表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ぽん太くんは、がんばっています  作者: 秋田コウ
第一章 一学期

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
5/50

第5話 ぽん太くんの遠足

子どもたちが楽しみにしている学校行事の一つが遠足です。

友達とお弁当を食べたり、自然の中を歩いたり。

楽しい思い出がたくさんできます。

でも、この日の遠足では、ぽん太くんらしい小さな出来事が待っていました。

 今日は遠足だった。

 松原小学校三年生は、市内の大きな自然公園に来ていた。


「班ごとに行動するように」

 山口先生が言った。

「はーい!」

 子どもたちは元気よく歩き始めた。

「ぽん太、早く!」

「待ってー!」

 ぽん太も班のみんなと歩き出した。

 木がたくさん並び、小鳥の声が聞こえる。

「気持ちいいねえ」

「今日は迷子になるなよ」

 健太が笑った。

「ならないよ!」

 ぽん太は胸を張った。

「たぶん」

「また『たぶん』か!」

 みんなが笑った。


 昼前。

 展望広場へ向かう途中だった。

 ぽん太が立ち止まった。

「どうした?」

 健太が聞いた。

 ぽん太は森の方を見ていた。

「……誰かいるみたい」

「え?」

「泣いてる」

 友達は耳を澄ませた。

「聞こえないけど……」

 先生も首をかしげた。

「聞こえないなあ」

「でも、一緒に行ってみよう」

 山口先生は、ぽん太と一緒に森へ向かった。


 茂みの奥から、小さな泣き声が聞こえた。

「うぅ……」

 一年生くらいの男の子だった。

 山口先生が優しく声をかけた。

「大丈夫だよ」

 ぽん太も男の子の前にしゃがんだ。

「どうしたの?」

「みんなとはぐれちゃった……」

「そっか」

 ぽん太はにっこり笑った。

「みんなのところへ行こう」

「でも……どっちか分からない」

 男の子が涙をぬぐう。

 山口先生は辺りを見回した。

「どっちから来たか分かるかな?」

 男の子は首を横に振った。

 その時だった。

 風が吹いた。

 ぽん太は、遠くから先生たちの声が聞こえた気がした。

(あっちかな)

 理由は分からない。

 でも、そう思った。

「先生!」

 ぽん太は山口先生を見上げた。

「こっちだと思う!」

 山口先生は少し驚いたが、うなずいた。

「よし、行ってみよう」

 三人は声のする方へ歩き出した。


「いたー!」

 先生たちの声が響いた。

 一年生の先生が駆け寄る。

「見つかった!」

 男の子は先生に抱きついた。

「ありがとう!」

 男の子がぽん太を見上げて言った。

「よかった」

 ぽん太はにっこり笑った。

 山口先生が驚く。

「ぽん太、お前、どうやって見つけた?」

「え?」

 ぽん太は困った顔をした。

「なんとなく」

「なんとなく?」

「うん」

「泣いてる気がした」

 山口先生は苦笑した。

「すごい『なんとなく』だな」


 帰りのバス。

 健太がぽん太を見る。

「ぽん太ってさ……」

「なに?」

「たまにすごいよな」

「そう?」

「でも算数は苦手」

「うるさいなあ」

 バスの中が笑い声に包まれた。


 その日の夜。

「遠足は楽しかった?」

 惣太郎が聞いた。

「楽しかった!」

「迷子を助けたそうですね」

 ハル子が言った。

「うん」

 リョウ子がおやつを運んできた。

「よく頑張りました」

「ありがとう!」

 惣太郎が笑った。

「どうやって見つけたんだ?」

 ぽん太は少し考えた。

「分かんない」

「でも」

「困ってたから」

「早く見つけなきゃって思った」


 その場が少し静かになった。

 ハル子が優しく言った。

「ぽん太さん」

「なあに?」

「その気持ちが、一番大切です」

 ぽん太は照れくさそうに笑った。

「えへへ」

 どうして見つけられたのかは、ぽん太にも分からない。

 でも、助けたいという気持ちだけは、本物だった。


 困っている人を放っておけない、優しい心を持ったぽん太くんでした。

遠足は、友達との楽しい思い出を作るだけでなく、助け合うことや思いやることの大切さを学べる一日でもあります。

ぽん太くんは、「どうして分かったの?」と聞かれても、「なんとなく」としか答えられません。

でも、その「なんとなく」の前には、「困っている人を助けたい」という気持ちがあります。

優しさがあるからこそ、小さな変化や助けを求める声に気づけるのかもしれません。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ