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ぽん太くんは、がんばっています  作者: 秋田コウ
第四章 冬休み

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第39話 ぽん太くんと正月の遊び

春川家では、おじいちゃんとおばあちゃんと一緒に、お正月ならではの遊びを楽しむことになりました。

遊びの中には、昔の人たちの知恵や願いがたくさん詰まっています。

 一月三日。

 昼食をすませた頃、幸之助が物置から大きな木箱を持ってきた。


「今日は、お正月の遊びをしよう」

 ぽん太は目を輝かせた。

「どんな遊び?」

 箱を開けると、中には凧、福笑い、それに百人一首が入っていた。

「わあ!」

 ヘレンがほほえんだ。

「どれも昔から、お正月によく遊ばれてきたものなのよ」

「早くやろう!」

 ぽん太はうれしそうに凧を持った。


 家族みんなで近くの広場へ向かった。

 冬の空は青く澄み、ほどよい風が吹いている。

 惣太郎が凧を高く持ち上げた。

「ぽん太は糸巻きを持って」

「うん!」

 ぽん太は糸巻きをしっかり握った。

 幸之助が空を見上げた。

「風が来るぞ」

「今だ!」

 幸之助が叫んだ。

 惣太郎が凧を放した。

 ぽん太は勢いよく走り出した。

 凧はふわりと風を受けて浮かび上がった。

「上がった!」

「そのまま」

「風が引っぱっているのを感じたら、少しずつ糸を出してごらん」

 幸之助が言った。

 ぽん太はゆっくり糸を伸ばした。

 凧はぐんぐん高くなっていった。

 風が少し強く吹いた。

「糸を引きすぎないように」

 幸之助が声をかける。

「風に合わせて少しずつ出すんだ」

 ぽん太は風を感じながら、少しずつ糸を伸ばした。

 凧は青空の高いところまで舞い上がった。

「すごい!」

「鳥みたい!」

 ソラも楽しそうに走り回った。

「ワン! ワン!」

 幸之助は、凧を見上げながら言った。

「凧は人が飛ばしているようで、実は風が飛ばしてくれているんだ」

「だから、風に合わせて糸を出したり引いたりすることが大切なんだよ」

 ぽん太は空を見上げた。

「じゃあ、ぼくは風のお手伝いをしてるんだね!」

「その通り」

 幸之助はうれしそうにうなずいた。


 家へ戻ると、今度は福笑いを始めた。

 祐子がぽん太に目隠しをした。

「ここかな?」

 鼻を置く。

「目は、このへん!」

 口も置いた。

「できた!」

 目隠しを外す。

「あははは!」

 目はおでこ。

 鼻はほっぺた。

 口は少し曲がっていた。

 家族みんなが大笑いした。

 ぽん太もお腹を抱えて笑った。

「変な顔!」

 ヘレンが笑いながら言った。

「福笑いはね」

「新しい年を笑顔で迎えられるようにという願いが込められた遊びなのよ」

「だから、たくさん笑えば大成功なの」

「そうなんだ!」

 ぽん太はもう一度挑戦した。

 今度も、やっぱり変な顔になった。

 春川家に笑い声が広がった。


 たくさん遊んだあと、リョウ子がお盆を運んできた。

「皆さん、お疲れさまでした」

 湯気の立つお汁粉が並んでいた。

「わあ!」

「お汁粉だ!」

 ぽん太はうれしそうに声を上げた。

 リョウ子がほほえんだ。

「この前、皆さんでついたおもちですよ」

「ほんとだ!」

 ぽん太は、おもちを見つめて笑った。

「やっぱり、自分たちでついたおもちはおいしいね!」

 みんなで温かいお汁粉を食べると、体も心もぽかぽかになった。


 休憩のあと、幸之助が木箱から百人一首を取り出した。

「最後は百人一首をやろう」

 床には、ひらがなで書かれた下の句の札が並べられた。

 ぽん太は不思議そうに見つめた。

「どうやって遊ぶの?」

 幸之助が説明した。

「百人一首は、読み手が歌を読むんだ」

「歌には前半の上の句と、後半の下の句がある」

「床に並んでいる札には、その下の句だけが書いてあるんだ」

「読み手は歌を最後まで読むけれど、歌を覚えている人は、上の句を聞いただけで下の句が分かる」

「だから、下の句が読まれる前でも、札を取ることができるんだ」

「なるほど!」

 ぽん太は札を見回した。

「難しそう」

 最初の歌を幸之助が読み始めた。

「春過ぎて 夏来にけらし 白妙の……」

 パシッ!

 千春が一枚の札を取った。

「えっ!」

「まだ最後まで読んでないよ!」

 千春が笑った。

「この歌は覚えていたから」

 幸之助は歌を最後まで読んだ。

「……ころもほすてふ あまのかぐやま。」

「なるほど!」

 ぽん太は感心した。

「覚えていると、こんなに早く取れるんだ」

 幸之助は次の歌を読み始めた。

「田子の浦に うち出でてみれば 白妙の……」

 ぽん太は札をじっと見つめた。

(どれだろう……。)

 幸之助が続けて読む。

「富士の高嶺に 雪は降りつつ。」

「あっ!」

 ぽん太は下の句が書かれた札を見つけると、勢いよく手を伸ばした。

 パシッ!

「取った!」

 初めて一枚取ることができた。

「やったー!」

 家族みんなが拍手した。

 千春も笑顔で言った。

「初めて取れたね」

 幸之助もうなずいた。

「よく見つけたな」

 ぽん太はうれしそうに札を見つめた。

「やっと取れた!」


 夕方。

 遊び終わると、ぽん太は満足そうにソファへ座った。

「ゲームも楽しいけど、昔の遊びも面白いね!」

 惣太郎が笑った。

「体を動かしたり、頭を使ったり、みんなで笑ったり」

「昔の遊びには、いろいろな楽しさがあるんだな」

 ヘレンもうなずいた。

「遊びには、その国の文化や知恵がたくさん詰まっているのよ」

 ぽん太は大きくうなずいた。

「またみんなで遊びたい!」

 ハル子が静かに言った。

「昔から伝わる遊びには、人と人をつなぐ知恵や楽しさが受け継がれていますね」

 リョウ子もほほえんだ。

「みんなで笑いながら過ごす時間が、お正月の一番すてきな思い出になりますね」

 窓の外には、冬の澄んだ夕空が静かに広がっていた。


 昔から伝わるお正月の遊びには、楽しさだけでなく、人とのつながりや知恵が込められていることを知った、ぽん太くんでした。

昔から伝わる遊びには、楽しさだけでなく、人と人とのつながりや、思いやりの心を育む力もあります。

ぽん太くんも、おじいちゃんやおばあちゃんと過ごした時間を、きっと大切な思い出として心に残していくことでしょう。

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