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あっちとこっち  作者: rurihari
2 生活
33/142

2-8 休日1 卵

 俺は今、タミーの家にお邪魔している。

別にタミーから迫られて為すがままに若さに任せて肉欲に溺れていたりするわけでない。むしろ逆である。

 今日はパーティーとして休みとなっている。先日の獲物の買取を持って、一級巨獣の撃退作業で止まっていた狩りを続けた結果、無事に次回(再来月である9月からの2ヶ月更新)の指輪の貸し出し条件をはクリアできた。

 いつもの狩りも午前で終えているのでウチのパーティーメンバーの時間的な余裕は普通の狩人よりも十分にあるわけだが、さすがに連続での狩りとなっていたために金銭的な余裕があることもあり3日間連続で休みとなった。

 アマザやタミーは折角の休みなので親睦を深めるために3人で遊びに行くことを提案してきたのだがいくつか問題が起こり、その対処に当たってるわけだ。


 事の起こりは一級巨獣の撃退後、日常に戻ったと思ったらアマザとニミヤが異母兄弟あることが分かったり、直後にニミヤの許婚がやってきたりした騒動をこなした翌日のこと。

 

 買取課からアマザに呼び出しがかかった。

 

 なにか不味いことがあったのかと思っていたのだがその逆、有望であることと最近オオアシを買取に出したことで別の課から調査依頼が出されたようで狩人との接点窓口になる買取課経由となったようだ。その依頼とはオオアシの卵の発見。

 

 養畜課によるとオオアシは体高3メイト以上もあり、足はダチョウのように走るのに適して長いが首は長くない。(ちなみに地球世界のダチョウだって最大2.5メートルくらいになるそうだ。まあ首と足の長さのせいもあるが) それで3メイトもあるのだからなかなかの巨漢なわけだ。間近で蹴りを食らうと死ぬことだってあるれっきとした3級巨鳥だが他の巨獣に比べて雑食ではあるが人間を食うことは稀で主に植物を食べる、縄張りを持つが個別に飼育すれば喧嘩をすることもなく養殖できるのではないか?腿肉や胸肉は当然量が多いし手間を掛けずに旨く食べられることで他の都市からの引き合いもある。それどころかオオアシ自体も他の都市でも食用家畜として飼えないかという話もあるそうだ。

 しかしその単独生活という生態からまとめて狩られることは少ないのでできれば安定供給を見据えて都市内で繁殖させたい。普段は雌雄分かれて暮らしており、狩られるのもその都度一頭だけなので繁殖に関する生態が今尚不明なままだ。なのでまずはどんなところに産卵されているか知りたいとのこと。依頼なので判明すればリングの規定買取額の条件の数日分して相殺するとのことだった。

 あくまで条件との相殺なので依頼料が入るわけではないが猟のついでに分かれば儲け物として成功の可否は保障できないことを了承してもらった上でアマザは依頼を受けてきた。


 そして俺にも中央買取課から呼び出しが掛かった。


以前にかなりの値がついた2回の水晶結晶を内包した岩の買取について、他の都市からの交易人に見せたところ所属している都市から是非追加で欲しいとの依頼がきたとのこと。

別の都市でも水晶くらいは取れるのだがあれほど大きく、透明度が高いものは滅多にないらしい。

 その都市では職業やその腕の序列を都市から授けられるモノでステイタスを高めており、序列や功績を表すものであるがゆえにそれなりに高価でないとありがたみがない。ちなみに授与するのではなくその地位にある限り貸し出すものであるとのこと。

 で、今回ほどのものが更にあるならこの水晶を都市からの与えるモノとして使いたいと打診があったそうだ。当然年輪都市としても儲け話なので更に売りたいところではあるのだが依頼を出して集めようにも入手先などの情報も無い中、危険な大森林に依頼を出して狩人を派遣するよりは実際に持ち込んだ俺を頼ることとなったらしい。


 この二つの件に関して休みを潰すことになってしまうのだが、さすがに大森林に転がる水晶が入った岩を持ち運ぶという個人依頼にパーティー全員の手を借りるのもなんなので巨獣が襲ってきた場合に最低足止めするために土の異法士、万が一ですぐに退避するために指輪が必要だろうという判断でタミーとアマザに協力を願い出たわけだ。

 

 そして初日の休みの午前中の今、報告書を纏めるためにタミーの家にお邪魔しているのである。なぜ自室でやらないかというといい加減、お気に入り、及び纏めて買取に出すことにして持ち帰っている宝石の原石を入れた布袋が部屋を圧迫し始め机が使えないためだったりする。


手元にはB4用紙よりも大きい厚い紙があり、メモに使う筆記用具よりももっと太く、濃い文字が書けるもので報告書を纏めているわけである。ま、アマザからの丸投げなんだけどね。


 あの後の狩りでオオアシを狩ることはなかったのだがニミヤの円盤操作の訓練も兼ねて高い視点からオオアシがいるかどうかを探ってもらった。

 これまで高い視点から大森林の周りを窺おうと思ったら巨木に登るしかなかったのだがニミヤがうまく操作できるようになってくれて助かる。それにより森の中で動かないオオアシは把握することは難しいが場所を変えて狩りをするうち2回ほど高い視点からオオアシを確認できたそうだ。

その場所に行ってみると当然上空視点から発見できたことからわかるように岩場のように周りに木が生えていない場所であることと、比較的土が軟らかい場所であること。

 以前にオオアシを狩って買取課に出したとき書類にオスとあったのでどうやって区別しているのか聞いたのだが足に水かきがあるのがメスと聞いた。

水辺に住まないオオアシに水かきがあるってことは土を掘るんじゃないかと思っていたがどうやらニミヤの目撃情報からすると当たりのようだ。


 俺達はニミヤが示した場所に向かったが気配を察知したオオアシは既にいなかったものの、その場所の土を掘り返して卵を発見することができた。

自分が食べるために捕獲した卵なら土に埋めることはないだろうから、まず彼らの卵だろうと一応買取課を通じて養蓄課に渡してもらった。日本あっちで見たTV番組で砂浜みたいなところに土に埋めて産卵する鳥をみたことがあったのがヒントになった。

 そしてその報告を私見を交えて書いてるわけだが・・・折角の休みにナニやってんだろう?


 とりあえずは要点として

・オオアシのメスは土を足で掘って産卵する。オスと違って水かきがあるのは土をかくためと思われる。

・産卵されていた場所は上空から日光が差すくらいに開けたところであることからオオアシはずっと抱卵するのではなく、昼間日光が当たる暖かい間は直射日光が当たった土で卵を温め、夜間は抱卵してるのではないかと思われる。


簡潔に書けばこの2点程度なのだが一応発見時の状況なども交えてそれらしくしておく。

 

 前日に断りを入れていたとはいえ、朝っぱらから机を借りに来た俺に飲み物を持ってきてくれたタミーに礼を言って聞いてみた。


「なぁタミー。オオアシが演習場みたいなところにいるとして異法士じゃない一般人が武器を持ってすぐに倒せると思う?」

「異法でも武器でもいいからあの足さえどうにかできれば可能でしょうけど・・・ わたし達の異法からも逃れるほどの足の速さだから倒すってよりはまず狭いところに追い込まないと難しいと思うけれど・」

「だよなあ・・・ そんであんなでかくなるまで仕切られた狭い環境で大人しく育ってくれるかってこともあるな。」


一応追加で書いておく。

・縄張りをつくる種なので喧嘩しないように仕切りで管理するにしてもストレスが掛かってうまく育たない可能性があること。

・うまく育った場合でもあの巨体を〆るには異法士の力を借りる必要性が生じること。

・牧畜都市での養蓄と同じく大森林での植物とは違うものを食べることで素材としての金属はおそらくは取り込まれないことと肉の味が変化する可能性があること。

・あくまで私見だが先に群れで生活するジバシリの繁殖を行い、そのノウハウが集積されてからああいった大型種の養蓄に挑むべきではないか?ジバシリを養殖することで「ジバシリしか」狩れない狩人は失職するかもしれないがその場合はオオアシの養蓄に仕事を回せるのではないか?


ってなこところかな。


卵の現物は既に買取課経由で渡しているから後はこいつをアマザに持っていってもらったら依頼は果たしたってことでいいかな。


ぼちぼち昼前だからアマザも合流しにやってくるだろうし。


そう思いながら午後の仕事について手書きの地図を広げて考えていたらアマザの声が聞こえてタミーが出迎えているようだった。


「早いうちから来とったんやね?」

そういいながら俺のいる部屋を見回すアマザ。

「別に変なことをしとったわけでもないと。」

「ほ~~~ぅ! コレを押し付けてきたのはどこの誰でしたっけねえ?」

「あっ!ごめんって、卵だけ持っていってもう終わったつもりになっとったわ。」

「だから別に「ヘンなこと」はしてるつもりはないぞ」

「悪かったって。(そやかてタミーは「機会があれば」って言うとったから二人でタミーの家にったらそう思うやん。)

ところでご飯食べたら例の件で大森林にいくんやろ?」

「ああ、ちょっと目立つから現場でばらしたいけどできれば傷がないキレイな状態で欲しいそうだからあのでかい状態で運び込むのが希望らしい。それで引き手にやってもらうと振動で割れそうだからタミーとアマザに動かしてもらいたいのさ。」

「?まぁ うちに出来ることやったら手伝うけど?」

「動かしてもらいたい?ってのはどういうことかしら?巨獣に対する足止めじゃないの?」

「それも兼ねてるんだけどね。とりあえずはまず中央買取課に行こうか。この報告書も一緒にだせばいいし。」


そういって俺達は三人で中央に向かってタミー宅を後にした。






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