第16話 ぽん太くんとかくれんぼ
夏休みは、お友だちと元気いっぱい遊べる楽しい季節です。
今回は、公園でみんなと「かくれんぼ」をするお話です。
遊びの中でも、ぽん太くんらしい優しさが、そっと顔をのぞかせます。
ぽん太くんは、どんな鬼になるのでしょうか。
夏休みの午後。
近所の公園には、子どもたちの元気な声が響いていた。
「ぽん太!」
健太が手を振った。
「一緒に遊ぼう!」
「いいよ!」
ぽん太は笑顔で走っていった。
さくら、夏輝、優太も集まっていた。
「今日は何して遊ぶ?」
健太が聞いた。
「かくれんぼ!」
みんなが声をそろえた。
「じゃあ、最初の鬼は健太ね」
さくらが言った。
「よーし!」
健太は木にもたれて目を閉じた。
「十、九、八……」
みんなが一斉に走り出した。
ぽん太も公園の奥へ向かった。
少し歩いて立ち止まった。
「……ここかな」
木の陰へ静かにしゃがんだ。
「もういいかーい!」
「もういいよー!」
健太が探し始めた。
「あっ、さくら、見つけた!」
「夏輝、そこだ!」
「優太もいた!」
一人ずつ見つかっていった。
でも、ぽん太は見つからなかった。
「どこだ?」
健太は首をかしげた。
しばらく探したあと、大きな声で言った。
「降参!」
その声を聞いて、ぽん太が木の陰から出てきた。
「ここだよ」
「全然分からなかった!」
健太が笑った。
「どうしてそこにしたの?」
ぽん太は少し考えた。
「なんとなく」
「見つからない気がした」
「また『なんとなく』か!」
みんなが笑った。
「じゃあ、次はぽん太が鬼ね」
「うん!」
ぽん太は木にもたれた。
「十、九、八……」
数え終わった。
「もういいかーい!」
「もういいよー!」
ぽん太はゆっくり歩き始めた。
そして、公園を見回した。
「……あっ」
木の後ろから靴が少し見えていた。
でも、ぽん太はそのまま歩いていった。
滑り台の下。
植え込みの後ろ。
みんなの隠れ場所は、なんとなく分かった。
それでも、見つけたとは言わなかった。
しばらく歩いてから、大きな声を出した。
「健太、見つけた!」
「わあ!」
健太が飛び出した。
「次は夏輝!」
「えーっ!」
夏輝も笑いながら出てきた。
「優太、そこだ!」
最後にさくらが出てくる。
「ぽん太」
さくらが聞いた。
「本当はもっと早く分かってたでしょ?」
ぽん太は首をかしげた。
「うん」
「なんとなく」
「やっぱり!」
みんなが笑った。
「じゃあ、なんですぐ言わなかったの?」
さくらが聞いた。
ぽん太は少し考えた。
「みんな、楽しそうだったから」
「もう少し隠れていたいかなって思って」
みんなは顔を見合わせた。
そして、笑い出した。
「ぽん太らしい!」
健太が笑った。
「優しい鬼だな」
さくらもうなずく。
「またぽん太が鬼をやってね」
「うん!」
ぽん太は嬉しそうに笑った。
夕方。
家へ帰ると、ハル子が迎えてくれた。
「おかえりなさい」
「ただいま!」
リョウ子が冷たい麦茶を運んできた。
「今日は何をして遊んだのですか?」
「かくれんぼ!」
ぽん太は嬉しそうに話した。
「ぼく、鬼をやったんだ!」
「勝ったの?」
千春が聞く。
ぽん太はにっこり笑った。
「みんなといっぱい遊べた!」
惣太郎が笑った。
「それが一番だな」
ハル子が静かに言った。
「勝ち負けより、みんなが楽しめることを大切にしたのですね」
リョウ子も微笑んだ。
「みんなが『また遊びたい』と思える遊びが、一番ですね」
ぽん太は嬉しそうに笑った。
「また遊ぶ約束したよ!」
ソラも「ワン!」と元気よく鳴いた。
みんなが笑った。
みんなが笑顔になれる遊び方を考えた、ぽん太くんでした。
遊びには勝ち負けもありますが、それ以上に大切なのは、みんなが笑顔で「また遊びたい」と思えることかもしれません。
ぽん太くんは、お友だちが楽しそうに隠れている様子を見て、少しだけ待ってあげました。
その優しさが、みんなの笑顔につながり、「優しい鬼」と呼ばれる素敵な思い出になりました。




