第18話 ぽん太くんとおじいちゃんの手紙
夏休みは、部屋の片づけや整理をする機会もありますね。
今回は、ぽん太くんがお父さんと一緒に押し入れを片づけていると、一通の大切な手紙を見つけるお話です。
その手紙には、おじいちゃんのやさしい思いが込められていました。
ぽん太くんは、その手紙を読んで何を感じるのでしょうか。
夏休みの午後。
惣太郎は押し入れの整理をしていた。
「懐かしいなあ」
古い段ボール箱を開けた。
「お父さん、何してるの?」
ぽん太がのぞき込んだ。
千春もやって来た。
「写真がいっぱい!」
箱の中には古いアルバムや手紙、それに子どものころのおもちゃが入っていた。
ぽん太は一枚の写真を見つけた。
「この人、お父さん?」
「そうだよ」
写真には、小さな惣太郎が笑っていた。
その隣には幸之助とヘレンも写っていた。
「おじいちゃんだ!」
「おばあちゃんも若い!」
惣太郎は懐かしそうに笑った。
「このころは、よく三人で出かけたな」
その時だった。
「あっ」
惣太郎が一通の封筒を手に取った。
「まだ残ってたんだ」
「何?」
ぽん太が聞いた。
「おじいちゃんからもらった手紙だよ」
「読んで!」
惣太郎は封筒をそっと開いた。
少し色あせた便せんだった。
『惣太郎へ
毎日元気に過ごしていますか。
人にやさしくすることを忘れないでください。
困っている人がいたら、できることをしてあげなさい。
ヘレンも、おまえのことをいつも応援しています。
体に気をつけて、大きくなってください。
幸之助より』
読み終わると、部屋は少し静かになった。
「おじいちゃん、やさしいね」
ぽん太が言った。
「そうだな」
惣太郎もうなずいた。
「何度も読んだ手紙なんだ」
「だから大事にしまってあったの?」
「うん」
「おばあちゃんが、『手紙は宝物だから、なくさないようにね』って言ってくれたんだ」
ぽん太は便せんを大事そうに見つめた。
「宝物かあ」
ハル子が静かにほほえんだ。
「気持ちを言葉にして伝えることは、とても素敵なことですね」
リョウ子もうなずいた。
「手紙は、何度でも読み返せますからね」
ぽん太は少し考えた。
「ぼくも書いてみたい!」
「誰に書くの?」
千春が聞いた。
「おじいちゃんと、おばあちゃん!」
みんなが笑った。
ぽん太は机に向かった。
そして、一文字ずつ、ゆっくり書き始めた。
『おじいちゃん、おばあちゃんへ
ぼくは毎日元気です。
ソラも元気です。
夏休みはいろんなことがありました。
また会ったら、お話を聞いてください。
ぽん太より』
「できた!」
ぽん太は嬉しそうに見せた。
惣太郎が笑った。
「きっと喜ぶよ」
祐子もうなずいた。
「旅先で読んだら、きっと元気が出るわね」
リョウ子が微笑んだ。
「お二人とも、大切に読んでくださいますよ」
ハル子が静かに言った。
「きっと、ぽん太さんの気持ちも届きます」
ぽん太は封筒を大事そうに持った。
「早く送りたいな!」
窓の外では、夏の風が木の葉をやさしく揺らしていた。
大切な人へ気持ちを伝えることの素晴らしさを知った、ぽん太くんでした。
手紙には、その人の気持ちや思い出が込められています。
時間がたっても何度でも読み返すことができるので、大切な宝物になることがあります。
おじいちゃんからお父さんへ届いた思いは、今度はぽん太くんから、おじいちゃんとおばあちゃんへ届けられました。
やさしい気持ちは、手紙を通して家族の中で受け継がれていくのですね。




