第22話 ぽん太くんの運動会
秋になると、学校ではみんなが楽しみにしている運動会が開かれます。
力いっぱい走ったり、友達を応援したり、一人ひとりが全力で頑張る一日です。
今回は、ぽん太くんが友達と励まし合いながら徒競走に挑戦するお話です。
ぽん太くんは、運動会でどんな大切なことに気づくのでしょうか。
秋。
今日は土曜日。
青空が広がる中、松原小学校の運動会が始まった。
校庭には、応援に来た家族の姿がたくさん見えた。
惣太郎と祐子も応援席から手を振っていた。
ぽん太は赤白帽をしっかりとかぶった。
「赤組、がんばるぞー!」
「おー!」
三年生の元気な声が校庭に響いた。
応援席から惣太郎が大きく手を振った。
「ぽん太ー!」
ぽん太も笑顔で手を振り返した。
千春は五年生なので、放送係として校庭を忙しく動き回っていた。
放送席の前を通ると、
「ぽん太、がんばって!」
千春が笑顔で声をかけた。
「うん!」
ぽん太も元気よく返事をした。
午前最後の種目。
三年生の徒競走だった。
「次は三年生の徒競走です」
放送が流れた。
ぽん太はスタートラインに立った。
隣には夏輝がいた。
夏輝は少し緊張した顔で言った。
「一番になれたらいいな……」
ぽん太は笑った。
「ぼくも!」
「一緒にがんばろう!」
夏輝もうなずいた。
「うん!」
「位置について。」
みんなが構えた。
「よーい……」
パン!
ピストルの音が鳴った。
みんな一斉に飛び出した。
ぽん太は力いっぱい走った。
風が気持ちよかった。
腕を大きく振った。
足が軽かった。
横を見ると、夏輝も必死だった。
顔を真っ赤にして、
歯を食いしばって、
一歩一歩、前へ進んでいた。
(がんばれ、夏輝。)
ぽん太も負けないように走った。
二人はほとんど並んだままゴールへ飛び込んだ。
「一位、夏輝!」
「二位、ぽん太!」
先生の声が響いた。
夏輝は目を丸くした。
「やった!」
思わず飛び上がって喜んだ。
ぽん太は拍手をした。
「おめでとう!」
夏輝は少し照れながら笑った。
「ありがとう」
「ぽん太がいたから、最後まで頑張れた」
ぽん太もうれしそうに笑った。
「ぼくも楽しかった!」
競技が終わると、放送係の仕事を終えた千春がやって来た。
「ぽん太」
「なあに?」
「最後まで、すごくいい走りだったね」
「ほんと?」
「うん」
「夏輝も、とってもうれしそうだった」
ぽん太は夏輝の方を見た。
友達に囲まれて笑っていた。
「うん!」
「ぼくまでうれしくなっちゃった」
千春も笑った。
「それだけ一生懸命頑張ったってことだね」
午後の競技も終わり、閉会式が始まった。
赤組も白組も、大きな拍手を送り合った。
順位はついたけれど、どの子も最後まで頑張っていた。
帰り道。
惣太郎が聞いた。
「今日はどうだった?」
ぽん太は笑顔で答えた。
「楽しかった!」
「二位だったけど、悔しくなかったの?」
祐子が聞いた。
ぽん太は少し考えた。
「少しだけ悔しかった」
「でもね」
「夏輝が一位になって、すごくうれしそうだった」
「だから、ぼくもうれしかった!」
惣太郎が笑顔になった。
「友達の頑張りを喜べるのは、すばらしいことだな」
祐子もうなずいた。
「一人で走る競技でも、友達がいるから頑張れるのね」
家へ帰ると、ハル子とリョウ子が迎えてくれた。
「おかえりなさい」
「ただいま!」
ソラも駆け寄ってきた。
「ワン! ワン!」
リョウ子が笑った。
「運動会、どうでしたか」
「どうでしたか?」
ぽん太は嬉しそうに話し始めた。
「夏輝が一位になったんだ!」
「ぼくは二位!」
ハル子が静かにほほえんだ。
「競技では、自分の力を最後まで出し切ることが大切です」
「そして、友達の頑張りを心から喜べることも、とても大切です」
ぽん太は大きくうなずいた。
「うん!」
「また夏輝と一緒に頑張りたい!」
ソラが元気よく一声鳴いた。
「ワン!」
みんなが笑顔になった。
秋の青空の下、一人一人が力いっぱい頑張った運動会だった。
友達と励まし合いながら最後まで頑張ることの大切さを知った、ぽん太くんでした。
運動会には順位がつきますが、本当に大切なのは、一人ひとりが最後まであきらめずに頑張ることです。
そして、自分だけでなく、友達の頑張りも一緒に喜べることは、とても素敵なことですね。
ぽん太くんは二位でしたが、夏輝くんが一位になったことを自分のことのように喜びました。
励まし合い、支え合う気持ちがあったからこそ、二人とも最後まで力いっぱい走ることができたのでしょう。




