第10話 ぽん太くんの通知表
一学期最後の日のお話です。
終業式の日にもらう通知表は、少しドキドキするものですね。
でも、そこにはテストの点だけではなく、一学期に頑張ったことや成長したことも書かれています。
ぽん太くんの通知表には、どんなことが書かれていたのでしょうか。
一学期の終業式の日。
教室には、いつもより少しだけ緊張した空気が流れていた。
「これから通知表を渡します」
先生が言うと、教室は静かになった。
一人ずつ名前が呼ばれた。
「春川凡太くん」
「はい!」
ぽん太は元気よく返事をして前へ出た。
「一学期、よく頑張りました」
「ありがとうございます!」
先生から通知表を受け取った。
「おうちの人と一緒に見てくださいね」
「はーい!」
ぽん太は大事そうに通知表をランドセルへしまった。
やがて学級活動が終わった。
「さようなら!」
元気な声が教室に響いた。
帰り道。
「ぽん太、通知表どうだった?」
友達が聞いた。
「まだ見てない」
「えっ?」
「家で見るんだって」
「普通、学校で見るだろ」
ぽん太は首をかしげた。
「結果は同じだし」
「そういう問題じゃない!」
友達は笑いながらツッコミを入れた。
「ただいまー!」
春川家の玄関に元気な声が響いた。
「おかえりなさい」
ハル子が迎えた。
「終業式、お疲れさまでした」
「ただいま!」
ランドセルを下ろしたぽん太は、そのままソファへ飛び込んだ。
「通知表はもらいましたか?」
「あっ!」
ぽん太は飛び起きた。
「忘れてた!」
ランドセルを開けた。
「あった!」
ハル子が小さくうなずいた。
「夕方、ご家族がそろってから見ましょう」
「うん!」
ぽん太は通知表を大事そうにしまい直した。
夕方。
「ただいま」
祐子が仕事から帰ってきた。
「おかえり!」
ぽん太が元気よく迎える。
「お仕事、お疲れさま」
惣太郎が笑った。
リョウ子が夕食の準備を終え、食卓には料理が並び始めていた。
「みなさん、おそろいですね」
ハル子が静かに言う。
惣太郎がぽん太を見た。
「じゃあ、通知表を見せてもらおうか」
「はーい!」
ぽん太はランドセルから通知表を取り出した。
祐子が通知表を開く。
「国語は……」
千春がのぞき込む。
「よく頑張ったね」
「うん!」
「算数は?」
ぽん太は少しだけ困った顔をする。
「やっぱり苦手だった」
「途中の式が分からないんだよね」
惣太郎が笑う。
「それは前にも聞いたな」
「でも答えは書けるんだけど」
「それが、ぽん太らしいわね」
千春がそう言って笑った。
祐子も笑った。
生活。
音楽。
図工。
体育。
どれも、一生懸命頑張ったことが伝わる評価だった。
「先生のコメントもあるよ」
千春が読み始める。
「困っている友達によく気づき、自分から進んで助けています。思いやりのある行動がたくさん見られました。」
ぽん太は照れくさそうに頭をかいた。
「そんなにすごいことかなあ」
祐子が優しく笑う。
「お母さんはね」
「算数の成績より、こっちの方がうれしいわ」
「え?」
「困っている人を助けられる子に育ってくれたんだもの」
ぽん太は少しだけ照れた。
「えへへ」
ハル子が静かに言う。
「私も、すばらしい評価だと思います」
「やった!」
リョウ子が冷たい麦茶を置いた。
「一学期、お疲れさまでした」
「ありがとう!」
ぽん太は麦茶を一口飲む。
「二学期は算数も頑張る!」
千春が笑う。
「その前に、途中の式を書こうね」
「うーん……」
ぽん太は腕を組んだ。
「そこが一番難しいんだよなあ」
みんなが笑った。
ぽん太は通知表をそっと閉じた。
「二学期も頑張る!」
家族みんなが笑顔になった。
一学期によく頑張ったことを胸に、二学期も頑張ろうと思った、ぽん太くんでした。
通知表は、勉強だけを評価するものではありません。
友だちを思いやる気持ちや、一生懸命に取り組む姿も大切な成長の一つです。
ぽん太くんは、得意なことも苦手なことも、そのまま受け止めて「二学期も頑張る!」と前を向くことができました。
その素直な気持ちが、これからの成長につながっていくのでしょう。




