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ぽん太くんは、がんばっています  作者: 秋田コウ
第三章 二学期

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第28話 ぽん太くんのありがとう

毎日の暮らしの中では、家族や友達に助けてもらうことがたくさんあります。

でも、助けてもらうことが当たり前になってしまうと、大切な「ありがとう」を言い忘れてしまうこともあります。

今回は、ぽん太くんが「ありがとう」という言葉の大切さに気づいたお話です。

 朝の空気が少しひんやりしてきた。

 ぽん太は朝ごはんを食べ終わると、ランドセルを背負った。


「行ってきます!」

 元気よく玄関へ向かった、その時だった。

 ハル子が静かに声をかけた。

「ぽん太さん」

「はい?」

「今日は少し冷えています」

「上着をお持ちください」

「あっ!」

 ぽん太は急いで上着を羽織った。

 ハル子は続けた。

「ハンカチとティッシュも入っていません」

「えっ!」

 ランドセルを開けると、本当に入っていなかった。

「危なかった!」

 その様子を見ていた千春が笑った。

「ぽん太、大丈夫?」

「もう一回ランドセルの中、見た方がいいんじゃない?」

「大丈夫だよ!」

 ぽん太は少し照れくさそうに笑った。

 惣太郎も笑顔で言った。

「慌てると、忘れ物も増えるぞ」

「うん!」

 ぽん太は元気よく返事をして、家を飛び出した。

 しばらく走った、その時だった。

「ぽん太さん!」

 後ろから声が聞こえた。

 振り返ると、リョウ子が水筒を持って走ってきた。

「これをお忘れです」

「あっ!」

 ぽん太は目を丸くした。

「水筒!」

 リョウ子は少し息を整えながら、水筒を差し出した。

「日中は気温が上がるそうです」

「水分をしっかり取ってくださいね」

 ぽん太は水筒を受け取った。

「うん、わかった」

「行ってきます!」

 リョウ子は優しく手を振った。

「行ってらっしゃい」


 学校では図工の時間だった。

 秋の景色を描いていると、ぽん太の黄色い色鉛筆が机の下へ転がった。

「あっ!」

 拾おうとした時、夏輝が先に拾ってくれた。

「はい」

「ありがとう!」

 夏輝はにっこり笑った。

「どういたしまして」

 その時だった。

 健太が困った顔をしていた。

「あれ?」

「のりがない!」

 ランドセルの中を探した。

 でも、見つからなかった。

 ぽん太は自分ののりを差し出した。

「一緒に使おう」

「いいの?」

「うん!」

 健太は嬉しそうに受け取った。

「ありがとう!」

「どういたしまして!」

 ぽん太も笑顔になった。


 帰り道。

 ぽん太は歩きながら、今日のことを思い返していた。

「ありがとうって言うのも、言われるのも、なんだか気持ちがいいな」

 そう思いながら歩いていると、ふと朝のことを思い出した。

「あっ!」

 ぽん太は立ち止まった。

「ハル子さんに、ありがとうって言ってない」

 上着を教えてくれた。

 ハンカチとティッシュも教えてくれた。

 急いでいたので、そのまま家を出てしまった。


「リョウ子さんにも、ありがとうって言ってない」

 走って水筒を届けてくれたのに。

「早く帰ろう!」

 ぽん太は急いで家まで走った。

「ただいま!」

 家へ帰ると、ハル子とリョウ子が迎えてくれた。

「おかえりなさい」


 ぽん太はハル子の前へ立った。

「ハル子さん」

「はい」

「朝、上着とハンカチを教えてくれてありがとう」

「忘れたままだったら、困ってたよ」

 ハル子は静かにほほえんだ。

「お役に立ててよかったです」

 ぽん太は続いてリョウ子を見た。

「リョウ子さん」

「はい」

「朝、水筒を届けてくれてありがとう」

「学校で、ちゃんと飲めたよ」

 リョウ子も優しく笑った。

「それはよかったです」


 ハル子が静かに言った。

「感謝の気持ちは、思っているだけでは相手に伝わりません」

 リョウ子もうなずいた。

「『ありがとう』と言っていただけると、とてもうれしいですね」

 ぽん太は照れくさそうに笑った。

「ぼく、これからは思ったら、すぐ『ありがとう』って言う!」

 ハル子とリョウ子も笑顔でうなずいた。


 感謝の気持ちは、言葉にして伝えることが大切だと学んだ、ぽん太くんでした。

「ありがとう」という言葉は、とても短い言葉です。

でも、その一言には、相手への感謝や思いやりがたくさん詰まっています。

感謝の気持ちは、心の中で思うだけでなく、言葉にして伝えることで、相手にも自分にも笑顔を届けてくれます。

「ありがとう」があふれる毎日は、きっともっと優しく、幸せな毎日になるのでしょう。

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