第44話 ぽん太くんのマラソン大会
二月の寒い日、松原小学校ではマラソン大会が開かれます。
順位を競うだけでなく、最後まであきらめずに走りきることが大切な一日です。
ぽん太くんは、みんなの応援を力に変えて、ゴールを目指します。
二月のある日。
その日は、松原小学校でマラソン大会が行われた。
朝から校庭には元気な声が響いていた。
「寒いねえ!」
ぽん太は両手をこすり合わせた。
「走ればすぐ暖かくなるぞ」
健太が笑った。
「ぼく、一番を目指す!」
「頑張れ!」
ぽん太も笑った。
「ぼくも最後まで頑張る!」
山口先生がみんなを集めた。
「順位も大切だけれど、一番大切なのは最後まで走りきることです」
「はい!」
子どもたちの元気な返事が校庭に響いた。
スタートライン。
「位置について」
みんなが身構える。
「よーい」
パン!
ピストルの音とともに、一斉に走り出した。
「頑張れ!」
応援の声が聞こえた。
ぽん太も自分のペースで走り始めた。
最初は少しゆっくり。
だんだん体が温まってきた。
「いい調子!」
ぽん太は笑顔だった。
前の方では健太が勢いよく走っていた。
「速いなあ」
ぽん太は思わずつぶやいた。
坂道に差しかかると、少し息が苦しくなってきた。
「はあ……はあ……」
(止まりたいなあ。)
「頑張れ!」
先生や保護者の応援が聞こえてきた。
ぽん太は大きく息を吸った。
前を見ると、健太が一生懸命走っていた。
その背中を見ていると、ぽん太も元気が出てきた。
「もう少し!」
ぽん太は自分のペースで走り続けた。
やがてゴールが見えてきた。
「あと少し!」
先生の声が聞こえた。
ぽん太は最後の力をふりしぼった。
ゴール!
「やったー!」
順位は真ん中くらいだった。
でも、ぽん太は満足そうに笑っていた。
ゴールすると、健太が待っていてくれた。
「疲れたー!」
「速かったね!」
二人は笑顔でハイタッチした。
教室へ戻ると、山口先生がみんなを見回した。
「今日は、みんな最後まで本当によく頑張りました」
先生は一人一人の顔を見ながら話した。
「一番になった人も、一生懸命走った人も、最後まで走りきった人も、みんな立派でした」
そして、ぽん太を見た。
「ぽん太」
「はい」
「最後まであきらめずによく走ったな」
ぽん太は少し照れくさそうに笑った。
「途中で苦しくなったけど……」
「応援してもらったら、もう少し頑張ろうって思えました」
山口先生は優しくうなずいた。
「応援する人も、応援される人も、お互いに力をもらえるんだ」
「はい」
ぽん太はうれしそうに笑った。
放課後。
「ただいま!」
春川家の玄関に元気な声が響いた。
ハル子が迎えた。
「お帰りなさい」
リョウ子も笑顔で迎えた。
「今日はお疲れさまでした」
ソラがしっぽを大きく振りながら駆け寄ってきた。
「ワン!」
「ただいま、ソラ!」
ソラはうれしそうにぽん太の足元へ寄ってきた。
ぽん太はソラの頭をやさしくなでた。
夕食の時間になると、家族がそろった。
「今日はマラソン大会だったんだって?」
祐子が聞いた。
「うん!」
ぽん太は今日の出来事を話し始めた。
「途中で苦しくなったんだけどね」
「みんなが応援してくれたから、すごく元気が出たんだ!」
惣太郎もうなずいた。
「応援の力は大きいからな」
ハル子が静かに言った。
「最後まであきらめずに努力することは、自分自身への大きな自信になります」
リョウ子もほほえんだ。
「そして、誰かを応援することも、とてもすてきなことですね」
ぽん太はにっこり笑った。
「今度は、ぼくも友達をいっぱい応援する!」
家族みんなが笑顔になった。
応援の声が、大きな力になることを知った、ぽん太くんでした。
マラソンは、速く走ることだけが大切なのではありません。
最後まであきらめずに努力することや、友達を応援することも、とても大切な学びです。
応援の声には、人を元気づけ、一歩前へ進む勇気をくれる力があるのだと思います。




