第33話 ぽん太くんのおもちつき
新しい年を迎える前には、日本には昔から受け継がれてきた行事がたくさんあります。
その一つが、おもちつきです。
今回は春川家のみんなで力を合わせ、おいしいお餅作りに挑戦します。
年の瀬が近づいたある日。
朝から春川家の庭は、とてもにぎやかだった。
「今日は、おもちつきをするぞ!」
幸之助が大きなうすの前に立った。
「やったー!」
ぽん太は目を輝かせた。
庭には大きなかまどが置かれ、その上ではもち米が湯気を立てて蒸し上がっている。
「いいにおい!」
ぽん太は思わず深呼吸をした。
ヘレンが笑顔で言った。
「日本のおもちつきは初めてだけど、とても楽しみだわ」
リョウ子が蒸し上がったもち米をうすへ移した。
「準備ができました」
ハル子が静かに言った。
「安全を確認しました」
「それじゃあ、始めよう!」
幸之助がきねを持ち上げた。
「よいしょ!」
ドン!
大きな音が庭に響く。
リョウ子は手を水でぬらし、熱いお餅を手早く返した。
「はい!」
「よいしょ!」
ドン!
「はい!」
リョウ子は、きねの合間を見ながら素早くお餅を返した。
「すごい!」
ぽん太は目を丸くした。
「リョウ子さん、熱くないの?」
リョウ子はにっこり笑った。
「慣れていますから、大丈夫ですよ」
幸之助もうなずいた。
「息が合わないと、おもちつきはできないんだ」
しばらくすると、惣太郎がきねを受け取った。
「父さん、交代するよ」
「頼んだぞ」
惣太郎が力いっぱい振り下ろした。
ドン!
「はい!」
ドン!
「はい!」
ぽん太は手をたたいた。
「お父さん、がんばれー!」
祐子も笑顔で応援した。
「いい調子!」
やがて、お餅はつやつやとした一つのかたまりになった。
リョウ子は餅板に餅とり粉をまんべんなく振り、その上へつきたてのお餅をそっと移した。
「くっつかないようにするためですよ」
リョウ子は手際よくお餅をのばしていった。
ヘレンも興味深そうに見つめた。
「なるほど、こうするのね」
「ぽん太もやってみるか?」
幸之助が小さなきねを手渡した。
「うん!」
ぽん太は両手できねを持った。
「よいしょ!」
ペチャ。
思ったより軽い音だった。
みんなが笑った。
「もう一回!」
「よいしょ!」
ペチャ。
今度は少しだけ力強い音になった。
「上手になったね」
千春が拍手をした。
ぽん太は照れくさそうに笑った。
お餅を小さく丸めるのは、みんなの仕事だった。
「熱い!」
「でも、やわらかい!」
ぽん太は楽しそうに丸めていた。
ヘレンも笑顔で丸めながら言った。
「みんなで作ると楽しいわね」
テーブルには、できたてのお餅が並んだ。
きなこもち。
あんころもち。
大根おろしとしょうゆを添えた、からみもち。
「いただきます!」
ぽん太は、きなこもちをひと口食べた。
「おいしい!」
思わず笑顔になる。
次は、からみもちを食べる。
「大根おろしも、おいしい!」
惣太郎も笑った。
「つきたてのお餅は、やっぱり格別だな」
ソラは、お餅をじっと見つめている。
「ワン!」
リョウ子が優しく声をかけた。
「ソラちゃんは、こちらですよ」
そう言って、ソラ用のおやつを差し出した。
ソラはうれしそうにしっぽを振った。
ハル子が静かに言った。
「皆さんの息がぴったり合っていました」
リョウ子もうなずいた。
「みんなで力を合わせてついたお餅は、特別おいしく感じますね」
ぽん太は家族の笑顔を見回した。
「みんなでついたお餅って、最高!」
みんなが笑った。
冬の澄んだ青空の下、庭には楽しそうな笑い声がいつまでも響いていた。
みんなで力を合わせる楽しさと、日本の伝統の温かさを知った、ぽん太くんでした。
おもちつきは、一人ではできません。
きねを振る人、お餅を返す人、丸める人、それぞれが力を合わせて初めて、おいしいお餅ができあがります。
家族や地域のみんなで協力しながら行うおもちつきには、日本ならではの温かさがあります。
ぽん太くんも、みんなで作る楽しさと、一緒に食べるおいしさを感じることができました。




