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あっちとこっち  作者: rurihari
2 生活
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2-16 休日9 それぞれの休日 3

ねえやん、今日はどっこも行かへんの?」


 妹のマリハが声をかけてきた。私と同じく童顔、なのだがまだ年相応と言えるだろう。

童顔から幼さが最初の印象に来るかと思いきやその元気やノリの良さ、時折年齢にそぐわない意見をいうこともあっていくつなのか分からなくなる。 髪の色も少し濃い?あるいは褪せた感じのクセのある金髪で土の異法士となってから緑っぽくなったうちとは違う。同じなのは短い髪型だが身長はうちより低いがそれでも160モイトくらいはある。

 

 区切りがついたので3日連続で休みにした中日の今日は朝から自宅でくつろいでいた。昨日はカイルへの依頼の手伝いでタミーと一緒に出かけたが今日は用事もなく、リーダーとしての下調べや準備を仕事をすることもなくのんびりと過ごすつもりだ。仕事とは別でカイルと会うのもいいがずっと顔をあわせるのもよくないと思う。

 最近は昼過ぎに狩りを終えて、午後は暇にしているのだが朝遅くから起きだしてそのままてのんびりってのは狩人をやってるなら休日しかない。自己鍛錬はするつもりだが今日は昼から修練場でやればいいだろう。いつも目覚めがいいので遅くから起きるといっても昼前まで惰眠を貪るってことはなく、普段妹よりも早く出るので一緒に朝ごはんをとって学校が休みの妹とのんびりお茶を飲んでるくらいだ。

 実を言うとうちよりもはるかに男女の機微が分かっている妹からカイルに迫る後押しになる何かを得られないかと思っていたりする。母と育った私は父親のことを知ってから男友達はできてもそれ以上に発展することは避けていた。

妹は母以外にもウチがいたり、父親あのひとからの援助があったせいなのかあまり男に対して警戒がなく、あまり聞かない方言で喋ることをきっかけに交友関係が広く、異性の友人から付き合うことになった経験も多いらしい。

その経験を自分にも活かせないか話を聞きたい。男女の付き合いを今まで避けてきたのでそういった話を妹とすることはあまりなかった。

(異法の修練や狩人の仕事が忙しかったこともある。)

 こうしてゆっくりと考えるとカイルの意見による異法修練に身が入ってしまって当人との仲が思った以上に進んでいないことに気付いてマリハからの意見を聞いてみたいところだ。

 昨日の作業量からするとありえない稼ぎを得たことだし、なにか買ってあげてモノで釣るという手も……

いや、しかしどうやって男に迫ればいいかなんて聞くのが恥ずかしい。それに年下の妹に年下の男への言い寄り方を聞くなんて……


「家におるんやったら、シソーのところみたいに異法で涼しいにしてくれへん?」


「あの霧みたいなやつ?あれは水の異法でやるもんやからウチにはできひんで?」


 ホーヅとは同じ学校だったため、ホーヅの妹とシソーとマリハは同じ学校の同級生だ。シソーは180モイトを超えてるのでマリハと並んでも20モイトも違うのだが仲はいいらしい。誰と並んでもシソーとは身長差はすごいのだが。


「そうなん?この前夕方にシソーんとこに遊びに行ったらホーヅさんがおってやたら涼しかったんやけど姉ちゃんには無理なんか。土の異法ってはずれ?」


「なんちゅうことを……一番需要が多い異法は土なんやで?

 狩人でも必須の異法やし、都市の建築、補修とかでも一番使える異法やんか。仮に狩人を引退しても都市内の仕事にすぐに就けるし有利なんやで? 独自の修行はいるけど工業関連にも土の異法の需要はあるし。」


 そう言いながらテーブルの上のいくつかの石を代わる代わる手に取って形を整える。

それほど形にはこだわる必要はないがとりあえず直径5モイト程度の球状に形を揃え、他にもそしてカイルから託された宝石の原石がいくつか転がっている。


「あっそう。でもウチやったら涼しなるほうがええわ~。 つまりはずれはみんなが言うように火の異法士なんか~。」


 ぼやきつつテーブルに頭を横向きにつけて、指でうちが作った球や原石を指でいじって眺めている。

この球は石でなくニミヤやアッシャーたちが使ってる源力補充装具と同じ材料で作ったものだ。カイルから中身に空間を作ることと針などで小さな穴を開けるように言われている。


「そういわれとるけど火の異法士かって銭湯で湯暖めたり、移動屋台なんかでも活躍しとるやろ?

 確かに狩人としては活躍の場はないけど適材適所で便利なもんなんやで? 大体燃料費なしで調理できるんやから飲食店やったらその分儲かるやん。」


「そうやなぁ、うちも死亡率が高い街の外での仕事よりかは町の中で働く方がええもんな。姉やんみたいに稼ぎはええけど死ぬかもしれへんってのは勘弁やわ。」


「暇そうにしとるけど仕事は休みなのにあの人に会いに行かへんの?」


 爪楊枝を作った球に突き刺し、作業が終わったのでお茶飲もうとテーブルに置いていたカップを持ち上げながら応える。


「誰?タミー?」


ちゃう! ミーちゃんにあの人なんて言うかいな。6月の終わりごろ公園の椅子で並んで座ってキスされとったやん?」


「ブフォ!」


 お茶を噴出してしかも気管に入ってその後も激しく蒸せる。


「ちょっと汚い!」


「ゴホっ。」


 胸を叩いて落ち着いた後 マリハに聞く。


「なんであんたがそのこと知っとるねん!」


 少々声も荒くなった問いかけにマリハはまた顔を机につけて話し出す。


「あの日、声出してミーちゃんと念話した後に嬉しそうに出かけていったやん?」


 ミーちゃんってのはタミーのことだ。タミーの学校卒業後の経緯も知ってるがこのコは娼館についてもどういう仕事が知った上でタミーに対する接し方は変わってない。


 「あの日学校休みやったし、遊ぶ予定もなかったから何かあるかもって後つけたら修練場でつまんねって思っとたらすぐに出てきたやろ? そんでその後に男と会っとるとこ見てたし。」


「なんかベンチでの様子を見取ったら、挨拶みたいなやつで二人で真っ赤になっとるし、見とったこっちが恥ずかしなったわ。」


 マリハはそういったら姉のことなのでこっちを捕まえて怒ってくると思い、頭を起こして身構えていたのだが、


「……姉やん、顔赤いで?」


 妹のマリハにしてみれば意外だがアマザはこっちに突っかかることもせず、赤くなって俯いているのだがそんなに見られていたのが恥ずかしかったのか?


「うっさいなぁ!あの状況に至るまでに色々話しとったの! ええやろ? 人のことはほっとき!」


「そやけど興味あるやん?姉やん、今まで誰とも付き合ってなかったし、ホーヅさんの知り合い?」


「知り合いゆうか、ウチが募集したパーティーのポーター……」


「狩人?なんの異法士なん?」


「一般人やけど?」


「……姉やんと付き合うのは変わりもんやないと無理やと思っとったけど、一般人のポーターかぁ。キスしてきたんも男の方やったし、姉やんの狩人の稼ぎが目当てで男慣れしてへんところを騙されとるとか……」

 

「はぁ、うとくけどカイルはウチより稼ぎはええんやで? 金目当てっちゅう失礼なこといいなや。」


「金やないってことは姉やんのカラダ目当てか。ええカラダしとるもんなぁ。」


 といいながらアマザの胸を見てくるマリハ。


「ん~~、まぁええやんその辺は。体も魅力の一つやし!」


「そいつの目当てが姉やんの体っちゅうのは否定せえへんわけね。」


「そりゃまあ、視線があからさまやし。でもええねん、うちのために体張ってくれた人やし。」


「はいはい、ご馳走さん! そんで……そこまで入れ込んでるってことはやっと経験済み?」


「いや?告白したけどまだお互いを知ろうっちゅうたままやけど?」


「姉やんの奥手振りには驚きやわ。向こうも別に問題ないのになんで付き合うとこまでいかんかなあ?」


「しゃあないやろ?タミーもあいつが好きやし。」


「……ミーちゃんと取り合うとるん?」


「いや、……この都市は別に一夫一婦制とちゃうし……タミーもそれでええ言うとるから……」


 と妹の質問にうちの答えは次第に声が小さくなる。


バンっ!と机を叩いてマリハが立ち上がって言う。


「あっきれた!あの人と母さんと同じことになるわよ!一夫多妻が認められているからってうまくいくわけないでしょ!?」


 マリハは感情が強くなると方言が出てこなくなる。普段意識して方言つかってるのかな。


「あの人とカイルはちゃうもん!」


「……」


 マリハはため息をついて椅子に座りなおす。好きな相手を攻撃したところで帰って意固地になるだけど分かってるので自分もそれ以上むきになったところで無駄だ。年齢よりも心は大人びているマリハはあっさりと引いた。


 二人でカップのお茶を飲んで落ち着く。柑橘系の匂いが強いが味は薄い。

暖かいのだが飲むとのどに清涼感を残ししばし喋っていた二人は喉を休める。双方が落ち着いたところでマリハが声をかける。


「姉やん、女にもなってないわけやろ? その程度の進み具合でなんでいきなり一夫多妻とかって結婚の話になるん?先走りすぎやって。 普通に付き合ってからどうするか決めたらええやん。いくら都市が早婚を勧めてるっちゅうても強制とちゃうし。」


「そうやね。うちも明確に異性として好きな男が出来たから舞い上がってたんは認める。はっきりいってお互いをしろうっていってる段階でカイルはつきあってそのあと結婚なんてところまで考えてるのはウチもわからん。けどうちがカイルを好きなんは確かやねん。

あの人とおかんみたいに一人の男に女が二人なんてうまくいけへんってマリハが心配してくれるんは嬉しいけど。どうなるか見とってくれへんかな?」


「おかんみたいになっても? 」


「そうなってもたぶん後悔はせえへんと思うし」


「姉やんがおかんを見た上でそういうんやったらええか。」


「ありがと。」


「で、この土遊びとキレイな石って何すんの?」


「さ~? 予想はなんとなく。でもこの原石についてはなぁ……」


 そういって手にとって源力をなじませて形を変えようとするのだが。

バキッ!


「割れた。」


「そうなんよなあ……この球と同じように中に空間を作って形を球に出来ひんかって言われたんやけどうまいこといけへん。形を変えようとしたら割れてまうねんなぁ、変化させるのが急すぎるのかそれとももっと源力を込めんとあかんのか。いくつか失敗したからかなりの源力を込めてみたんやけどあかんかった。」


 そうして二人で割れた原石を突いているとアマザにタミーから念話が入った。


『あと1日休みがあるけど装具に源力をチャージしてもらいに一緒にカイルのところに行かない?』


このあとタミーどころかパーティーメンバー全員集合することになる。



1モイト=1センチ


家でリラックス状態だと暑さで脱いじゃう家族ですが午前なので普通に服着てます。

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