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第八話 「喪失」

ーーーーーまた船の上で目覚める。


俺が目を覚ますとそこは船の上だった。


「あれ...。死んだはずなのに、、記憶がある」


先ほど砂浜の白い亡霊のようなやつに殺された。

起きて死んだ時の様子を鮮明に覚えているのはこれが初めてだった。


俺は日記を取り出すと、さっき砂浜を歩いている時に書いた日記がそのまま残っていた。


「マジでなんなんだ!?なんで現実で死んだのに記憶がそのまま残ってて日記も死んだ時のが残されているんだ!?」


 この死に戻りのルールがいまいち理解できてない。夢で死んだらその日の朝にまた戻ってしまう。でも、

現実で死んだら?


「ペナルティ的なものはないのか!?いや絶対あるはずだ」


俺がまだ気づいていないだけで、とある何かが失われている気がする。

現実で死んでも夢と同じようにその日の朝に戻るのか、いや...それだとしたら現実で死んだ方が記憶も残ってるしマシになってしまう。


 夢で死んで記憶が失われる以上のペナルティが俺の身に、それか周りに起きているのかもしれない。


ーー「あ、起きたんだ。こんだけの時間乗ってたら疲れるもんねぇー。」


「え、、ああ、そうだな。」


タチバナが俺に話しかける。エナはシートをまだ広げずに寝ている。ここで俺は思い出す。


「おい!そういえばなんだけど...この船って進んでどのくらい時間たってるんだ?」


ーー「うーん。ざっと30分くらいね。」


船を出して30分。さっき俺が起きた時には1時間たっていた。途中の島が40分頃、あと10分で俺が見なく通り過ぎた島が見えてくるはずだ。


ーーー10分後。


「あれが、、...途中の島かよ!」


ーー「途中の島?ほんとだ!あの島かしら?」


「いや....!!あれは近寄っちゃだめだ!」


禍々しい島が近づくなと言わんばかりに強いオーラを放っている。俺はそこに寄ろうとしたがよれない。


あの島に上陸したら死ぬ気がした。


ーー「いや、、そうね、あの島にはいかないわ」


「ああ、それでいい」


島には寄らなかった。次の問題は船が壊れる原因になったエナの間違った火の使い方だ。


教えようと思ったがそこでまたミスって燃えたら最悪だと想定し、とりあえず火を使わせないことを選択する。


ーー「ふぁーー。よく寝た。」


「あ、エナおはよう。」


エナはお腹が空いたのかシートを広げ始める。


「えな?一つ聞きたいことがあってー、、火とか使ったことないよね?」


ーー「ない!」


でかい声で返事をするエナははっきりそう言った。


「火とかは今日使わないでくれ、、あとでちゃんとおしえてやるから、、、ね?」


ーー「えー餃子揚げようとしたのに...」


「あ、そうだったのか...あっはは、でも今日は我慢してくれ、、な?」


エナは分かったと俺のいうことに従ってくれた。あとは船があの細長い島に着くまでの辛抱だ。


そこで俺はタチバナとは別にエナの特殊能力を聞いていないことに気づき、エナに聞いてみることにした。


「えな?そういえばなんだけど特殊能力ってお前は何持ってるんだ?」


ーー「んーー。一回目は自分についてたし、あと一回しか誰かに使えないから最近はずっと使えてないんだよね。だから言っても意味ないと思うよ?」


「あと一回しか誰かに使えない?自分じゃなくて相手にバフとかつける能力みたいな感じなのか?教えてくれ!」


「あと一回しか誰かに使えない」、「ずっと使えてない」。

その言葉を聞いてエナの特殊能力は自分に課すバフはもうつけてあり、残りの一回は味方などの別の人間にしかつけることができないということが予測できた。


ーー「えー。言っちゃうー?」


「ああ!教えてほし...」

ーー「記憶保存」 


エナが能力を明かす。その言葉は俺の夢の死に戻りによる記憶の喪失を完全に無効化できる。エナの能力は俺を、この先を助けてくれるものだと確信した。


「き、...記憶の保存!?それマジなのか!?俺につけてくれ!!」


ーー「え、?こんなのもらって何になるの!?」


 エナは慌てている。


「よ、、よっしゃぁぁぁ!!!これで二度と忘れねぇ!!」


ーー「げっ!どうしたんだよ!」


エナの神のような能力に俺は叫び、喜びまくる。


ーー「なんでそんなに喜んでるの?きもちわるっ」


タチバナが、喜んでいる俺に酷い言葉を突きつける。まあいい、俺はこの能力をもらえば二度と記憶を忘れることはないんだから。

でもそこで思った、意味がないかもしれない。


「あ、でもだめだ。この能力って身につけた人が死んだとしたら意味なくないか?」


ーー「まあ死んだら全部終わりだし意味ないのはそうだけど、もし蘇生能力とか持ってる人に助けてもらったら記憶は体の隅々まで保存されたままだから大丈夫」


「え、、?その体に刻まれた記憶は死んでもついたままなのか!?」


ーー「あ、でも欠点があるんだ。例えば足に好きな食べ物の記憶が刻まれててもやっぱりその足を失っちゃったらその記憶は飛んでっちゃうね。」


「なるほど。失う場所によってそこに刻まれた記憶だけが飛んでしまうってことだな?」


ーー「そゆこと。最後にあと二つ注意点があって....」


「よーし!わかった、わかったぞぉぉぉ!!!俺にその能力をつけてくれ!」


エナの言う注意点なんてどうでもいい。

エナは戸惑いながらも俺に能力をつけてくれた。


俺は最強の仲間と最強の体(記憶の源)を手に入れた。もう何も怖くない。俺はもう必要ないと日記を海に投げ捨てる。


でも死ぬのは怖いし、もし一番大切な記憶が刻まれている箇所をなくしたらと考えると嫌気がさしてきた。

どこになんの記憶が刻まれてるかわからないので安易に失っても大丈夫とは限らない。


そう考えている途中に、前死んだ島の砂浜に船が止まった。



※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※



ーーーーーさっき死んだ島。


俺たち3人は船を降り、砂浜に足を踏み入れる。

タチバナが空に向かって一直線に飛んでいく。


前とほぼ同じ内容でこの島の形やその先にある丸っこい島があることについて俺に話す。


タチバナが地上に降りてくる。

俺たちは先に進む決意をする。俺は緊張しつつも先ほどエナに授かった特殊能力を信じて前に進む。


ここでエナが誰かに話しかける。


ーー「あ、あの....さっき言えなかったことなんだけど....」


俺は緊張しながらこの地獄の砂浜を歩き続ける。エナはやってしまった的な感じでまた話しだす。


ーー「....。一つはその能力をつけた瞬間に失っていた記憶はもう二度と完全に思い出すことはできない。二つ目は記憶が永久保存されるかわりに特殊能力が弱体化しちゃうけど大丈夫だよね!?」


誰も返事をしない。こいつはだれと話しているのだろうか。名前でも呼んだらいいのに。


でも、「能力」、「記憶」という言葉が出てきたのは俺と関係があったと思ったが多分違う。緊張でそれどころじゃない。


ーー「あのさ、エナが話しかけてるんだけど?なんで無視するのよ」


歩いている俺の後ろのタチバナも誰かにそういった。

ここにいるのは俺とタチバナとエナの3人だけだ。


列に新しい仲間でも加わったのかと思った。

だけど緊張でそんなのどうでも良かったが無視は良くない。


「そうだぞー。新人ーー無視はだめだ」


ーー「新人?あなたに対して言ってるんだけど」


「あなたに言ってるって言われてもそのあなたっていう名前の人が列に加わったからその人に対して話してるんだろ?」


2人の足音が止まる。嫌な予感がした。


前に死んだ時にいつのまにか消えていた2人の足音。

俺の足音だけが静かに砂を蹴りながら歩いている。


またここで新たなあの足音が出てくる!と思ったが2人がほぼハモって背後から俺に言うかのように叫ぶ。


ーー「お前にいってんだよ!!」

ーー「君に言ってるんだよ!?」


俺は後ろを向いてはいけないとずっと考えて歩いていたが2人の予想外の声のデカさに驚いて後ろの2人を見てしまう。けど幸い何も起きなかった。


「だからあなたくん無視はダメって.....あれ?その新人のあなたくんは?」


ーー「は?」

ーー「え?」


「は...?え?」


2人が俺を何言ってんだこいつという目で見る。

エナはずっと俺を心配してるような目で見てるが、タチバナは呆れた表情に変わる。ここでエナが言う。


ーー「なに...戸惑ってるの?真面目に言ってるんだよ?........。あなたに!君に!いってるんだよ!?」


俺を指差しながらエナが話す。逆に俺が、何言ってんだこいつとエナを見てしまう。あなたくんが俺?


「いやいやいや...俺も真面目にちゃんと言うよ?」


ーー「.....なに?...」


「俺の名前は、.....。俺の...名前、、。あ、あれ?」


ーー「なまえは!!??」


徐々に呆れて見ていたタチバナが驚愕した顔になる。

名前が思い出せない。


昨日の記憶が残っているなら俺はこの2人となんて呼ばれてたのか。まだ確信したわけじゃない、あくまで予想だがここで俺はあることに気がつく。


現実の死の代償は、



ーーーーー大切にしてきた記憶の喪失である。






















第八話どうでしたか?主人公の名前ってなんでしたっけ

第九話は明日の18時10分に予約投稿するのでよろしくお願いします!楽しみに待っててください!

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