第42話 ぽん太くんの雪だるま
一月のある朝、目を覚ましたぽん太くんを待っていたのは、一面の銀世界でした。
雪の日ならではの楽しみに胸を弾ませながら、家族やソラと一緒に雪だるま作りが始まります。
冬ならではの楽しいひとときを、ぽん太くんたちと一緒にお楽しみください。
一月のある朝。
ぽん太がカーテンを開けると、窓の外には銀世界が広がっていた。
「わあ!」
夜の間に降った雪が、木の枝や屋根の上に積もっていた。
ソラも窓の外を見つめている。
「ワン!」
ぽん太は大急ぎでリビングへ駆け下りた。
「お父さん!」
「雪が積もってる!」
惣太郎が窓の外を見た。
「本当だ。こんなに積もるのは珍しいな」
千春も窓のそばへ来た。
「学校へ行く前に、少し遊べるかな」
リョウ子が朝食を並べながら笑った。
「まずは朝ごはんを食べてください」
「はーい!」
ぽん太は急いで席についた。
朝ごはんを食べ終えると、ぽん太と千春は上着を着て庭へ出た。
「冷たい!」
ぽん太は雪を両手ですくった。
「ふわふわだ!」
ソラも雪の上へ飛び出した。
けれど、足が雪に埋まると、びっくりしたように立ち止まった。
「ワン?」
ぽん太が笑った。
「ソラ、雪は初めて?」
ソラは慎重に一歩進み、それから元気よく庭を走り始めた。
「ワン! ワン!」
「雪だるまを作ろう!」
ぽん太は雪を丸め始めた。
千春も隣で雪玉を作った。
二人で転がしていくと、雪玉は少しずつ大きくなった。
「重くなってきた!」
「もう少しだよ!」
惣太郎も庭へ出てきた。
「大きくなったな」
「お父さん、持ち上げるのを手伝って!」
「よし」
三人で力を合わせ、大きな雪玉の上に少し小さな雪玉を載せた。
「できた!」
ぽん太はうれしそうに拍手した。
目は小さな石。
鼻はにんじん。
口は細い枝。
千春が古いマフラーを巻いた。
「かわいいね」
ぽん太は雪だるまを見上げた。
「でも、一人だけだと寂しそう」
「雪だるまなのに?」
千春が笑った。
「うん」
ぽん太は少し考えた。
そして、また雪を集め始めた。
「今度は小さいのを作る!」
二人で小さな雪玉を二つ作り、雪だるまの隣に重ねた。
目は黒い小石。
鼻は短い枝。
首には、青い毛糸を巻いた。
「できた!」
大きな雪だるまと、小さな雪だるまが並んだ。
「親子みたいだね」
千春が言った。
「うん!」
ぽん太は二つの雪だるまを見つめた。
「これなら寂しくないね」
その時、ソラが小さな雪だるまのそばへ近づいた。
くんくんと匂いをかぎ、しっぽを振る。
「ソラも仲間に入りたいの?」
「ワン!」
ぽん太はさらに小さな雪玉を作った。
丸い体に、小さな顔。
耳の代わりに短い枝を二本つける。
「ソラの雪だるまだよ!」
千春が笑った。
「三つになったね」
大きな雪だるま。
小さな雪だるま。
そして、ソラに似た小さな雪だるま。
庭に三つの雪だるまが並んだ。
学校へ行く時間になると、ぽん太は雪だるまたちに手を振った。
「いってきます!」
ソラの雪だるまにも言った。
「ソラのこと、見ててね!」
ソラは本物の自分と雪だるまを見比べ、小さく鳴いた。
「ワン!」
放課後。
「ただいま!」
ぽん太はランドセルを下ろすと、すぐに庭へ向かった。
雪だるまは、朝より少し小さくなっていた。
ソラの雪だるまは、片方の耳が落ちている。
「あっ!」
ぽん太は急いで枝を拾った。
「大丈夫?」
枝を元の場所へ戻す。
けれど、雪は少しずつ溶け始めていた。
「明日には、もっと小さくなっちゃうかな」
ぽん太は寂しそうに言った。
ハル子が庭へ出てきた。
「雪だるまは、ずっと同じ姿ではいられません」
「なくなっちゃうの?」
「はい」
「ですが、今日みんなで作ったことや、一緒に笑ったことは残ります」
ぽん太は三つの雪だるまを見つめた。
「思い出になるの?」
「その通りです」
夕方になり、家族がそろった。
ぽん太は雪だるまの話をした。
「小さくなってたけど、まだ三つ並んでたよ」
祐子が優しく笑った。
「明日、写真を撮っておきましょうか」
「うん!」
惣太郎もうなずいた。
「姿がなくなっても、写真と心の中には残るからな」
ぽん太はにっこり笑った。
ハル子が静かに言った。
「形が変わっても、大切な思い出まで消えることはありません」
リョウ子もほほえんだ。
「みんなで作った楽しい時間を、いつまでも覚えていたいですね」
ぽん太は窓の外の雪だるまに向かって手を振った。
「また雪が降ったら、みんなで作ろうね」
冬の一日にできた三つの雪だるまは、春川家に温かな思い出を残してくれました。
形がなくなっても、楽しかった思い出は心に残ることを知った、ぽん太くんでした。
雪だるまは、やがて溶けてなくなってしまいます。
でも、一緒に笑った時間や心が温かくなった思い出は、いつまでも心の中に残ります。
三つの雪だるまが教えてくれたのは、大切なのは形ではなく、家族や友達と過ごしたかけがえのない時間だと思います。




