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ぽん太くんは、がんばっています  作者: 秋田コウ
第一章 一学期

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第8話 ぽん太くんの写生大会

今回は、ぽん太くんたちの「写生大会」のお話です。

広い校庭には、描きたいものがたくさんあります。

でも、ぽん太くんが見つけたのは、みんながあまり気づかない小さな世界でした。

ぽん太くんは、どんな絵を描いたのでしょうか。

 五月の空は青かった。

 今日は写生大会。

 三年生のみんなは、画用紙と絵の具を持って校庭へ出た。


「好きな場所を描いていいぞ」

 先生が言った。

 子どもたちは、それぞれ歩き始めた。

「ぽん太、何描く?」

 健太が聞いた。

「まだ決めてない」

 ぽん太は校庭を見回した。

 遊具。

 花壇。

 校舎。

 大きな桜の木。

 どれも楽しそうだった。

「ぼく、ブランコにする!」

「じゃあ、ぼくは校舎!」

 友達は、それぞれ描き始めた。

 ぽん太は、校庭をゆっくり歩きながら探していた。

「ぽん太」

 先生が声をかけた。

「まだ決まらないのか?」

「はい」

「急がなくていいぞ。時間はあるからな」

「はーい」

 ぽん太はうなずいた。


 その時だった。

 校庭の隅に、小さなタンポポが咲いていた。

 その横を、アリが一生懸命に歩いている。

 風が吹いた。

 タンポポが揺れる。

 アリは立ち止まり、また歩き始めた。

「……これだ」

 ぽん太は、その場にしゃがんだ。

 そして、画用紙を広げた。

 タンポポ。

 アリ。

 揺れる草。

 小さな石。

 空と校舎は、少しだけ描いた。

 健太がのぞき込んだ。

「え?」

「そんな小さいもの描くの?」

 ぽん太は笑った。

「うん」

「ここ、好きだから」

 健太は首をかしげた。

「ぽん太らしいな」

 ぽん太は夢中で筆を動かした。


 昼前。

 絵が完成した。

 先生が一枚ずつ見て回る。

「ブランコ、元気に描けたな」

「校舎も上手だ」

 そして、ぽん太の前で立ち止まった。

「これは……タンポポか」

「はい」

「どうしてここを描いたんだ?」

 ぽん太は少し考えた。

「ここが、一番きれいだったから」

 先生は、もう一度絵を見た。

 風に揺れるタンポポ。

 その横を歩くアリ。

 小さな世界が、画用紙いっぱいに描かれていた。

 先生は優しく笑った。

「いいところを見つけたな」

 ぽん太も嬉しそうに笑った。

「はい!」


 放課後。

 家へ帰ると、祐子が迎えてくれた。

「写生大会だったんでしょ?」

「うん!」

 ぽん太は画用紙を広げた。

「これ!」

 祐子は目を丸くした。

「まあ、かわいいタンポポね」

「アリもいるよ!」

 ぽん太が指をさした。

 惣太郎ものぞき込んだ。

「細かいところまで、よく見ているな」

「そこが一番きれいに見えたから」

 ぽん太は当たり前のように答えた。

 千春が笑った。

「私は校舎を描いちゃうな」

「そうなの?」

 ぽん太は首をかしげた。

「ぼくは、タンポポが好きだった」

 ハル子が静かに言った。

「ぽん太さんらしい絵ですね」

 リョウ子も微笑んだ。

「小さなものにも、すてきなところがありますからね」

 ぽん太は嬉しそうに笑った。

「うん!」

 みんなも笑った。


 身近なところにも、すてきなものがあることに気づいた、ぽん太くんでした。

大きくて目立つものだけでなく、小さな花やアリにも目を向けることができるのは、ぽん太くんのすてきなところです。

同じ景色を見ても、人それぞれ感じることや見つけるものは違います。

だからこそ、自分だけの発見は大切な宝物なのかもしれません。

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