第32話 ぽん太くんの大そうじ
クリスマスが終わると、いよいよ新しい年を迎える準備が始まります。
春川家でも、家族みんなで大そうじをすることになりました。
きれいになった家の中で、ぽん太が見つけたものとは何だったのでしょうか。
クリスマスが終わり、今年もあと数日になった。
朝、惣太郎が家族を見回した。
「今日は春川家の大そうじをするぞ」
「はーい!」
ぽん太が元気よく返事をした。
幸之助が笑った。
「日本では、新しい年を迎える前に家の中をきれいにするんだ」
ヘレンもうなずいた。
「気持ちよく新しい年を迎えたいものね」
ハル子が紙を広げた。
「担当を決めました」
「ぽん太さんは窓ふきです」
「千春さんは本棚の整理です」
「惣太郎さんは庭」
「祐子さんは台所」
「幸之助さんは物置」
「ヘレンさんは玄関をお願いします」
「私は掃除機をかけます」
ハル子が静かに言った。
リョウ子が笑顔で言った。
「私は台所のお手伝いをします」
「よし、始めよう!」
惣太郎が号令をかけた。
ぽん太は窓を一生懸命ふいた。
「わあ!」
「外の木がよく見える!」
その時だった。
「ソラー!」
ソラが雑巾をくわえて走り出した。
「待ってー!」
ぽん太が追いかけた。
ソラは楽しそうに逃げ回る。
家族みんなが笑った。
二階では、千春が本棚を整理していた。
「おじいちゃん、この箱は?」
本棚の一番下から、小さな木箱が出てきた。
近くで物置の整理をしていた幸之助が振り返った。
幸之助が懐かしそうに箱を開ける。
「これは惣太郎の宝物箱だ」
その時だった。
「ぽん太ー!」
「ちょっと来て!」
「お父さんの宝物が見つかったよ!」
「えっ?」
窓ふきを終えたぽん太は、急いで二階へ駆け上がった。
「どれどれ?」
箱の中には、小さな工作や賞状、色あせた絵や作文が入っていた。
「これ、お父さんが作ったの?」
幸之助が庭にいる惣太郎を呼んだ。
みんなが二階へ上がってきた。
「何か見つかったの?」
幸之助は木箱を差し出した。
「懐かしいものが出てきたぞ」
惣太郎は箱の中を見るなり、思わず笑った。
「ああ、このロケットか」
「小学校三年生のころの工作だ」
紙で作ったロケットだった。
少し折れ曲がり、色もあせている。
ぽん太は思わず言った。
「古いし、壊れているね」
「もう捨ててもいいんじゃない?」
ヘレンは静かに首を振った。
「だめだよ」
ぽん太は首をかしげた。
「どうして?」
「もう使えないよ」
ヘレンはロケットを優しく手に取った。
「これは世界に一つしかない宝物なのよ」
「宝物?」
「上手に作れたからじゃないの」
「惣太郎が一生懸命作った思い出だから、大切なのよ」
ヘレンは少し懐かしそうに笑った。
「おばあちゃんね、このロケットを捨てられなかったの」
「いつか惣太郎が大人になっても、きっと思い出になると思っていたから」
「ぼくも、こんなの作ったことを忘れていたな」
ぽん太は少し考えた。
「ぼくのアリの自由研究も?」
ヘレンは大きくうなずいた。
「もちろん」
「それも、ぽん太が頑張った宝物よ」
ぽん太は少しうれしくなった。
「じゃあ、大切にしよう」
午後になると、大そうじも終わった。
窓はぴかぴか。
庭もきれいになった。
玄関も明るくなった。
ハル子が部屋を見回した。
「掃除は完了しました」
リョウ子がお茶とみかんを運んできた。
「皆さん、お疲れさまでした」
ぽん太はみかんをむきながら、さっきのロケットを思い出していた。
「お父さん」
「そのロケット、これからも大切にしてね」
惣太郎は笑顔でうなずいた。
「ああ」
「ぽん太の自由研究も、一緒に大切にしまっておこう」
ぽん太はにっこり笑った。
「うん!」
窓から冬の日差しが差し込み、きれいになった部屋を明るく照らしていた。
家をきれいにするだけでなく、大切な思い出も大事にすることを知った、ぽん太くんでした。
大そうじは、家をきれいにするだけでなく、一年を振り返る大切な時間でもあります。
押し入れや本棚を整理していると、昔の思い出の品が見つかることもありますね。
物には、それを大切にしてきた人の思い出や気持ちが詰まっています。
ぽん太も、お父さんの宝物を通して、思い出を大切に受け継ぐことの温かさを知ることができました。




