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ぽん太くんは、がんばっています  作者: 秋田コウ
第一章 一学期

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第3話 ぽん太くんと金魚

学校には、勉強だけでなく、みんなで育てたり、お世話をしたりする時間もあります。

毎日見ているからこそ気づける、小さな変化。

今回は、ぽん太くんが教室で見つけた、小さな命のお話です。

 朝の教室。

 窓際には、大きな水槽が置かれていた。

 三年一組のみんなで飼っている金魚だった。

 ぽん太はランドセルを置くと、まっすぐ水槽の前へ向かった。


「金魚さん、おはよう」

 いつものようにあいさつした。

 金魚たちは元気よく泳いでいる。

「……あれ?」

 ぽん太は首をかしげた。

「どうした?」

 健太が聞いた。

 ぽん太は水草を指さした。

「小さいつぶつぶがついてる」

 健太ものぞき込んだ。

「どこ?」

「ここ」

 健太は目を細めた。

「うーん、見えないな」

 さくらも近づいてきた。

「ゴミじゃない?」

 夏輝ものぞき込む。

「気泡じゃないの?」

 優太も首をかしげた。

「昨日からあったんじゃない?」

 ぽん太は小さく首を振った。

「昨日はなかったと思う」

「毎日見てたから」

 みんなは顔を見合わせた。

「先生に聞いてみよう!」


 チャイムが鳴り、一時間目が終わると、ぽん太は山口先生のところへ行った。

「先生」

「どうした、ぽん太」

「水草に、小さいつぶつぶがついてます」

 先生は水槽をのぞき込んだ。

「どこだ?」

「ここです」

 ぽん太が指さす。

 先生は顔を近づけた。

「あっ!」

「これは……」

 先生は驚いたように目を見開いた。

「金魚の卵だ!」

「えーっ!」

 教室のみんなが集まってきた。

「卵なの?」

「金魚の赤ちゃん?」

 先生はうなずいた。

「そうだよ」

「でも、このままだと親の金魚が卵を食べてしまうことがあるんだ」


 その時だった。

 一匹の金魚が水草へ近づいてきた。

「あっ!」

 ぽん太が思わず声を上げた。

「先生!」

 一匹の金魚が水草へ近づいていた。

「食べちゃう!」

 健太も叫んだ。

 先生は急いで網を手に取ると、水草をそっとすくい上げた。

 みんなは息をのんで見守る。

 先生は卵のついた水草を、小さな水槽へ移した。

  先生は小さく息をついた。

「これで大丈夫」

 教室のみんなが、ほっと息をついた。

「よかったー!」

 ぽん太も胸をなで下ろした。

「間に合ったね」

 先生はぽん太を見て笑った。

「よく気づいたな」

 ぽん太は少し照れくさそうに笑った。

「毎朝、おはようって言ってたからかな」

 教室のみんなが笑った。

「金魚にあいさつしてるのか!」

「うん!」

 ぽん太はにっこり笑った。


 昼休み。

 みんなは小さな水槽を囲んでいた。

「早く赤ちゃんが生まれるといいね」

 さくらが言った。

 夏輝もうなずく。

「どんな赤ちゃんかな」

 優太は卵をじっと見つめた。

「元気に育ってほしいな」

 ぽん太は小さな声で話しかけた。

「頑張ってね」

 健太が笑った。

「聞こえるの?」

 ぽん太も笑う。

「聞こえてるかもしれないよ」

 山口先生がやさしく言った。

「生き物は、優しく見守ってもらえるとうれしいかもしれないな」

 みんなは静かにうなずいた。


 その日の夕食。

「今日は学校どうだった?」

 惣太郎が聞いた。

「金魚さんに卵があったんだ!」

「それで?」

「先生に教えたら、別の水槽に移したの」

 祐子が驚いた。

「よく見つけたわね」

 ぽん太は少し照れくさそうに笑った。

「毎日、おはようって言ってたからかな」

 惣太郎が笑った。

「金魚も、しっぽで返事をしていたのかもしれないな」

 ぽん太はうれしそうに笑った。

「うん!」

「きっとしてた!」

 家族みんなが笑った。

 ハル子が静かに言った。

「小さな変化に気づくためには、毎日よく見て、大切に思うことが大切なのですね」

 リョウ子もほほえんだ。

「金魚さんの赤ちゃんが、元気に育つといいですね」

「うん!」

 ぽん太は元気よくうなずいた。


 次の日の朝。

 ぽん太は教室へ入ると、二つの水槽の前へ立った。

「おはよう!」

 大きな水槽の金魚にも、小さな水槽の卵にも、笑顔であいさつした。

「赤ちゃんも、おはよう」

 健太が笑う。

「卵にもあいさつするんだな」

 ぽん太はにっこり笑った。

「うん!」

「みんな元気でいてほしいから」

「赤ちゃんも元気だといいね」

 さくらが笑った。

「うん!」

 ぽん太も笑った。


 毎日よく見て、大切に思っていると、小さな変化にも気づけることを知った、ぽん太くんでした。

ぽん太くんは、毎日金魚に「おはよう」と声をかけていました。

大切に思う気持ちがあったからこそ、小さな命の変化にも気づけたのでしょう。

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