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ぽん太くんは、がんばっています  作者: 秋田コウ
第五部 三学期

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45/50

第45話 ぽん太くんの音楽会

三学期に松原小学校では、一年間の練習の成果を発表する音楽会が開かれます。

今回は、ぽん太くんたち三年生が、合唱とリコーダーの演奏に挑戦します。

少し緊張しながらも、みんなで心を一つにして演奏する姿を、ぜひ見守ってください。

 三学期のある日。

 その日は、松原小学校の音楽会だった。

 三年生は、合唱とリコーダーの演奏を発表することになっていた。

 朝から教室は少しそわそわしていた。


「なんだか緊張するなあ」

 健太が言った。

「ぼくも」

 ぽん太もうなずいた。

「間違えたらどうしよう」

 さくらも少し不安そうだった。

 山口先生が教室へ入ってきた。

「みんな、おはよう」

「おはようございます!」

「少し緊張しているかな?」

 子どもたちは笑った。

「大丈夫」

「今までたくさん練習してきました」

「大切なのは、一人で頑張ることではありません」

「みんなで心を合わせることです」

 ぽん太は小さくうなずいた。

 でも、やっぱり少しドキドキしていた。

 

 体育館には、たくさんのお客さんが集まっていた。

 保護者や地域の人たちも見に来ている。

 三年生が舞台へ並んだ。

 ぽん太は客席を見た。

 惣太郎と祐子、それに千春の姿が見えた。

 みんな笑顔で手を振っている。

 ぽん太も小さく手を振り返した。


「みんな」

 ぽん太が言った。

「深呼吸しよう!」

「え?」

「こうすると、ちょっと落ち着くよ」

 ぽん太は大きく息を吸った。

「すーっ」

「はーっ」

 健太も、さくらも、みんなで深呼吸をした。

「少し楽になった!」

 健太が笑った。

 みんなの表情が少しやわらいだ。

 山口先生が指揮棒を持った。

 体育館が静かになった。


 ♪ ドレミ……

 きれいな音が体育館に広がる。

 ぽん太も一生懸命に吹いた。

 その時だった。

(あっ)

 指が一本、違う穴へ行きそうになった。

(どうしよう)

 少しあわてた。

 でも、その時。

 隣から、さくらのリコーダーの音が聞こえた。

 前からは健太たちの音も聞こえる。

(みんなと一緒だ)

 ぽん太は落ち着いて指を戻した。

 演奏はそのまま続いていく。

 最後まで、みんなで演奏することができた。


 続いて合唱が始まった。

 山口先生が指揮棒を上げた。

 ぽん太は少し緊張していた。

(最初の歌い出し……)

 その時、さくらが静かに息を吸った。

 ぽん太もそれに合わせて、大きく息を吸った。

 山口先生が指揮棒を振り下ろすと、みんなの歌声が体育館いっぱいに広がった。

 一曲歌い終わると、体育館はしんと静まり返った。

 ぽん太は少しだけ心配になった。

(失敗したのかな)

 次の瞬間。

 パチパチパチパチ……。

 体育館いっぱいに大きな拍手が響いた。

 ぽん太は、ほっとしたように笑った。


 教室へ戻ると、山口先生がみんなを見回した。

「本当によく頑張りました」

「途中で少し間違えそうになった人もいたでしょう」

 何人かが照れ笑いをした。

「でも、最後までみんなで演奏できました」

「音楽は、一人で作るものではありません」

「みんなで心を合わせて作るものです」

 ぽん太が手を挙げた。

「先生」

「はい」

「ぼく、一回だけ間違えそうになりました」

 山口先生は優しく笑った。

「でも最後まで演奏できたね」

「はい!」

「みんなの音が聞こえたからです」

 ぽん太は少し考えた。

「みんながいたから、ぼくもできたんだ」

 山口先生はうれしそうにうなずいた。

「その通り」

「だから音楽は楽しいんだよ」


 放課後。

「ただいま!」

 春川家の玄関に元気な声が響いた。

 ハル子が迎えた。

「お帰りなさい」

 リョウ子も笑顔で迎えた。

「音楽会、お疲れさまでした」

 ソラがしっぽを大きく振りながら駆け寄ってきた。

「ワン!」

「ただいま、ソラ!」

 ソラはうれしそうにぽん太の足元へ寄ってきた。

 ぽん太はソラの頭をやさしくなでた。


 夕食の時間になると、家族がそろった。

「今日は音楽会だったんだって?」

 祐子が聞いた。

「うん!」

 ぽん太は楽しそうに話し始めた。

「最初はすごく緊張したんだ」

「でも、みんなで深呼吸したら少し楽になったよ」

「リコーダーも、一回間違えそうになったんだけど……」

「みんなの音を聞いたら戻れた!」

 千春が笑った。

「みんなで演奏するって、そういうことなんだね」

 惣太郎もうなずいた。

「一人ではできないことも、仲間と一緒ならできる」

 ハル子が静かに言った。


「一人一人の力を合わせることで、一人では生み出せない美しい音楽になるのですね」

 リョウ子もほほえんだ。

「心を合わせることは、音楽だけではなく、毎日の生活でも大切なことですね」

 ぽん太はにっこり笑った。

「うん!」

「またみんなで歌いたい!」

 家族みんなが笑顔になった。


 みんなで心を合わせると、一人ではできないすてきな音楽になることを知った、ぽん太くんでした。

音楽は、一人だけでは作ることのできないものです。

友達の音を聞き、自分の音を重ね、みんなで心を合わせることで、美しい音楽が生まれます。

音楽会を通して、ぽん太くんたちは仲間と力を合わせることの大切さを学んだのだと思います。

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