第35話 ぽん太くんのお正月
冬休みが始まり、春川家にはおじいちゃんとおばあちゃんも一緒に過ごす、にぎやかなお正月がやってきました。
日本のお正月には、家族で囲むおせち料理や、新しい年を祝うさまざまな習わしがあります。
今回は、日本とアメリカのお正月の違いを知りながら、家族と過ごす時間の温かさを感じるお話です。
元日の朝。
春川家の窓から、やわらかな朝日が差し込んでいた。
「おはよう!」
ぽん太は元気よくリビングへ入った。
家族みんなが笑顔で迎えた。
「あけましておめでとう!」
幸之助が言った。
「あけましておめでとうございます!」
ぽん太も大きな声で答えた。
ヘレン、惣太郎、祐子、千春も笑顔であいさつを交わした。
ソラもしっぽを大きく振った。
「ワン!」
リョウ子が、おせち料理を食卓へ運んできた。
「お待たせしました」
黒豆。
数の子。
伊達巻。
かまぼこ。
色とりどりの料理が、きれいに並んでいた。
「すごい!」
ぽん太は目を輝かせた。
ハル子が静かに言った。
「おせち料理には、それぞれ願いが込められています」
「黒豆には、元気に暮らせますように」
「数の子には、家族が元気に増えていきますように」
「伊達巻には、学問や知恵が身につきますように」
「かまぼこには、初日の出のように明るく、おめでたい一年になりますように、という願いがあります」
ぽん太は伊達巻をじっと見つめた。
「じゃあ、ぼくは伊達巻をたくさん食べる!」
千春が笑った。
「算数が得意になるといいね」
「うん!」
「途中の式も書けるようになるかも!」
みんなが笑った。
「いただきます!」
ぽん太は伊達巻をひと口食べた。
「甘くておいしい!」
おせち料理を食べていると、ぽん太はヘレンを見た。
「おばあちゃん」
「なあに?」
「アメリカにも、お正月ってあるの?」
ヘレンはにっこり笑った。
「もちろんあるわよ」
「でも、日本のお正月とは少し違うの」
「何が違うの?」
ぽん太は身を乗り出した。
幸之助も会話に加わった。
「アメリカでは、一月一日もお祝いするけれど、大みそかの夜の方がにぎやかなことが多いんだ」
「大みそか?」
「ああ」
「家族や友達が集まって、夜中までパーティーをすることもある」
ヘレンが続けた。
「新しい年になる前に、みんなで数を数えるの」
「十、九、八……って?」
「『三、二、一!』で新しい年になると、みんなで『ハッピーニューイヤー!』って言って、お祝いするのよ」
「へえ!」
ぽん太は目を丸くした。
「じゃあ、おせちは食べないの?」
「日本のようなおせちは食べないわね」
「お雑煮は?」
「それもないわ」
「お年玉は?」
ヘレンは少し笑った。
「お年玉もないのよ」
「えーっ!」
ぽん太は驚いて声を上げた。
千春が笑った。
「ぽん太、お年玉が一番気になってたでしょ」
「そんなことないよ!」
ぽん太は少しだけ頬をふくらませた。
家族みんなが笑った。
ぽん太はしばらく考えてから、もう一度聞いた。
「おばあちゃんは、アメリカのお正月と日本のお正月、どっちが好き?」
ヘレンは少し考えた。
「どちらも好きよ」
「アメリカのお正月は、とてもにぎやかで楽しいわ」
「でも、日本のお正月も大好き」
「どうして?」
「家族みんなで新しい年のあいさつをして、おせちを食べて、ゆっくり過ごせるでしょう」
幸之助もうなずいた。
「日本のお正月は、家族で一年の始まりを迎える日でもあるんだ」
ぽん太は食卓を見回した。
おじいちゃん。
おばあちゃん。
お父さん。
お母さん。
お姉ちゃん。
ハル子さん。
リョウ子さん。
そして、ソラ。
みんなが同じ食卓を囲んでいた。
ぽん太はにっこり笑った。
「日本とアメリカでは、お正月の過ごし方が違うんだね」
「そうね」
「でも、家族や友達と楽しく過ごしたい気持ちは同じなんだ」
ヘレンはうれしそうにうなずいた。
「その通りよ」
ハル子が静かに言った。
「国や習慣が違っても、大切な人と新しい年を祝う気持ちは同じなのですね」
リョウ子もほほえんだ。
「今年も、皆さんで笑顔の多い一年にしましょう」
「うん!」
ぽん太は大きくうなずいた。
「ぼく、日本のお正月も、アメリカのお正月も好き!」
千春が笑った。
「それで、どっちが好きなの?」
「うーん……」
ぽん太は少し考えてから、にっこり笑った。
「伊達巻があるから、日本のお正月の方が少しだけ好きかも」
春川家に、明るい笑い声が広がった。
国によってお正月の過ごし方は違っても、大切な人と新しい年を迎える喜びは同じだと知った、ぽん太くんでした。
お正月の過ごし方は、国や地域によってさまざまです。
食べ物や行事は違っても、「大切な人と新しい年を迎えたい」という気持ちは、どこでも変わりません。
ぽん太くんは、おせち料理に込められた願いや、日本とアメリカ、それぞれのお正月の楽しみ方を知りました。
違いを知ることで、お互いの文化を大切に思えることもあります。
新しい一年が、ぽん太くんたちのように笑顔あふれる毎日になりますように。




