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無色永劫~異端なる貴方へ贈る異世界生活~  作者: 餅宮 モッチー
第2章 『船と海とせせらぎと』
22/23

第2章 #21『道すがら』

美しい自然がどこまでも続く森の中。

ミナトたちが旅を始めて、二日が経っていた。


「なぁ……ミナト。この二年間、ずっと聞きたかったことがある。今、いいだろうか?」


 道中、不意に口を開いたのはキリナだった。


「聞きたかったこと?」


「あぁ……二年前の紅蓮教団の一件だ。あの時、お前はフランに一度――確かに殺されたはずだ。私もこの目で見た。……なのに、その後また立ちはだかった。あれは一体、どういうことなんだ?」


「……あぁ」


 ミナトは少しだけ視線を落とし、息を吐く。


「そろそろ話しておくべきかもな。俺のこと」


 ――そして、語った。


 自分が異世界から来た存在であること。

 あの時確かに“死んだ”こと。

 それでもなお存在している理由――異世界転移者ゆえの“イレギュラー”。


 そして、その代償も。


「……なるほど。にわかには信じ難い話ですね」


「この人……ほんとに……ひとなの……?」


「なるほど、そのような事情があったのか。たしかに話だけなら信じ難いが私はミナトを信じるよ」


 それぞれに驚きは見せたものの、取り乱すほどではない。


(思ったより、あっさりしてるな……)


「カノン、安心しろ。俺はちゃんと人間だ」


「…………」


 声をかけると、カノンは無言でアレシアの背後に隠れた。

こうも露骨だと、人見知りと知ってても傷つくというものだ。だけど…その様子はまるで実の妹を思い出させた。俺の事が嫌いだったのだろう。俺を避ける態度は、目はずっと忘れられるものではない


「長旅だ。楽しく話すのもいいのだが、気付いているか?」


「ん?」


 


「グォォォ!」


 


 森を震わせる咆哮。


 次の瞬間、巨影が木々を薙ぎ倒しながら姿を現した。


「赫竜か……!懐かしいな」


 思い返せばすべての始まりはコイツだ


 異世界に来た実感。

 仁神…シリウスに助けられたあの時が始まり


「よし、俺が前に出る!アレシアはカノンの護衛、キリナはサポート頼む!」


「なっ!?ミナトが前衛だと!?」


「えぇ!?」


「普通、魔術師は後衛だ。前に出るのは私のような近接役だろう」


「いいじゃん。たまには俺も前で暴れたい……っ!」


 ミナトは一歩踏み込み、魔力を収束させる。


「――アクア・バレット!」


 無数の水弾が生成され、一斉に放たれる。

一発一発が岩すら貫く威力――


 だが。


「……あれ?無傷」


「竜種に水属性はほとんど効きません!ミナト様!」


「鱗が硬い上に、属性耐性も高い!」


 キリナは赫竜の攻撃を受け流しながら叫ぶ。

対照的に、彼女の斬撃は確かに鱗へと食い込んでいた。


「なるほどな……なら」


 ミナトは手をかざし、魔力の質を変える。


「――ガン・バレット!」


 今度は無数の“岩弾”。


 それらが高速で撃ち出され、赫竜へと叩き込まれる。


 着弾と同時に――砕ける。


「ダメージを与えて――さらに煙幕!」


 粉砕された岩が土煙となり、赫竜の視界を奪う。


 単なる攻撃ではない。

攪乱を兼ねた一手。


 舞い上がる土煙の中。


 赫竜は苛立つように咆哮を上げ、尾を薙ぎ払った。


 ――ゴウッ!!


 木々がなぎ倒され、衝撃が地面を抉る。


「くっ……視界が効かなくても、勘で暴れてるな……!」


「 舞い上がる土煙の中。


 赫竜は苛立つように咆哮を上げ、尾を薙ぎ払った。


 ――轟ッ!!


 木々がなぎ倒され、衝撃が地面を抉る。


「くっ……こうも暴れられると近づけない……!」


「常に気を伺え!隙があればすぐさま叩くんだ!」


 キリナが距離を取りながら叫ぶ


「今だ!!」


「あぁ、わかってる!」


 ミナトは煙の中で目を細めた。


(鱗は硬い……属性耐性も高い……なら――狙うのは一点だ)


「キリナ!鱗の薄い場所ってあるか!?」


「ある!喉元と――右前脚の付け根だ!」


「オッケー、十分!」


  舞い上がる土煙の中。


 赫竜は苛立つように咆哮を上げ、尾を薙ぎ払った。


 ――轟ッ!!


 木々がなぎ倒され、衝撃が地面を抉る。


「くっ……視界が効かなくても、勘で暴れてるな……!」


「当然だ!竜はそれでも脅威だぞ!」


 キリナが距離を取りながら叫ぶ。


「だが、今が好機でもある!」


「あぁ、わかってる!」


 ミナトは煙の中で目を細めた。


(鱗は硬い……属性耐性も高い……なら――狙うのは一点だ)


「キリナ!鱗の薄い場所ってあるか!?」


「ある!喉元と――右前脚の付け根だ!」


「オッケー!」


 ミナトは地面に手をかざす。


 魔力が流れ込み、大地がわずかに震える。


「足、止めるぞ……!」


 ――次の瞬間。


 赫竜の足元から無数の岩杭が突き上がった。


「グォォォォッ!?」


 右前脚を中心に、動きを封じるように拘束する。


「今だキリナ!」


「任せろ!」


 キリナは地を蹴り、一瞬で間合いを詰める。


 


 振り抜かれる一閃――


 獣化した腕の先の鋭い爪は竜の喉元を狙う


 ――ギィンッ!!


「チッ……!」


 あと0コンマのところで防がれる


 赫竜は怒り狂い、口を大きく開いた。


「ブレスが来るぞ!!」


「アレシア!」


「はい!」


 アレシアにはカノンの護衛を任せている。ブレスの威力が分からない以上カノンを近くに置いとけない


 ブオォッ!


「あっぶなっ」


 間一髪で避ける。だが放たれたブレスに掠めた服は一瞬にして焼き溶けてしまった


(うわぁ…ブレスが当たったところ熱で赤くなってるよぉ)


 直撃したら死それが見て取れた。勿論もう死ぬのはごめんだ。慎重に行動しなければいけない


 


「――ミナト!今だ!」


「了解!」


 どうやら赫竜はブレスの反動で動きが鈍っているようだ


 ミナトは一歩、前へ出る


「実戦で使うのは初めてだけど………」


地に手を付け魔力を注ぎ込む。魔法詠唱及び魔法陣そのものの破棄。自然にも意思がある。魔力を注ぎ込み意志を大地へと送り込むイメージを固める


「いくぞぉ!」


 魔力を送り込んだ大地が手足のような感覚になる。それは正しく成功を意味した


 大地は隆起し、周りの木々もそれに巻き込まれる。その瞬間、赫竜の足元の土が崩れ始める


足場を崩す。それだけでは足りない。


 さらに詠唱と魔法陣を展開し、水魔法を崩れた土に放ち泥のような状況を作り出す。さらに畳み掛けるように炎魔法を放ちその泥を熱で一気に乾かす


 これで――


「これで動きは止めた!キリナそのまま首を!」


 その合図を聞くと同時にキリナは低い姿勢になり赫竜に向かい走り出す。低い姿勢からはまさに獣人。獣のような鋭さを感じられ威圧すらある。


 そして改めて爪を突き立てる


 赫竜の喉元へ。


 


 ――ザシュッ


 


「ッ!!」


 直撃。


 赫竜の首は見事キリナの爪で切り裂かれる


 血が噴き出す。それは戦いの終わりを意味する…そう思ったが…


「うおぉい!あんちゃん達ぃ!そっちが片付いたならこっちも助けてくれぇ!」


 


「うぇ!?」



 なんと、声の元へ目を向けると空で旋回する赫竜とその竜に咥えられてる男がいるではないか


「ヘマしちまってなぁ!このままじゃお陀仏だぁぁ!」


「キリナ…!はさすがに届かないか!」


「すまん!だが飛んでいる相手なら羽を狙え。さすがの赫竜も羽までには鱗はないし、羽が傷つけられれば落ちてくる!」



「おっけぇー!」


《ガン・バレット!》


 岩の弾丸を放つ。しかし――


 


 ドォォォォン……!!


 


「ダメだ!速すぎる!」



 空を飛ぶ赫竜は正に水を得た魚の如く、全ての弾丸を避ける


 


「……ミナト様!私がやります!」


「アレシア!?」


 突然アレシアが前に出ると、陰魔法により出現したゲートから大量のライフルが出現する。


 ガン・バレットとは比べ物にならない物量攻撃。魔力で生成、そして放つの工程もなければ補充もない。無数のライフルから絶え間なく放たれる弾丸に赫竜も避け切れず羽を撃ち抜かれ体制を崩し落ちる


「うぉぉぉぉ!頼むからキャッチしてくれよぉぉ!俺ぁまだ死にたかねぇぇ!」


「キリナ!首を落とすと一緒にあの男を頼むよ」


「了解した」




 そして、無事竜の首は落ち、男もかすり傷等はあるが無事助けられた



「ふぃ〜!助かったぜ!あんちゃんに獣人の姉ちゃんにシスターの姉ちゃん!」


「無事でよかったですよ。まさか群れないって聞いていたのに、2体も近場で出るとは思いませんでした」


「そ、それは俺のせいなんだなぁこれが…」


「はい?」



 どうやら魔獣狩りをしてたところ寝ていた赫竜を起こしてしまい。戦闘をしていたのだが、赫竜のブレスを避けたところ少し離れた場所にいた赫竜にそれが直撃。怒らせてしまったそうだ。


「んで、さすがに2体も相手は一人でキツイと思ってな。逃げに徹しようと思ったらァこのザマよ」


「……ははは。災難でしたね」


「ほんとだぜ…ところでまだ名前名乗ってなかったな!俺の名前はアルト・ヴェルグ。改めて助けてくれてありがとよ!」


「俺の名前はミナト。そしてこっちの獣人のメイドさんがキリナ。シスターさんがアレシア。そしてアレシアの後ろの子がカノンです」


「よろしく頼む」


「よろしくお願いいたします」


「…」


「おうおうよろしく頼むぜ!まさかちびっ子までいたとはなぁ。ところでこんな所で何してんだ?」


「世界を旅しているんです。と言っても旅を始めて2日程しかまだ経っていませんが」


「旅を?目的地は?」


「目的地は…特に決めてませんね。世界を知るそれが俺の旅の目的なので」


「なるほどねぇ。でも、その旅……だいぶ長くなるだろう?その小さな子も同伴はそこの二人の姉ちゃんがいてもきつくねぇか?」


「この子は旅の途中で別れる予定ですよ。元々違う理由で着いてきてもらっていますから」


「そうなのか?」


「この子の両親が離れた場所で共働きしているようでそこへ送り届けるんですよ。場所は確か…」


「ミリオン帝国ですよ」


「そうそう。ありがとうアレシア」


「いえいえ」


「ミリオン帝国?てことはその子の両親は魔術研究者か魔法魔術専門学校の教員かなんかか?」


「なんでそうなるんです?」


「知らないのかミナト」


「ミナト、ミリオン帝国は世界で1番魔法と魔術の研究に力を入れている帝国だよ。元々は普通の帝国だったんだがな《七星の大魔法使い》がその帝国の危機を救った後から魔力と魔術の研究に力を入れるようになったんだよ」


「そうなのか……ミリオン帝国行ったら少し勉強していくのもありかもしれないな」


 正直、この2年で魔法と魔術は色々知ったがまだ知れることは沢山ある。学校があるなら尚更勉強にもってこいだ



「なるほど話はわかった…けど、そのミリオン帝国に行くなら早くても1年の旅になるな」


「そんな遠いんです?」


「あったりめぇよ。まぁこっから真っ直ぐ向かうならその国行くまでの中間に船上都市クラシンもあるし、そこを中継にゆったり行くのが定石だな」



「なるほど、いい情報をありがとうございます」


「なぁ?もし良かったそのクラシンに俺も向かうところなんだよ。そこまでにはなるが案内させてくれねぇか?」


「え?良いんですか?」


「あったりめぇよ。助けられた恩もあるし、俺は旅にも慣れてる。だから多少の知識はあるし、何よりあんたらにとっても戦力は少しは多い方がいいだろ?」


「ですが…」


「ミナト。この男は嘘はついてないようだし、悪意もない。それに人も多い方がいいのも事実。お願いすべきだ」


「なら、お願いいたします」


「おう。任せてくれ。あと、今後話す時は敬語はやめてくれ。恩人に敬語使われるのはこそばゆいしな」


「…………分かった。よろしく頼むよアルト」


「おうよ」


 新たな仲間。案内人『アルト・ヴェルグ』を迎え、一行は船上都市・クラシンへと目的地を改めるのであった

 

 


 


 



 

 

 

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