表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/18

第六話 「約束」

ーーーーー「4月11日」


絶望の朝。しかし腕が治っていたのは奇跡だ。

俺はハンドリガード現象のように自分の手を見つめる


それとは別に、学校がある日はどんな朝でも絶望していた。だがその絶望をはるかに上回った。


寝てしまっていた地面に血溜まりがない。そこに落ちていたノート、ペンも、スマホもない。


ーーーおそらく夢の中で内容が変わったのだろう。


「これ...やばすぎないか!?」


 本当に俺は何やってるんだと思った。あのヒントを得たのに寝る?やっぱり俺は底辺高生徒の象徴である


今の所、町に変化はないと見た。ただ見えない何かが変化してることも視野に入れる。ここで


聞き覚えのある声が背後から俺に言葉をかける。


ーー「おはよう...。」


「!?!?」


その聞き覚えのある声は「母」だった。見た目も声も一緒で特に変化は見当たらなかった。それよりも、


ーーーーーなぜ母さんがここにいるのか。


「母....さん!?なんでここに?」


ーー「どう?真面目。この世界は」


その懐かしく優しい声を聞いて、俺は涙が溢れ出す。

腹痛が理由で死んでしまったなんて言えなかったが母さんより先に死んでしまったことを謝る。


「ごめ....ん!俺はぁ...母さんの言うことも...聞かずに、親孝行もできないで母さんより先に死んじゃてえ...!」


母さんは俺を静かに抱きしめる。


ーー「はいはい、いいのよ?真面目は真面目らしく生きられたじゃない!すごいことよ?お母さんはね、真面目を産めた時点で親孝行だと思っていたわよ?」


「かあさん、、、ごめ、ん、、、俺なんか産んでくれてありがとう...。」


ーー「うふふふっ。真面目ったら泣きすぎよ」


母さんに伝えられた。

 とてつもなく俺は今幸福を感じている。絶望の朝が救いの朝に変わった。


ーー「さ、真面目。次にいつ会えるかわからないしお母さんのご飯食べなさい!?元気もりもりになっちゃうわよ!!」


「うん!わかった!いっぱい食べて元気出すよ!」


俺は母さんが料理している所を眺める。

今いる路地裏にはさっきまでなかったキッチンが設置されており、母がそこで料理を始めたのだ。


「うわぁぁ!!いい匂い!」


ーー「今日は真面目が好きなハンバーグと唐揚げ!」


「よっしゃー!!」


俺は新たにここに設置されたテレビを見る。家に置いてあったのと同じだ。


 テレビには砂嵐しか映っていなかったがそれを見ているだけでも母さんが今料理を作ってくれてると思うとすごく嬉しかった。  


ーー「ここに置いておくわね!」


「わかったーーー」


俺はそっけない返事をし、テーブルの上に置いてあったものを見た。


「あれ?なんで弁当箱に入れてるの?」


不思議に思い、お母さんが今いたとこに質問してみても返事がない。


「トイレ...かな。」


弁当をとりあえず開けてみる。開けた瞬間腐った匂いが俺の鼻を刺激する。


「くっっさ!!!!でもなんで...?」


さっき作ったばかりの弁当だ。なのに腐った匂いがする。俺はこの匂いの弁当をこの世界に来る前に食べて死んでしまった。それは明らかに覚えている。


そして、母さんが路地裏のトイレの扉から出てくる。


ーー「あれ?どうしたの?」


「いや、、、、なんか匂いが変で」


ーー「匂い?」


母さんは疑う目つきで弁当を見て鼻をクンクンさせた


ーー「めちゃくちゃいい匂いじゃない!!嘘つかないでよービックリしたじゃない!演技が上手いわね!」


「はぁ?......いやはぁ?」


俺は疑いつつもまた匂いをかんでみるがやはりあの時と同じ匂いがする。


ーー「だって出来立てやぞ!?出来立てがそんな匂いだったらお母さんくわれへんわ」


「た、たしかに.....待てよ?」


この弁当は出来立てで普通なら臭い匂いではなく良い匂いが漂う。それと同時に昔のことを思い出した。


 あの時、母さんが弁当を置いたのは俺が部活に行く前でそのときには腐ったりはしていないはず。


俺が昼間に食わなかったせいで腐ったのだし母さんは何も悪くない。

腐った弁当を食べてしまった俺の責任だった。だとしたらこの現象はフラッシュバックとでもいうのか。


ーー「たべないの...?」


「あ....ほんとごめん、無理かもしれない。」


ーー「そう....」


母さんが悲しそうな顔をする。声もワントーン以上下がってしまった。すると、


ーー「じゃあオムライス!昔好きだったでしょ?またお母さんが作ってあげる!」


「え、?ほんとに!!?」


俺は最近ハンバーグやら唐揚げやらの肉料理が好きだったが昔はオムライスが好きだったのだ。


また手間をかけてしまったが久しぶりに母さんのオムライスが食べられると思うと、とても以上に嬉しかった。数分後、オムライスが完成した。


ーー「真面目!できたわよ!」


「わぁぁ!!!」


子供の頃に戻ったかのようだった。

子供の時は母さんのオムライスを食べただけで、あと一ヶ月は何も食べなくても生きていけるんじゃないかと思うくらい美味しく、満腹感もすごかった。


ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー 


ーーー子供の時の記憶がフラッシュバックするーーー


「ママぁ!!オムライス美味しい!」


ーー「当たり前じゃない!ママは真面目の笑顔を見れたらそれだけで満足なのよ!!」


「ママぁ!これからもずっとずーっと作ってね!!」


ーー「えぇ!?そんなに美味しかったの!?ていうかママが生きているうちはお腹いっぱい食べさせてあげるつもりだったわよ!!」


「やっったぁーー!!!約束だよ!!」


俺と母さんの暖かい会話とその場面が脳内で再生される。

笑い声、たくましく優しい声、俺の幼い言葉遣い。


 俺は気付けば涙が大量に溢れ、顔がぐちゃぐちゃになったり服や地面がびしょびしょになっていた。


「ぐすっ...美味い.....。美味しい....!」


がっつく。これでもかとオムライスに食らいつく。

食べるたびに涙が永遠に流れ出し、オムライスの味と混ざって少ししょっぱくなる。だがそれでよかった。


ーーーーーいや、それ「が」よかったんだ。


涙をこぼしながら食べる俺、それをあの優しい顔で見つめる母さん。

しかし、急に食べすぎたせいか心拍数が上がってくる


「はぁはぁ....急に食べすぎタ...」


「ふふふ。取られるわけじゃないんだからゆっくり食べて良いのヨ?」


視界がぼやける。聴覚が若干弱まる。急に食べただけでこんなことになるだろうか。

次第に、なにかを出そうと体が震え始めてくる。次に体が高熱を帯び始める。


「え...コレ、ドウイウコト...?」


ーー「フフフ。気にしないでモットイッパイ食べナサイ?すキだっタでシょ?」


俺は椅子から転げ落ちる。口から何かが飛び出ようとするがオムライスを噛まないで飲み込みまくったので喉付近で詰まりを起こす。俺は息ができなく、首を押さえ込む。


「かあさ、、、ン。タス、、け、」


ーー「ヤクそ、く....マもレタねぇ!!」


思い出した。これは夢で起きたことを現実で今こうして受け止めている。昔の頃がフラッシュバックして裏に何があるのか考えることもできてなかった。


 ただ夢の中では死んでない。だから4月11日を迎えられたが俺の予想ではおそらく夢の中で母さんは俺が寝ている横でずっと狂ったように


おはようおはようおはようおはようおはようおはよう

おはようおはようおはようおはようおはようおはよう


と、俺が起きるまで繰り返していたのかもしれない。そこで俺が起きて今日の反応をしていたら先に進んでいたかもしれないと言うことだ。


俺は首をまだ押さえ込みながら何とか喉の詰まりをだそうとしたがなかなかでてこない。


 俺は、母さんの温もりに甘えすぎて油断したことと「死ぬ」ことを察してしまい、また涙がこぼれる。


特に母さんの「約束」という言葉。昔に俺が母さんに「約束だよ」と言っていた。にもかかわらず俺が先に死んでしまった。


 この世界に来てから俺は心の奥底で後悔していたのかもしれない。いやしていたのだ。なのにこの世界のルールがありすぎて後悔する暇もなかったんだ。


 そして今その後悔が昨日の夢で満杯になり、こぼれ落ちる。その影響により夢で具現化されたのを知る。


「げん、、、じ、つで....し..、、ぬ.?」


忘れてはいけない。これは現実だ。

俺はまだ「現実」で死んだことがないため死んだらどうなるかも分からない。

俺が恐怖感を感じていると母さんはずっと笑顔でいる


母さんが俺の心を弄び、夢で何が起きるか分からない状況でこんな形の再会になってしまったのを悔やむ。


絶対に二度とこんな結末を迎えたくない。


ーーーだからこそ今やらねばならないことがある。


「.........!!!」


俺は日記帳を取り出す。

首を押さえ込むのをやめ、死ぬ前にこの結果を日記帳に書き記そうとする。



4、11にり

ははにころされう、めさめりとおれのはいこにははかいろ、おむりいしたへたらどくとちつそくてし、め



必死に字がある程度汚くてもわかるくらいに一画でも二画でも減らしてより多くの情報を書き込む。


ここでまだ能力を使っていないことに気づくが、もう手遅れだった。声が出なく、視力が0に変わる。


ーーーノートがまだそこにある感触がある。


何も見えないがノートの感触がある部分に少しでも多く書こうと情報を書き込む。ペンを持つ手が今までよりさらに素早く動く。


 が、、、、、、、



ーー「ハい!!ぼっシュウでス!!!しョくジチゅウにさワラなイ!!!」


「あっっ......ぁあ!...かえ、、、せ...え、、!、」


俺の最後の足掻き声が母さんに向けられる。

ノートの紙の感触が手から消え冷たい地面の上に手がのる。

くしゃくしゃと紙を丸められる音が聞こえ最後には丸呑みするごくんという音がはっきり聞こえる。


「せ、、っかく.....かい、た...の.......に、、、」


最後の足掻きは、今まで一番信用して一番俺を大切にしてくれた人物にすべて「無」に帰された。


「か...、あ...さん...ごめ..、、ん。」


母さんを救えなかった。

俺の中で、女性=お母さんということになり拒絶してしまいトラウマの存在ということが魂に刻まれた。


 俺がこの世界に来る前、高校生の時によく脳で描いていた異世界はこんな残酷なものじゃない。

もっと穏やかで仲間がたくさんできて、あらゆる困難に立ち向かう。

そして今日という試練を乗り越えたら勝利を祝い合う


俺はこんな夢物語をまた想像してしまっていた。


 目から涙と共に、温かくどろどろした液体が新たに流れ出している。見えていないが手のひらの上に水滴が垂れてきたような気がした。


そしてついに限界を迎える。



ーーーー新田真面目の灯火は静かに明かりを失った。





















 































六話どうでしたか?真面目が必死にペンを走らせた日記はすべて無に返されてしまいました。七話はどうなるのか、、、。書いてるこっちが泣きそうになりました。

みなさんはどうでしたか?

面白かったら評価などよろしくお願いします!ブックマークなどもとても嬉しいです。

七話も楽しみにしていてください!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ