1-23 明日から
以前に1-?として書いた内容が本来入るところだったのでダブってます。
いずれ1-?は消す予定
二人して茹でダコ状態になってたベンチでしばし無言で過ごした後、全員の午前の修練が終わったので明日からの朝の集合場所である0番出口狩人詰め所に集合した。
そして明日からの仕事終わりのミーティング兼夕食場の酒場を物色して全員で入る。 狩人は暗くなる前には帰るのがほとんどなので日本の酒場のように深夜まではやっていない。その代わり早めに切り上げた狩人のために昼過ぎから開いている。全員で食卓を囲むのは久しぶりな感じがする。
「明日からこの北大門こと0番出口近辺なんやけどな? 新人が入ることは少ないから3級を狙うなら狩れる個体は多いと思うで?」
アマザが明日からの狩場である0番出口近くの大森林の特徴を説明している。
「なんで新人が少ないんだ?」
「ほら、都市の北側って山になって河の上流にも当たるやん? 他の地区の大森林に比べて地形がかなりアップダウンが激しいとこなんやわ。 当然指輪がないとそんな地形を獲物を背負って降りてくるってことになるやろ?そのせい。」
なるほど、単に狩場まで遠いからでなく、こういった地形の関係でも指輪の有無で狩りの優位性が出てくるのか。
「でもまあ 歪門で水源部分と都市の水とを結んでる辺りまで行かへんかぎりは動物相も大きな変化がないらしいやけどな。」
「ってことは今月に狩った巨獣と大きな変化がないってこと?」
タミーの言葉にホーヅが答える。
「そうだ、だが、少し注意が必要。 起伏が激しいところでは、土でなく、岩場のところがある。土の異法士には武器が出しにくい。」
「でも鉱物を変形させることもできる以上は土の異法士って岩も動かせるはずだよな?」
そう言った俺にアマザもタミーも即答する。
「今のうちらじゃ無理やね。」
「ええ、確かに動かすことも変形も出来るでしょうけど実戦で使えるほどすばやく出来るかというと無理ね。例え今の源力補充があるにしてもね。」
「となるとやっぱり狩場にふさわしい場所を確保して誘い込むパターン?」
「そうなる。もしくは、カイルが俺たち水の異法士に、助言したように、使う土を予め移動させておくか。」
とりあえず地形の変化以外はそれほど変わりはないわけか。
「問題はや、折角カイルのおかげで源力の心配をせんでええようになったけど、どれくらい狩るか?っちゅうことやねん。」
「これまでと同じ方法なら、源力が尽きても充足が出来る分もっと多く狩れるもんな。」
その通りだ。ジバシリのような狩りやすい小型種なら兎も角、クロヅノイノシシなんてものは1日に一頭がいい所だった。
単純にその5倍の5頭は狩って帰ることが可能だろう。
「ん~~そやけどしばらくは1~2頭か多くても2-3頭にしといた方がええやろね。」
「なぜだ?折角、指輪も使えるんだ、源力の残量無視の力押しも試さないといけないし狩れるだけ狩ったらいいんじゃないのか?」
「モトスの件忘れたん? 周りから認識されとるキャリアや実力を越えるような成果を上げ続けたら変に絡まれるだけやで? それにこれまでみたいに狩りが終わったら源力が尽きるまで修練場で訓練するのも源力の残量から変に勘繰られることになるから避けるほうがええ。ってことで獲物を早々に狩ったら後は現場での修練に当てようと思うんや。」
「そうか。全部の指輪使用者が集まる中央買取場だから変に注目されたら全地区から注目されるか。」
「でもまあうちらよりベテランとか元々有名な狩人も一杯おるからまあ1日3頭くらいまでなら目立てへんとは思うんや。でもさすがに異法士1人1頭にあたる5頭とかはなあ……」
「俺はアマザの案に賛成する。実際に現場での修練も有益だし、修練場での訓練でなくカイルもいるわけだから追加の源力をプールするのも簡単だろうしな。」
「わたしもそれでいいわ。でも狩りに出る日は最低2頭は狩っておきたいわね。」
「あと指輪が交付されたから次の更新条件は2ヶ月の間で21日の規定買取価格クリアに緩和されるから、まずは買取課への規定日数を優先して、それから都市の買取課よりも高額で出されてる依頼をこなすのもええかもな。」
そろそろ今月の方向性も定まってきたし聞いておくか。
「ちょっといいか?」
「なんか別の案があるんか?」
「いやそうでなくてな、狩りのあと現場でみんなは修練だろ? その間俺はその周りで「拾い物」をしていいか?」
「拾い物?ってなんだ?」
「新種の登録もそうだけど有用なものがあれば報告義務とか買取がされてるだろ?バッグに入れて持ち帰れるものがあれば入手しておきたいな。」
「別にええんとちゃう? うちらもそれがしたかったら修練の合間にでも回りをみとったらええ話やし。ただそれをするんは全員の目が届く範囲やで! はぐれて1人でおる時に襲われたら難儀やし。」
「ああ、分かってる。俺は自分の力に自惚れてないよ。なんども言ってるけど臆病だからな。」
「よく言うぜ。」
「まったくだ。」
「まぁまぁ、例え謙遜でも慎重なのはいいことだわ。」
(いや、本当に死にたくないだけなんだけど)
「じゃ、とりえあえず明日からの方針はこれでええかな? あとは軽く飲んでお開きにしょうか?」
「かんぱーい」
「そういや、アマザは今日は早めに来て修練を終えてたけどなんかあったのか?」
「「ゴフっ」」
俺とアマザは仲良く酒を噴出した。
するとアッシャーは細い目を余計に細くしてニヤニヤしてやがる。
「ほほーん、そういうわけでしたか? ま、狩りの合間の貴重な休み「親睦」を深めるのも必要だな~?
」
などと白々しく言ってくる。 横のニミヤは冷やかしに乗るのではなくまた微妙な顔をしてるが今日の午前中にニミヤについてアマザに聞いておけばよかったな。
『アマザ、カイルと寝たの?』
「ブファ!」
タミーからの念話に再びアマザが噴いた。
「うおっ?どうしたアマザ?」
口元を拭きながら念話を返す。
『知り合ってまだ一ヶ月も経ってないんやで?そんなに身持ち軽ないで!』
『あらそうなの? アマザには悪いかも知れないけど私は機会があればカイルに抱いてもらうわ。』
周りの俺たちにはわからないが何やらアマザの様子がおかしい。
タミーの方を向いて口をぱくぱくしていたと思ったらその後 一気に果実酒を飲み干している。
『ええで、うちはうちのペースでいくわ。その、タミーみたいに上手いことできる自信もないし……』
『相手が好きなら突っ走ってもいいと思うけれど。どうなっても後悔はしないようにね。』
『ええもん いざとなったらウチが二番目でも。年輪都市の一夫多妻制度は続いとるし。』
『そうね。私も順番はどうでもいいわ。でもいざという時が来るまでには稼いでおきたいわね。』
『あ~~そうかぁ~って、もうそこまで考えとんのタミー?』
『カイルが受け入れてくれるなら、ちゃんと考えておかないと駄目よ?アマザ』
二人の女狩人が念話で会話するなか、ほかの男連中からの妙な視線浴びる俺だった。
その後はまだ早い時間だったのでパーティーとして拾い物がokとなったので調べるために先に酒場を出て中央買取課の資料室に向かった。
しかし俺はバッグからメモを落としていたのに気づいていなかった。
「お?カイルの席に落としもんがあるで?」
「メモのようだな。かなり高いはずだが薄いのを使ってるな。拾い物とやらを調べてるのかな?」
「カイルには悪いけれどちょっと拝見!」
『アマザ・キ
ウチのリーダー 土の異法士 童顔でありながら長身のボン、キュッ、ボン
方言もあって心理的な距離が近く感じる。出会った時に抱きつかれて走らされたりと奇行をする人かと思ったら案外まともでホーヅやタミーの件からすると情に厚い。ハガネイノシシの時にあっさり獲物を諦めたり引き際は心得ており、リーダーとしてはいいんじゃないだろうか?
結婚したら世話女房タイプだろう。
酔っ払うとすぐに脱ごうとするがオフクロさんのリラックス方法を見て育ったためらしい。向けてくれる好意に答えるためにまずは互いを知ろうと雑談をした中で小耳に挟んだが苗字を持っておりキというらしい。俺と同じ親が移民組みだから名字を名乗ることもあるか。
「童顔の悩殺ボデー」といったところ』
「うわっ カイルの人物評のメモやったんか。見ぃひんかったらよかった。」
嫌われているような言葉とかが無かったことに安心してるが人の心の内を覗いたようでいい気はしない。さすがに今日のことはメモに反映されていないようだが。
「まぁまぁ、確かに気まずい内容があるかもしれないがもしここでカイルが嫌だと思ってることがあるんなら治す努力をすればいいさ。折角の酒の肴だ。読み進めてみようぜ?」
というニミヤに対して反対するものがいなかったのでそのままカイルの人物評が続く。
『アッシャー
水の異法士 最初に出会った印象はアマザのストッパー しかし冷静に見えて実はお調子者ってことが分かってきた しかも悩んで落ち込んだりと以外にデリケート
細目はあの手合いのキャラの定番として見開いた時が本気モードなのだろうか?
体の大きさはホーヅに劣るとはいえあの体躯 いまいちあの恵まれた体を狩りで使いきれてないかも?とはいえ異法士が肉体を持ってどう戦うかは難しい。水流剣の使い手であることがそれを生かすことになるんじゃないかと思っている』
「なんか納得できんとこもあるんだが…… そもそも細目キャラってそんなんか?」
『ニミヤ
ドライな性格の風の異法士 エロい垂れ目の人
遠くの女性のスカートを風で捲りあげて恥ずかしがる表情を堪能しているそうだ その辺は共感できるし同じネタで一緒にうまい酒が飲めるかも?
しかし風を使った探査の応用で町行く女の体を撫でた風の匂いをかぐと興奮するといわれて引いた
さすがに俺はその域には達していない。彼には「風の変態紳士」の称号をこっそりつけておく
なお考えたくはないが……ひょっとして女性のアノ日の匂いを嗅いで興奮してるわけじゃないだろうな? もしそうならアマザやタミーに報告しておく必要があると思われる。』
「「イヤっ~~~~~~! 休む!! これからアノ日は休む!!」」
「違うって極近くから風を集めるならともかく、そうでないならやってないって!」
『初日の酒盛りでアマザにくっつかれてると睨まれた。最初に二人は恋人関係かと思ったがそうでもないらしい ニミヤの一方通行だろうか?
アマザがそれに答えるのかどうかは知らないが変態紳士の欲望はどこまでエスカレートするのか不明 ちょっとアマザが心配だ』
「やめて! 違うから! 変な目でみるなよ!」
『ホーヅ
初対面の印象と違い頭脳労働担当 空気も読める
体格が大きくて育ち盛りの妹達のために狩人やってる出来た人
額の難治性の化膿に続き、右膝の古傷も対処の目処がついた。これで大森林で酷使しない限りは快方に向かうのではないだろうか?
水をまとった格闘術ができるかもしれない いやそれはアッシャー向きか
この体躯から思い浮かんだスタイルは・・水の壁と水の高圧による水圧砲? 外見からの印象で悪いが面による力押しだ。特に水の壁は水流の強さにより攻防一体の技になるはず 』
「源力の消費を、気にしないからこそ、力押しの異法」
『タミー
アマザが童顔なら綺麗系の美人タイプ
でもその分 アマザが方言で童顔で親しみやすい印象を受けるせいか、対比で冷たい印象を受ける
事情は聞いていないが「都市の祝福」を受けた後 異法の訓練には入らなかったようでその分 源力の総量が同じ年に都市の祝福を受けたアマザよりも延びておらず少ないそうだ そのせいなのか異法の操作時に声を出して気合を入れている
挨拶時の手の白さや普段日光を避けてるところからすると美肌自慢?一度水着でお目にかかりたいものだ
タミーの事情を知った 人生色々だ もう既に家のことについては力になることはできないようだがあの日の帰り際に好みの髪の長さを念話で聞かれたが返答してないままだ、いずれ言わないと
若くして反対を押し切って結婚といい、迫られたことといい情熱家だと思われる
正直 次に迫られたら自分を抑える自信はないので「男」になるのかもしれない』
「カイル、「まだ」だったのか」
「ええやんか別に!……うちもそうやし…」
「そうよ、教えてあげればいい話よ」
「 お? こっからは知らん人や」
『マリアさん
大家さん 実母からはついぞ感じることが出来なかった母性のやさしさを感じる人 この前 偶然遭遇した姿はエロかった』
『アンジェ
オカン属性?火の異法者へのこだわりが強いそして気も強い その特徴である赤色をフィーチャーしてるのだが服どころか食べ物にまで求めるはやめてくれ』
『コーリン
とても14歳とは思えないほどスタイルがいい上に獣人族の特徴である体毛のせいもあるんだろうが暑がりで薄着がエロい だが外ではきちんとしているようだ バチカー狂いの白いネコ?トラ?ヒョウ?娘 普通に会話してはいるが一歩引かれてる気がする 』
『ヴェガ
無口、それに周りの意見に肯定してるだけなのでいまいち何に考えてるのか分からん コーリンとは反対の意味で14歳とは思えない
聞いたこともないけど実は成長が遅い獣人族とかってオチはないだろうな?
辛いものとか香辛料での強い味付けが好みのようだ。
こっちにアレがあれば塗りたくって食べさせてどういう反応を示すのか是非みたい。』
「なんやねん!! うちらがおるのに女ばかりやんか!!あんのムッツリ女好きが~~~~」
「まぁまぁアマザ 男ってそんなものよ?」
「あ? 他にもあるで」
『異法について
異法士の源力は術士とは違い、他人のものと混ざらないのはわかる。
だが同じものを異法で同時に支配できないだけで、別の異法士、あるいは同じ異法士でも別のものを支配するなら同時発動による複合の作業はできるのではないだろうか?
可能かどうかは分からないが例えば、』
「「「「「え?!」」」」」
アマザたちは異法士は単独での作業や分業での仕事が当たり前だと思ってるので
発想の違いに声を上げる。
『そして火の異法について
触れた物質の温度を上げるとのことだが つまり分子運動を任意で亢進させているのだろう。
単に酸素をくっつける燃焼を起こす能力なら、異法で調理時になべが熱くなるだけというのはおかしいからだ。まあ当然温度が上がれば周りの酸素と反応して燃えるのだろうが。
ひょっとすると分子運動の速度を操るのが火の異法士の本質か?ならば、』
「「「「「……」」」」」
なおも全員が黙る。アマザが全員をみて口に出す。
「どう思う?」
「わからん。とりあえず今はカイルの意見でしかない」
「試す価値はあるが、火に関しては……俺達のパーティーに火の異法士がいないから試しようがないな。というか何故そんなことを知ってる?親が移民なら別の都市では当たり前の知識なのか?」
「違うやろ。それやったらウチのオカンも他の都市の生まれやけどそんな異法士聞いたことないで?」
「分かってると思うがこの件は全員他言無用だ。そもそもこれはカイルのメモを覗き見したんであってあいつの内の意見でしかない。」
みんなが頷き、後日忘れ物としてメモはアマザからカイルに返却された。




