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第十一話 「仕える者」

※注意:この話では地震や津波の状況が含まれています。

見てくださる際は自己責任で視聴の程よろしくお願いします。

「はぁ....疲れた。マジでこの神宿島?ってやつはどんだけ広いんだよ...」


 タチバナやエナと分断させられてしまった今、この島に神はいるのかどうかを調べなくてはならないのは俺1人だけだ。


「エナぁぁーータチバナーー。もう...」


 今俺はどんな気持ちで2人の名を呼んだのだろう。もうじき夜になる。

残酷にも時間は正確に時計の針を進めていくことに嫌気も感じながら嬉しさも感じる。


 嫌なことがある時には早く時間が過ぎてほしいし、楽しいことをしている時にはこの時間がもっと続いてほしいと願うだろう。


俺の今の状態でいうと夢が始まる嫌気とその夢を生き残ったら明日を迎えられる嬉しさである。


 この世界に来てまだ2日目のようなものだ。4月10日から始まり、今日は4月11日。1日がクソほど長く感じてしまう。


「あぁ!!くっそ...!!上等だ...夢なんか一苦労もせず乗り切ってやる」


近くの廃家にお邪魔させてもらい、蜘蛛の巣だらけの部屋だがまだ綺麗な状態で残っているベッドで横になりながらそう話す。それにしても汚ねぇ部屋だ。


現実でもエナやタチバナの特殊能力が必要不可欠だったのに、しかも運良くライトが助けに来てくれて何とかなったのに俺は現実よりもハードな夢を越えられるのだろうか。


俺はそう思いながら静かに瞼を閉じる。


ーーーおやすみ。現実の俺。


 目が覚めると案の定朝が始まる。

 今日は天気がいいようだ。晴天の下で太陽に輝かせられながら朝を迎える俺、一言で言おう。


「俺は神だ...。...、!?いや違う違う!これは夢だ!正気に戻れ俺!」


危ない危ない。

 夢で起きていることをすっかり忘れていた。ほっぺたをたたきながら正気に戻る。


ただ、ここで今からやるべきことはただ一つ。


「なにもしたくない...。」


今見ている夢でとんでもないことが起きているわけではない。


だからあえてなにもせず、安心安全な状態で静かに夢を越すことが俺の考えである。


とかいう間抜けな思考を夢の内容で押しつぶされる。


「なんだ...なんだ!?地震か!?」


俺的にいい考えだと思っていたが即座に打ち消されてしまった。震度7以上はある。

なんなら10ほどあるくらいの勢いで大地が揺れる。


その揺れで俺の仮拠点である廃家が崩れていく。


「やばいやばい!とりあえず家から出ねぇと!!」


家から飛び出した俺の目には海が映る。地震の影響で波が大きく引き返していく。


これは安心できるものじゃない、地震の後に波が引き始めているのはいわゆる津波が起きる前兆だ。


「ああ!マジでどうすれば!?とにかく高いところに避難するしか...!」


俺はこの島で高いところはないかと周りを見渡しても平地がほとんどで高いところがない。


「避難」できる場所がない。あと何分かもすれば俺とこの地面は海と一体化するだろう。


「俺は...また何もできないで...死ぬのか?」


 嫌だ嫌だ嫌だ。そんなこと考えたくもない。だが、運命は決まっていると思い死を覚悟する。

目を閉じて目の前の津波が俺を飲むのを待つ。心臓がバクバクと鼓動を早める。


しかし、なかなか津波がやってこない。俺が少し目を開けると誰かの目と俺の目が合う。

その距離1センチくらいだった。


「うわぁぁ!!誰だよお前!ちかいな」


ーー「おー!起きた起きた。死を覚悟するなんて君はそれほどすごいものを持っているようだな」


「すごいもの...?勇気みたいなやつか。てかお前は味方なのか...!」


目の前には見知らぬ男。俺より背が少し高いがそのせいで見下されていると感じてしまう。

 そして、味方かどうか疑ってしまった。


ーー「味方かどうかって?ははは!味方以外に何がある?この海を見てみろよ。」


「え?」


俺が海に目をやると俺を飲むこむ予定だったはずの波が高く空中に静止している。


「止まって...る!?何をしたんだ!!」


ーー「見ての通りさ。時を止める能力、でも長くは持たないってわけ。」


「何で俺を助けてくれたんだ...?」


ーー「善意だが...助けなかった方がよかったかな?」


善意で俺を助けたということは悪い奴ではなさそうだ。でも忘れちゃいけないのがここは「夢」であり、

いつこいつが変貌してもおかしくないということだ。


夢の中ではなにもかもが予測不能である。


「...なぁ。お前は今俺の仲間ってことでいいか...?この夢が終わるまで俺を守ってくれると助かるんだ」


ーー「夢?面白いことを言うんだね君は。まあいいよ、私の使命は人を助けることだしね。」


「そうなのか?ならそうしてくれるとありがたい」


幸い敵にならなくてよかった。もしこいつが敵だったら俺は確実に今死んでいた。ただ注意は払い続ける。


ーー「!?あの神々しい光は!」


「神々しい...光?」


光の方に目をやると、殺神。いや違う。



ーーーー虚言の神が立っていた。



「あれは...!!虚言の神だ!!」


ーー「虚言の神...!まさかこんなところで出会えるとは!」


「こんなところで出会える...?」


ーー「ああそうとも...、この神は天界で周りから嫌われている神だと聞いた!嘘しかつかない、しかも演技も上手すぎてキレのあるやつだ。」


「お前知ってんのかよ!?」


どうやらこいつも虚言の神について知っているらしい。ということは、こいつも神か四天王の1人なのかもしれない。それかただ聞いたことがあるだけか。


「聞きたいことがたくさんあるが...あいつをぶっ殺す!!夢で起きたことは現実にも起きるんだ...ここで殺して現実でも殺してやる...!これからの夢でまた出てこなければの話だがな...。」


ーー「えぇ!?虚言の神を殺すか普通!この神は天界でのゆるキャラみたいなものなんだぞ!?」


「はぁ!?でも今はそんなの関係ねぇ!お前は俺を助けてくれるって言ったよな?お前までそのゆるキャラみたく虚言の神になりてぇのかよ!!」


ーー「くっ...!ああ分かった!君の望みを叶えると約束したからな...!」


そういうと手を先ほど静止した海に向け、止まっていた波の時間を進める。波が動き出した途端、手を虚言の神に向け波を操り、神をあっけなく溺死させた。


「は、、..はあ!?お前めちゃくちゃ強くね!?」


ーー「当たり前だ。誰に仕えていると思っている。」


「ゆるきゃら」


ーー「違うわ!!」


とりあえず第一関門を突破したと言っても過言ではない。ここで俺を助けてくれたこいつの名前を聞く。


「よし。名前とか教えてくれ!頑張って今日を越えるんだ!」


ーー「ああそうだな。私はエレストシナ・ブルシズムだ。よろしく頼む。」


「え、えれすと...しなぶるし、ずむ?長い名前なんだな。」


ーー「ん?この世界の人間はみんなこれくらいの長さの名前だが?」


「いや俺の仲間にタチバナとエナっているんだけど」


ーー「あー...それはわかりやすいように下の名前だけ教えてくれたんだ!」


「じゃあ後でフルネームを教えてもらわないとな!」


エレストシナ・ブルシズム。

何だかタチバナやエナよりも長い名前で、覚えるのに時間がかかりそうだと思ったが案外すぐに覚えることができた。


いや2人は短いわけじゃない。今日を越えたらフルネームをしっかり教えてもらおう。


「じゃあ...ブルシズム。これからよろしくってことでいいか?ちなみに俺は...そうだな。おれくんだ。」


ーー「ああ、これからよろしくだ。それにしても変わった名前だな、おれくんなんて初めて聞いたぞ」


「ま、まあ...そこはお気になさらず...」


とか話しているうちにまた新しい試練が俺たちを襲う。空から大量の雷がドカドカと降ってくる。


「か、雷!?これ現実でもあったよな...?」


ーー「お...おれくん...!!気を逸らすな!いつ当たって死ぬかわからんぞ!」


「...そうだな..、、ブルシズム!お前の能力で何とかできるか!?」


俺がそういうとブルシズムは能力を使い、雷を一時的に止めた。

 忘れちゃいけないのはずっと止めてられるわけではないことだ。


「よ..よし!ブルシズム次はどうするんだ!?」


「君の能力を使ってとどめを指してくれ!それでおさまるかもしれない!」


「とどめを指すっていったって..何にとどめを指すんだよ!?対象が空ってことか!?でも俺の能力は一日に一回しか使えなくてもう使っちまったんだわ!」


ーー「夢が終わるまでとか意味のわからない言葉を口にしていたが...夢だとしたら何が起こるかわからん。自分にとって良いこともあれば悪いこともあることを忘れるな!」


「つ...つまり概念を覆せということ...だな!?一回しか使えないという思い込みをなくせと!」


「そういうことだ!早くやってくれ!もう時間がないんだ!」


ブルシズムには驚かせられる。

 夢だとしたら何が起こるかわからんなんて俺が常々意識していたことだ。


もしこの夢で俺に良いことがあるとすれば...


「...くっ!一か八かだ!!えーっと...天気は英語で...なんていうんだ!?」


ーー「天気を英語で...!?ウィザーだ!君の能力は変わってるな!」


「そうか!ウィザーだ...えとー。」



ーーーーー「ストップ・ザ・ウィザー」!!


俺が空に向かって能力を放つと、ブルシズムによって止められていた雷がすべて消え失せた。これは現実でも急に雷が止むことがあったため発動できた。


「や..やったぞー!!夢でもいいことあるんだな!」


ーー「...君の力は英単語を勉強しまくればいつか最強になれるぞ!!それと一回の制限が運良くなしになってくれてよかった!」


一回しかできないという概念をブルシズムがぶち壊してくれた。

そのおかげで俺は夢でもたまにいいことがあるのだと気づくことができた。新たな発見だ。


「あれ...反動がこない」


ーー「反動なんてあるのか!?それならさっきの話は別だな...。」


「多分...だけど、相手に与えた内容の苦しみとかが俺にも影響してくるんだ。物理的に血を出させるとかじゃなくて精神攻撃みたい...な?」


ーー「なるほど...なら今反動が来ないのはその英単語によって自分は別に影響がない...みたいなものだな。天気を止ませたことで自分がそれに苦しむのはないはずだからな。」


少しずつ自分の能力がはっきりしてくる。俺の能力はあくまで精神、魂に攻撃することができるが強い言葉など、例えば死ねとかいう意味の内容を言ったら相手もそれを言われたことみたいに苦しむ。


ーけど自分も誰かに死ねと言われたと感じてしまうのである。


「なぁブルシズム。実はこの夢が終わったら...現実に戻るけどまたこの状況がやってくるんだ。正夢になるとでも言っておく。」


ーー「正夢...か、厄介なものだ。またこれをやらなければいけないのか。」


「あぁ、そこで...その、この夢を越えられたとしたらまた今みたいに仲間になってくれよな...」


ーー「ああそうだな!この縁も必ずや現実で本物にしてみせよう!」


ブルシズムがそう言ってくれた。だがこの夢が終われば今話していることも忘れてしまう。


だからこそ今、この夢の中で「設定」をつけたのだ。


「よし、なんでもかかってこい!俺たちなら必ずやり遂げられる!」


一応時間を確認しようとポケットに手を突っ込むが、違うざらざらした何かが入っている。


「スマホスマホ...え...なんだ.、、これ!」


ポケットの中にはスマホの形をした石が入っていた。俺はこの島に入った時の死んだ現実のペナルティをまだ受けていない。


 名前の次は何の記憶を取られたのかと思っていたが今回は記憶ではなく、「物」だった。


この島に時計はない。街に戻ったら時計はあるかもしれないがこの状況で、



ーーーー時間の進みがわからなくなった。
















いや前書きでちょっとネタバレみたいなことしちゃってすみません!安全性を高めるためなので許してください

新たな人物、エレストシナ・ブルシズム。夢の最後まで彼は変貌をせずにいられると思いますか?

感想とかもいろいろお願いします!

第十二話はもうできてますが木曜18時10分投稿します!

楽しみにしててください!十二話からおれくんの運命の選択で謎が深まっていきます

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