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第七話 「離島の陸地」

ーーーーー波の音がする。


心地よい風の新鮮な匂いと、ゆりかごに乗せられているかのように俺の体が浮き沈みを繰り返す。


「あれ....ここどこだ、俺は睡蓮町にいたはずじゃ....」


長い夢を、現実を見ていた気がする。

晴天の空。太陽の光を浴びながら俺はゆっくり眩しそうに目を開ける。


「おれさっきまで、、こんなとこいたんだっけ、。」


記憶が薄れている。

ポケットに手を伸ばすとそこには4月11日の文字。


「4月11日!?なんで!?」


記憶を失っていた。あの日のとても大切な人に殺されてしまった記憶を。


「あれ、、泣いてる....」


俺の目から涙が流れていた。

さっき俺はあの日を最悪な展開で死んだのだから当たり前だ。死んだことによって記憶はもうほぼない。


「まあ、、、今日も、がんばろう、、」


死んだ記憶が少しだけ頭に浮かび上がってきたが異常に食道付近が気持ち悪かったので何でこんな記憶があるかなんて考える暇もなかった。


ーー「....ら!..、、、新田!」


背中を後ろから強く叩かれる。


「え、、...?」


ーー「何寝ぼけてるの?もっといつもみたいにシャキッとして!」


「シャキシャキ、?」


寝ぼけのせいでこいつは誰なのか、なんで初対面の人が背中を急に叩いてきたのかまったく理解できない。


ーー「!?...シャキシャキじゃないわ!」


「いや...レタスはシャキシャキ、、でしょ。」


こいつは性格がシャキシャキしているのか。


「いやぁー俺もレタスみたいにシャキッとした...いな...ってお前誰だよ!てか何で俺は船の上にいるんだ!?」



辺り一面「海」だった。びっくりして寝ぼけが治る。

俺とこいつはその水面を走る船に乗り、どこかに向かっている。


ーー「はぁぁぁだめだこりゃ。」


「そんなこと...いわれても」


4月10日の記憶は鮮明に覚えている。おそらく1日を越えることでその日の記憶は定着されるということだ。


それよりもこいつの見た目は金髪の女性。金髪といっても少し毛先が薄くなっている。


「で、、あなたはだれなんです、、か?」


ーー「ふざけてるの?バカにしないで」


「いやふざけてないですけど...」


ーー「はぁ...お客様左手をごらんください」


バスガイドのようにふるまい始めたそいつの左手を見ると、船の上には俺とこいつだけじゃなかった。


他にもう1人がピクニックかのように、シートを広げて食事をしている。


「船の上で...、シート広げて食事.、しかも1人で?」


ーー「いつまでこれやるつもり?茶番に付き合ってられないんだけど。」


情報量が多すぎて頭がパンパンだ。

ここで俺は現実で死んだような気がしたが気のせいかと気を紛らわせた。もう悩むのにも疲れてきた。


「死ん....いや、、気のせいか」


ーー「さっきからなんなの?演劇部でも入ってたの?」


死んだ。絶対死んだ。

その情報だけは魂に刻まれている。もし現実で死んだのだとしたらペナルティ的なのはあると思う。夢で死んだら現実に戻るけど現実から夢なんてあり得るのか


ーーーー何を失ったかわからない。


「あのさ、、名前とか教えてくれ」


ーー「え?改めて自己紹介でもするの?まあやってあげなくもないけどね」


「ああ、それで頼む」


この先何が起こるかわからない。俺は茶番を演じる。

そうしないと信頼が薄まってしまう気がしたし、呼び合うための名前は必ず知っておいた方がいいと感じた。


てかこれがパーティメンバーなのだとしたら名前すら知らないのはさらにやばい。


ーー「私はタチバナ。自慢できるのは..そうね、嫌いな食べ物がない!とかかな..へへ、なんか照れるな」


「タチバナか、よろしく」


ーー「よろしく?ああ、そうね改めましてよろしく」


タチバナ。いい名前だ。

学校で古典の授業を受けた時、(たちばな)なんとかさんみたいな人がいた気がする。


「あれ、あなたは?」


1人でシートを広げ弁当を食べているやつに俺は問う。

水色の髪で背は普通くらいなのに幼い感じがする。

そして身の丈に合わないローブを着ている。


食べながらびっくりしたのか口を素早くもぐもぐさせ俺の茶番にのってくれた。


ーー「ごめんごめんお腹減ってたんだ〜〜へへ」


「いや俺がごめんな。名前教えてくれたら嬉しい。」


ーー「いいよいいよ!私はエナ!よろしく〜〜運転は自動でやってくれてるよー。」


「わかった、よろしくたのむ。」


ちょっとそっけなく低い声で返事をしてしまった。

だってこのメンバーも俺が死んだらすべていなくなってしまうのだから。

エナはまた弁当の続きを楽しむ。


「ちなみに俺は新田!名前だ。てか聞きたいことあるんだが...この船はどこに向かってるんだ?」


ーー「はぁ...そんなことも忘れたの?エナが神様に会ってみたいって言ってたじゃない」


タチバナがそういってくれたけど俺は神様なんてこの異世界にはいないと思い込む。

あの「殺神」をみたあと神様に会いに行くなんて肝が冷える。


「あ、、そう、だったな。でも神様なんてどこにいるんだ?しかも周りに何も見えないぞ。」


ーー「そうね。船を出してからざっと1時間くらい進んだんだけど...。」


「1時間!?それでまだ見えないのってどんだけその神がいる場所は遠いんだよ」


ーー「あ、でも立ち寄らなかったけど進んで40分くらいの時に島が見えたわよ。」


船を出してから1時間。50キロとかだろうか。

俺がそう考えている瞬間に船が燃え始めた。


「え?えぇ!?んなことあるー!?」


ーー「うわぁぁ!!エナ!あんたなんかした!?」


ーー「し、してないよ!あ、でもお弁当にギョウザあったから揚げ直そうとしたら変な音はした。へへっ」


「へへっじゃねぇよ!お前ら海に飛び降りろ!!」


全員が海に飛び降りる。

その瞬間、船が爆破して部品やら燃えかすやらが海に落ちてくる。灰の匂いが海の水面上に舞う。


「げほっげほっってつめてぇぇ!!!」


ーー「うわっつめっっだぁ!どうすんのよこれ!」


ーー「ど、どどどど..どうしよう!!?」


思っていたより海の温度が冷たい。4月だから冬よりはマシだと油断していた。このままだと全員ここで凍え死ぬ。


「船の進行方向通りに進もう!島が見えてくるかもしれない。戻るよりはマシだろ!?」


ーー「あ、え..え、、そうね!進みましょ!」


ーー「よし!みんな泳げ!!」


エナの声で俺たちは船の進行方向通りに泳ぎ続けた。

20分後。


「お、おい!!島?なのか?もうちょっとだ!!」


特徴的な形の陸地が姿を表す。

丸くはない、長細い陸地だ。俺たちは最後の力を振り絞って島らしき場所に辿り着く。


「はぁぁぁ。めっちゃ寒いし疲れた。こんなに泳いだの初めてだわ...」


ーー「初めてに決まってるでしょ...。こんなこと二度と経験したくないわ..。」


ーー「ご、ごめん。私が火なんか使ったから。」


そうだ。お前のせいだよこんなことになったのは。

と言いたくなったが流石に抑える。


「んで?ここの島はなんなんだ?島っていう解釈でいいよな....」


ーー「ずいぶん細長い陸地ね。」


エナは反省して下を向きながら黙っている。俺はエナの背中をさすりながら言う。


「エナ?失敗して人は成長するんだぜ?」


かっこつけて名言かのように言ってみるがエナに無視された。こんなこと俺に言わせて感謝しろよなと思ったがまたこれはいけないと抑える。


ーー「あ、新田!!この島どこかでみたことあるわ!!」


「みたことがある?」


声だけ聞いたがどこにもいなかった。

なぜならタチバナは空をいつの間にか真上に飛んでいた。その上空から周りを見渡して言ったのだろう。


「えぇ!?お前飛べんの!?それならさっき海で泳ぐ必要なかったじゃねぇか!」


ーー「いや知ってたでしょ?私の特殊能力は空飛べるけど真上に一直線しか飛べないって。」


「え?ああ、そうなのか俺と似てなんか地味であんまり面白みがないな。」


ーー「....そうですね。」


「なんかごめん..、」


俺がこの世界に来て初めて他の人の特殊能力を見たのは初めてだった。


あの殺神が使ったのはまだよくわからない。だからこそ特殊すぎにも程があると思って口走ってしまった。

そういえば殺神の特殊能力は未だ不明だ。もう出てこなくていいけど。


「てかどこかで見たことあるってどんな形なんだ?

俺は底辺高だったけど社会は得意科目だったからわかるかもしれないぜ?」


俺の得意科目は社会。歴史や地理などもまあ他の教科に比べれば得意な方だった。


「いや、この世界は日本じゃないのか。なら社会なんて役立たないな...でも一応教えてくれ!」


ーー「んー。細長い道があるってだけね。あ!でも霧に隠れてよく見えないけどその先に丸っこい島があるわ!」


俺は一応考えてみる。

 船に乗って1時間半くらいにある細長い島のようなもの、その先に丸っこい島、周りには草木がボーボーに生え、夜闇と霧のせいであまりはっきり見えないが廃家がある。ただ砂浜はきれいだ。


「いやぁーーわからん!細長い島の先に丸っこい島?そんなもんあんのか?」


いやあるわけない。ここは異世界だ。日本にある島の特徴だったら普通の人でもわかるかもしれないが俺は底辺高の中のただ社会がちょっとだけ得意なやつだ。


底辺高では上かもしれないだけで普通くらいの学校ではみんな俺の知識以上が普通なんだ。


「一応聞くんだけどー!この世界って地図とかあったりするーー!?」


ーー「え、地図は見たことあるーー!!」


「わかったぁ!もうわかったから降りてこーい!」


タチバナが空から降りてくる。エナはタチバナが降りてきた瞬間背中にしがみつき、とても反省している。


ーー「もういいってば!間違いは誰でもあるし」


ーー「タチバナーー...!ありがどう...!」


エナの調子が戻った。


「よし....。この先のその丸い島とやらのとこまで歩こう。」


ふたりがうなずく。俺は進みながらいつ死んでも大丈夫なように日記を手に持つ。



4月11日

船に乗っていると見ず知らずの2人が俺を起こす。その2人の名前はタチバナとエナ。俺のパーティメンバーという解釈で進めて大丈夫だと思う。エナがやらかして船が燃えて爆破する。俺たちは海に飛び込んで船の進行方向に進むと細長い島がある。



現状までの記録を書いておく。俺たちは細長い島の砂浜の道を進む。夜の静寂、冷たい風が俺の頬をやさしく撫でる。


「それにしても、、寒くないか?」


ーー「確かにそうね。夜になるのもなんだか早かったような気がするわ。」


ーー「私は案外普通だと思うけど?」


意見が一致しない。まだこのメンバーはまとまりがないのかもしれない。いや意見が異なるのは普通か。


そのまま縦に並んで砂浜を歩き続けていると、魚たちの死骸が海に以上に浮かんでいるのが見える。


「え?あれ魚...だよな、?」


ーー「あんなに死骸が浮かぶことってあるの?」


「いや俺は今のこの光景は初めてだが....」


泳ぎ続けている魚ももちろんいる。みんな群れになって俺たちと同じ方向に泳いでいる。


「エナ、お前もなんか言ってくれよー。この魚の死骸とかほぼ原型保ってなくない?........エナ?聞いてるか?タチバナもエナになんとか言ってやってくれよ」


無視されたと思い、俺は魚を見る。

魚の群れを見ていると数があきらかに減っていることに気づいた。さっきまで泳いでいたところに死骸がさらに増えている。


「え、、なんで、?」


俺が不思議に思いながら進んでいると2人の口数が0に等しくなっていることにも気づく。


だが、魚が進行方向を俺の行き先と逆に方向転換すると一気にその全ての魚の群れがはじけ、血の海と化する。


「は...はぁ!?俺と逆方向に行って死...んだのか?」


俺はそこでほぼ確信する。

ここで後ろを向けば「死ぬ」と。俺が足を止めると、さっきまで後ろにいた2人の足音がないことに気がつくがなぜかすぐに後ろから足音が聞こえてきた。


俺は前を向きながら話す。

過呼吸になりそうだ。どんどん呼吸が荒くなっている気がする。


「お、おい!タチバナ...とエナ..、だよな!?なんとか言えよ!!」


背後からの足音が止まずに俺の方に近づいてくる。


「くっそ!書くしかない!」


日記にさっき書いた続きを書く。



砂浜を歩いていると

うしろから2人の足音が消えて足を止めてみたら新しい足音が俺に近づいてくる。後ろを向いたら死ぬぞ。海にいた魚が後ろを向いた瞬間死んだからだ。



俺は怖くなって走り出す。

 どんどんあの砂を蹴りながら歩く足音が遠ざかり、ついには聞こえなくなる。うしろを一回振り向いてしまったが何も起きなかった。


「はぁはぁ、、今のうちに...もっと奥にっ!」


俺はもっと奥に進んで逃げようと足を踏み出すが手から日記を落としてしまう。


「あ、やばい!」


慌てて日記を拾うが俺の左足と右足の間の少し後ろに輝く宝石のようなものを見つけ、足と足の間を覗くように頭をかがめる。股のぞきのような感じだ。


しかし、それを拾おうとした瞬間にその足の間から後ろを見てしまうとさっきまで走ってきた遠い場所から足のない白い姿をした人が新幹線の速さくらいで等速直線運動のように俺を目掛けて突き進んできた。


「う、うゎぁぁぁ!!!!」


現実で死ぬ。さっき死んだと思うのにペナルティ的なものは見つからなかった。また俺が気づかないペナルティが上乗せされるかもしれない。


俺は特殊能力を使おうと英単語を必死に思い出したが



ーーー使う間もなく現実から身を消された。












































































※内容が難しいかもしれません。

5000文字、6000文字くらいの量になってしまいました。ここまで読んでくれた人ありがとうございました!

もしかすると勘のいい人はこの島の原理や名前がわかるかも?八話も楽しみにしててください!

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