は存在しておりそんな大きな状態のまま一つの宝石として加工してるのではなく、複数の宝石に分割して加工している。)
透明度が高く、そしてより大きいものを各色で選んで抜き出していると念話が入った。
『こんにちはカイルさん。昨日はありがとうございました。』
交易課への納入で同行していた中央買取課窓口主任のサンタシからだった。
『サンタシさん、早速原石の納入催促ですか?今日明日の狩りの休日には持っていけると思いますよ?』
『ご配慮ありがとうございます。今日はそれとは別件でして。』
『別の依頼でしょうか?とはいっても原石か水晶岩くらいしか求めに応じられませんけど。』
『その件に絡むことなのですがウチの部下がご迷惑をかけたせいで原石の買取を見合わせておられるとのこと。
私が出ればよいのですがいつも対応できるとも限りませんのでお詫びに保管場所を提供したいと思いまして。』
『つまり売りたい時がくるまでそこに石を置ける場所を提供していただけると?』
『左様です。ですがこれは私の部下が粗相をしたためのお詫びとしてなので吹聴して頂くのはご遠慮いただきます。』
今のこの状況には渡りに船! だがたぶん、
『提供する場所ですが個人的なお詫びのため主任である私が持つ私室と応対室のうちの私室の方なのですが私の仕事の資料は対応室に移すので問題ありません。
それに鍵も私が管理するものなので職員が勝手に入ることもないでしょう。もし入ったのならそこに何があるか分かっているものの行いですから職員を心術士に調べてもらえばいいですし。』
『だけどそこに持ち込んだ石はすべて「中央」買取課で買い取らせて欲しい。ですか?』
『お察しの通りです。
3番及び0番地区の大門付属の買取課でも石をお売りいただいているご様子。それを中央だけに一本化していただきたいのです。少なくとも規定によりカイルさんの入手情報が秘匿される一年の間は。』
だろうね。さすが若くして中央の主任を任されることだけあって利に敏い。
供給先を囲い込みにきたか。とはいえ俺だってこの袋を持って長距離を歩きたくない。売り場と保管場所が同じなら楽だし、いざ水晶岩を追加で!って言われた時にパーティーが休みでないなら取りにいけない。
これは乗っておくべきか。
『分かりました。ではこれから余っている石を持っていくために台車を借りにいきますのでご用意願います。』
いくら石が詰まった袋とはいえその大きさから空隙率も大きく重複化をすれば全部背負えるかもしれないが袋が破けたら面倒だし台車ですべて運んでしまおう。お気に入りが入った袋だけは精査のため部屋に残すことにする。
それから夕方までは中央買取課との往復で時間が過ぎてしまった。
-*-
「三番地区の最外区ねえ・・・」
カイルから3番地区の最外区にある赤髪亭で部屋を借りているとは聞いたことはあるが普段はこの地区に出向くのは狩人として利用する3番大門こと東大門最寄の施設ばかりなのでそれを離れると土地勘がないのでまったく分からない。
都市中心部から年輪都市は外に拡張すること8回、都市の直径からすると一地区の最外部の長さは壁沿いに歩くと20ミイトを超える。
0番から6番当たりまでは主に居住地区なのでそこかしこに住まう人々が利用する店や施設があるわけだが都市拡張時にある程度計画されているため、無秩序に配置されているわけではないがいかんせん広すぎる。
カイルに念話で詳しい場所を聞いたものの本人は今、中央買取課にいて歪門の設置場所で待ち合わせることもできずにカイルに聞いた東大門の歪門地区からそのまま北へ向かう歪門を2つほどくぐった場所から3人は通りを歩いていた。
日は傾き都市中心から外へ向かう直線道路を歩きながら会話をする
過去の外壁跡を利用した円環大路に比べれば道幅は広くはないがそれでも男三人が肩を並べて歩いてもなんの問題もない。 都市中心へ向かってる道の先を眺めると霞んで見えない。最外部当たりから都市中心まで50000メイトほどはあるのでそれも当たり前ではあるが、建物が立ち並ぶ住居地区を一直線に中心へ向かう道がどこまでも続いているように感じる。もう少し時間が経てばこの道の果てに夕日が沈み始め、どこまでも長い影が背後に伸びていくだろう。
「で?ニミヤもホーヅも休みは女と会ってたってわけか?」
左にいる大男と右にいる細身の男に向かって恨みがましくいう。
「知り合いだ。妹達とも仲もいい。今日はのんびり水辺でくつろいで昼ごはんを馳走になった。」
「有意義なことで、ニミヤは?」
「俺はカコに呼びだされただけだ。頼みごとをされたんでそのことでもカイルに頼み事が出来たな。」
「可愛い許嫁ちゃんの頼みは断れないか?」
「妹分な! で、俺達への念話の感じじゃアッシャーはずっと修練か?」
「おう!お前たちみたいに女にかまけてないでしっかり異法を鍛えてたぜ!」
「なるほど、昼間っから舌に色が付くくらい果実酒を飲んでたか?何にやさぐれて昼間から飲んでたかしらんが元気出せ。」
ニミヤに肩を叩かれたアッシャーは
「ほっとけ!折角の休みにむさい男達に捕まって飲まされた上に愚痴を聞かされた俺の気持ちがわかるか?」
と毒づく。すると十字路の左から声をかけられた。
「あっ!男三人で何しとるん?」
そこに居たのはいつもの服に薄い上着を着たアマザといつもの様に目元以外は隠しているタミーの二人。
「お?ひょっとして二人共カイルと会った帰りか?あいつが借りてる部屋がある赤髪亭ってどこなんだ?」
「さぁ?うちらも装具に源力を貯めてもらいにカイルに会おう思て探してる途中やねん。」
「ってことはカイルはお前たちと会った後に出かけたわけじゃないのか。念話したのか?あいつは今中央買取課に出向いてるそうだぞ?」
「そうなの? 突然訪問して驚かせようかと思ったのに。」
「男の部屋にいきなり転がりこんで女がいたらどうすんだよ・・・」
「そんなことも含めて様子見っちゅうか それくらいするんやったら買取課の言い寄ってくる女に手ぇつけとるやろ?」
「だよなぁ・・・・・あいつひょっとして不能なのか?
妻帯してるわけでもパートナーがいるわけでもないのに言い寄られて何もしないとは。
アマザとタミーだって面と向かって告白したんだろ?」
と言うアッシャーに対して
「どうかな? 何やらそのうちアマザとタミーに言わないといけないことがあるってことだったぜ?」
というニミヤ。
「付き合っとるのがおるとか?・・・・・・」
と不安そうにいうアマザに対して
「例えそうだとしてもそこに混ぜてもらえれば問題ないわ。」
それがどうしたという感じのタミー。
「(怖・・・・・・)いや、そういう感じじゃなかったな。
そもそも言い寄ってくる女に手を出してないんだ、もしそれがパートナーに操を立ててのことならアマザたちの告白はその場で断ってたはずだろ? 本人からいずれお前たちに伝えるだろ。」
そんなことを言いながら道行く人に赤髪亭を訪ね歩く。
-*-
赤髪亭から原石が入った6つの袋を運び終わり、サンタシから鍵のスペアを貰って西大門最寄りへ続く歪門をくぐる。
サンタシからはついでに資料室にある薬草についてきのこに関するものはないかと尋ねたが、滋養強壮の類の薬草類は主観的な効果判断しかできないので需要はあるが効果が確実なものだとして売ることに抵抗があり、都市の買取課ではそれほど高くも多くも買い取っていないそうだ。そのため資料が少ないのだが市民の間で薬を扱う店ではそれらをメインに扱ってるところもあり、そこに卸している狩人ならきのこについて詳しいだろうと仔細を教えてもらった。
そのきのこを薬草として扱っている店に訪れたかったがニミヤから源力補充について念話が来たため、途中にある肉屋でバチカーの肉を買っただけで帰ることに。
赤髪亭の夜の営業中は無理だろうがその後なら厨房を借りてなんとかあっちの料理を再現したい。
まずはやっぱり唐揚げでしょう!
米がないのが不満だが鳥に近い肉質で淡白に見えて滋味があるので下味が馴染む時間がなくても美味しくなるんじゃないかなと・・・・・・ こっちじゃ肉は焼く、煮る、炒める、はあるんだが揚げるってのはほぼ無いんだよね。 そりゃまあ暑い昼間に揚げ物なんて遠慮したいけど年輪都市は過ごしやすいので夕食にはありなんじゃないかと思ってる。
ただウスターソースのようなものはあるが醤油がないとか調味料が日本と違うのでいくつか試してみるしかないか。
中央から東大門へ、そこから外壁沿いに北へ移動する歪門を2つくぐって中央へ向かう道を歩く。大路にある食材を扱う店が並んだところを右へ曲がって少し行ったところが赤髪亭だ。
台車やリアカーみたいなものはあるが動力は人力の世界なので搬入を考えて歪門やその近くの大路に店が集まり、そこから材料を買うので近くに食事処もあることが多い。
まだ赤髪亭の夜の営業が始まっていないはずだが厨房から匂いが漂ってくる。夜に試作を作るまでバチカーの肉を置かせてもらおうと食堂に入ると何故かメンバーが勢ぞろいして卵定食を食べている。
「何やってんだ?源力の補充をして欲しいんじゃないのかよ?」
「何って言われても食堂で夕飯食べてるだけだろう?」
ニミヤがそう返し、他のメンバーは黙々と食べている。
実はこの赤髪亭の料理や味付けはほかの店と異なっている。それはマリアさんの旦那さんが他の都市出身だったためで、使う調味料も他都市の交易品が混じっている。
「卵定食ってオムレツメインのものかと思ったら違う種類の卵を使って複数の料理を乗せてるとは思わなかったな。普通在庫とかを考えてつかう卵は1種類にするもんだと思うけど。」
「似た味に思えるけど調味料の使い方のせいか卵でもかなり違うわね」
メンバー同士で食事の感想を言い合っている。
「いや、それはいいからさ。チャージするから装具出してくれよ。」
「全部外してそこに置いてあるぜ?」
まだ夜の営業が早いのでパクついてるのはこいつらだけ。他のテーブルの上に装具が置いてある。
「すみませんマリアさん。うちのメンバーのせいで早めに開けることになっちゃって。」
装具を持って2階に上がる前にマリアさんに声を掛ける。
「構わないわよ。ぼちぼちアンジェも帰ってくるだろうし。」
まさかさっき話してた狩人のメンバーが勢ぞろいで来るとは思ってなかっただろうな。
「とりあえず俺は二階の部屋に装具を持っていくからな。飯食ったら受け取りに来てくれ。」
そう言って自室に入る。サンタシの私室を借りて原石が入った袋を移動させたがまだ4袋ある。他にはベッドと机くらいしかないからやつらが来たところで座るところがないな。
その前にコレを隠しておくか。
半透明の硬めの球状のグミのような弾性のある塊をベッドの枕の下に隠す。
-*-
「ふーん」
アマザが部屋を見回す。見回したところで殺風景なもんだが。
定食を平らげて部屋にメンバーが部屋にやってきたのでかなり窮屈だ。そもそもここは一般家庭の部屋を貸し出してるためそれほど広くない。できれば下の食堂で話したいが営業時間中にテーブルを占拠するわけにもいかない。
「で?装具への源力チャージは終わったけど何か相談でも?」
「ああ、俺たちは休みでも異法の修練を欠かしてないんだが出来ればどんどん源力枯渇を起こして個人総量を上げていきたい。
ところがカイルの装具は5回までだろ?
狩りをしてる日は帰り際にチャージを頼めるが狩りを終えて昼から修練した時や今回みたいな連休の日は不可能だしな。それにそろそろ各人の総量も上がって装具からチャージできる回数も減ってくるだろうから追加で装具を作ってもらえないかと思ってな。」
そう言ってきたのがアッシャー。どんどん強くなるのはいいことだ。
「構わないぜ。それに関しちゃ、いくつか思案中だ。」
「うちに頼んだあれやろ?」
とアマザ。
「そう、今付けている装具と源力補充を兼ねたものは今までどおり持ってもらうが全部の装具にあれを挟んだりしてると重くなる。それに誰か1人が極端に源力を消費した時に俺が身近にいないとその1人は源力切れを起こしたままになるだろ?だから誰でもが補充に使えるように各人が受け渡しできるように球の形をしたものを作って持ってもらうつもりだ。」
「あの中が空洞っての必要なん? 」
「気密である必要はないが空間がいるんだそうだ。大きいほど俺の源力も貯め易いらしい。」
「じゃあ、あの宝石?を使ったのは? 今のところ形を変えようとしたら割れてしもて出来てへんけど。」
「売り物として珠を繋げてアクセサリーにしようと思ってたんだけどね。できればみんなの源力補充装具を兼ねてね。 だけど金属の棒とか複数の組成からなるような岩なら異法で変形させることは出来てもああいった結晶構造をもつ鉱石は変形に耐え切れなかったわけか・・・・・・
やはり他の都市に売るか職人に任せないとだめみたいだな」
「そういやカコからいくつか分けてもらえないかって言われてるんだが構わないか?」
「ああ、だがあれを加工する職人がいないと自分で磨いて眺めるだけだけどな。ところで俺からもみんなに依頼がある。明日全員で石拾いを手伝って欲しい。仕事量として1人1万ピプずつ渡す。」
「そんなに!? 」
今の自分達なら普通の稼ぎといえるが普通の新人の狩人の収入なら3-4倍にあたる。タミーを含めて全員が驚くのも当たり前だ。
「そりゃいいけど、これまでの岩場はカイルが全部拾ってただろ?」
「今の俺たちのパーティーの活動範囲だと更に東西の岩場へは行くのはきついからね。原石はあくまで俺の副業だし。だからこれまで見つけた岩場の周りで根こそぎ拾って置こうと思ってね。」
「でもあたし達だと石がうまく判別できないかもしれないわよ?」
「いいんだ、それは後からやるから。 手順としてはこれまで狩り場にしていた岩場の周りの土をアマザとタミーの土の異法で掘り返す、そしてアッシャーとホーヅの水の異法で土を洗い流し石だけを残す。それを俺が集めて持って帰るんだがなんせ岩場の周りの全部の土だからな。たぶん俺だけでなく全員で石が入った袋を持ってもらうことになる。」
「俺は見張りだけでいいのか?」
「もちろん石を詰めて背負ってもらうぜ?といっても指輪で開いた歪門をくぐる程度の移動だけどな。でも一方通行だから各人が往復できないからな。1人向こうに行ったら全員で袋を放り投げてもいい。修練も兼ねて石満載の袋を固定した空気で運んでみちゃどうだ? 」
「そんなことをしたら一体明日だけで何回源力切れを起こすことになるのか
わからんな。とはいえ一回だけならいいか。」
「ん?違うぞ。これまで狩場にしていた8箇所全部の岩場で行うつもりだ。」
そういうとホーヅが異議を唱えた。
「無理だ。指輪は、一度使用すると、その日はもう使えない。すると8箇所全部を回ってから、帰るとしてそれだけの荷物を背負って、移動するのは不可能。」
ホーヅのいうとおり原石がどれくらい獲れるかわからないが一箇所で2袋程度としても8箇所回って16袋も石が詰まったものを持ち運ぶなんて無理だろう。
「指輪の効力が1日1回なのは歪門を一度開くことで指輪に溜まった源力を全部消費するためさ。だったら?」
「まさかカイル、あんた指輪に源力をチャージして何回も歪門を開けるっていうん?」
「そう。つまり一箇所の岩場で土から原石を洗い出して確保したら指輪で中央買取課へ、荷物置き場は確保したから原石を置いたらまた北大門へ戻って2つ目の岩場へってのを繰り返す。」
「こりゃ1日仕事だな。そりゃ一人1万ピプも弾むわけだわ。だけど源力補充装具も作ってくれるんだろ?俺は問題ないぜ。それにその仕事だけで明日は源力切れの回数もこなせそうだしな。」
そう言ったアッシャーに他のメンバーも賛意する。
ところがまあ北大門からアップダウンの激しい大森林を8回も上ったせいで翌日全員が筋肉痛になり、連休は更に1日延長されることになってしまうのだが。
「ちょっといいか? カイルに聞きたいことがある。」
「なんだニミヤ。」
「指輪に源力をチャージするって言ってたな。指輪って他の工術士が作った道具みたいに都市の中に置いてれば源力が溜まるってことだよな?」
「俺の師匠からそう聞いてる。角付きの歪門能力を工術士の能力で指輪に定着、その異法が付加された物体には俺達の体みたいに源力が溜まるようになるらしい。そして溜まった源力を消費することで付加された異法が発動すると。」
「じゃ何故カイルには出来るのにタミーやアマザの土の異法士には指輪にチャージができない?指輪のような金属なら土の異法士は源力を流せるはずだろう?」
「ああ、そのことか。
俺も工術士の技を師匠のところで教えて貰うようになって説明を受けたよ。
その理由は他人が源力を流して支配したものはそれが解除されるまで別の人間が異法で操れないことと同じだ。異法は自分の源力を異法を行使する物質に流して支配することで発現する。つまりアマザが異法で操っている土はその土からアマザの源力がなくなるまではタミーが異法で操ることはできない。それは個人から発せられた源力はその個人しか操れないようにパーソナライズされているんだろうな。そうでなければ他人が源力を通したものでも異法士なら操れるはずだからな。」
「指輪に関して言えば角付きの源力が工術士によって付加されているから土の異法士の源力を受け付けないのさ、指輪の力を発動するキーにはなるけどね。」
「なるほど、って?じゃなんでカイルの源力は指輪にチャージできるんだよ?」
「術士の源力は他人の源力に親和して力を発揮するだろう?それは体に溜まった源力を放出するときに行われる源力のパーソナライズが異法士のソレと比べて低いんだろうな。だけど俺が放出している源力はニミヤたちの体に溜まる前の状態の源力ってことだろ?」
「・・・・・・つまりカイルが使う源力は全くパーソナライズされてないってことなん?」
「そうらしい。
俺も師匠から聞いて初めて知ったんだけどな。異法士も術士も体に溜まった源力を外に使うならその人間用にパーソナライズされて外に源力が出ていく。その証が爪や髪の色の変化らしい。だけど俺の放出する源力はパーソラナイズされていない。だから医術士の力があったところで爪の変化も現れなかったし俺がプールした源力は誰でもチャージすることが可能だったってわけさ。」
(オウノじいさんはそれが分かってた上で爪の変化が出ない限りは医術士の研修は受けさせなかったわけだ。まぁ俺の力が公になるのを避けるためだって言ってたけどな。)
「なるほどな。操るためにはパーソナライズが必須の源力なのに、逆にパーソナライズされてないから操れないはずの素の源力を操れるのがカイルってことか。力もそうだが能力も常識はずれだな。」
「それはいまさらやん?」
「だな。」
「じゃ、明日はカイルの依頼がキツそうだしこれくらいで帰るか」
「そうね。じゃそれぞれ装具を持って帰らないと」
そういって目の前を歩いたタミーから覚えのある匂いがした。
「タミー、『カレー』食べた?」
「『カレー』って何? さっき卵定食なら食べたけど。」
つい年輪都市に存在しない『カレー』って日本語で言ってしまった。
「ええっと・・・匂いが強いスパイスが入ったスープを食べた?」
「ああ、今日中央で料理に使うスパイスをいくつか買って帰ったからその匂いが付いていたかもね?臭かった?」
「いや?食欲を増す匂いなんだが・・・そうか、似たスパイスはこっちにもあるのか。」
確かカレーを作るには香りのクミンとコリアンダー、辛さのチリ(唐辛子)とペッパー(胡椒)、色のターメリック(ウコン)だったな。米はないけどカレーが作れるかも知れないな。そう思いながらメンバーを送り出した。
なお見送りに一階に下りてからバチカーの肉があることを知った人物がこちらを爛々と輝く目で凝視してきたのだがあれは唐揚げを試作するまではと、きつくダメ出しをしておいた。無視して食べそうな気がするけど今日はマリアさんがいるから大丈夫だろう。
1メイトは1メートル
50000メイト=50キロ
1ミイトを1キロとしたんで50ミイト
当初の予定では下宿メンバーと狩人メンバーが全員顔合わせになるはずだったんだけどなあ
料理スキルを伸ばしておくのを忘れてたんで・・・あとヴェガの設定どうするかと、やっぱミイネが登場したときにちょっとやっておくべきだったかな




