60 好きな人の苦悩
生々しい争いの内容が出てきます!
ルーク「地位とその内容は聞いたか?」
『はい、聞きました。断ると思うってサヒルさんは言ってましたけど…』
ルーク「あぁ、そのつもりだ」
『光栄な事ですけども』
ルーク「争いの中で悩んでいたんだ」
『悩んでいた』
なんで争いをするのか、とか
自分は何をやっているんだ…とか?
ルーク「国を護る為に戦っていると思っていたが、俺は国を傷付けているのでは…とな」
傷付ける?
『護るのに傷付けるですか?』
ルーク「そうだ。ソルヤ王国は護っているが、同時に敵国、タリヤ国を傷付けているのでは、と、平和の為の争いで傷つけ合っては意味が無いだろう」
『そうですね』
一理ある
『平和の為の争いって、矛盾してますもんね。争いって…何も生まないですから』
ルーク「サナの言う通りだ。それに俺は人殺しだ、貰う立場にない、出来れば武尊も断りたいが」
そっか
『えっと…私にはなんて言ったらいいか』
ルーク「サナは…人殺しと一緒に居たいと思うか?…俺が怖くないか?」
うーん…
ルーク「素直に言ってくれて構わない」
『正直に言って分からないです。ルークさんだから今、怖くないって思いますけど、ルークさんじゃなかったら怖いと思ってます』
ルーク「…」
『争いで人殺しをしたというのは分かります。それが必要だった事も分かります。それでルークさんは悩んでたんですよね?』
ルーク「あぁ、初めて殺した時の…あの感覚は…何とも言えなかった。俺はただの人殺しだ。人殺しの俺が、良い生活なんて送ってはならない」
『ルークさんは、自分が奪った生命について沢山悩んでいるのであれば、その気持ちを持ち続けるべきと思います』
ルーク「答えを出すな…と?」
『多分答えなんて出ないんだと思います。だって、生命は、尊いものですから。それに、悩んでいる間はその人たちの事を忘れないと言う事になりますから。忘れないでください』
ルーク「覚えていることが、弔いになる…ということか」
『はい、それにルークさんは人殺しをしたくないって思ってるんですよね?』
ルーク「あぁ、仮に今、争いが再び起きても、俺は参加しない。逃げる選択をするだろうな」
『逃げる事も、護る為には必要です。それなら私はルークさんを拒む理由は無いですよ』
ルーク「…」
『私にはルークさんの気持ちは分かりませんけど、一緒に悩んだり、苦しんだり、泣いたり出来ます』
ルーク「ありがとう、サナ」
『いえ、言葉が見つからなくって、伝わったか分かりませんけど、私が言いたい事は言いました』
ルーク「…そうか、俺の悩みを聞いてくれたついでに、もう1つ…ちっぽけな悩みを聞いてくれないか?」
『私に出来ることなら』
ルークさんのちっぽけはちっぽけじゃない気がするけども
ルーク「俺は、歳を重ねるごとに怖いと思うものが増えたんだ」
『怖いものですか、差し支え無ければ教えてくれますか?』
ルーク「争いを前提とした訓練を兵に教える事、このまま生きていくこと、大切な人を失うこと、最近では…眠る事だな」
『眠る事…ですか。眠る事以外は、理由は分かる気がしますけど』
ルーク「この歳になると、生命を落とした者よりも長く生きている事になる。そうしたら、夢に出てくるようになるんだ」
『生命を落とした人たちがですか?』
ルーク「あぁ、奪った者もな。《何故俺は生きられずお前は生きているんだ》《俺には妻も幼い子も居た》《死にたくなかった》《殺したお前を恨んでやる》…と、俺が安らぐ事を、良しとしない」
『そ…うなんですね』
ルーク「このまま生きていると、俺は…この悩みから逃げてしまいたくなる」
全然ちっぽけなんかじゃない
私が今、気休めの言葉を言ってもルークさんには響かないと思う
『素直に言いますね。私はルークさんに掛けられる言葉は無いです。だって、私が何を言ってもルークさんには届かないと思うんです』
ルーク「…そうか」
『だから、私の今まで生きて中のちっぽけな苦悩を聞いて欲しいです』
ルーク「サナの苦悩」
カタル「そうだね、だけど、それはルークかサナちゃんの部屋がいいんじゃない?」
『あ、カタルさん…どうしてここに?』
サヒル「もう床に就く時間ですよ」
『えっ!』
分からなかった
二ビア「お風呂は明日の朝でいいから」
『ありがとう』
ルーク「…そうだな」
『では、ルークさんの部屋で、聞いて貰ってもいいですか?』
ルーク「あぁ…カタルたちはどこか聞いてたんだ?」
カタル「…珍しいね、人の気配に敏感なルークが気付かないなんて、でも今入って来たからサナちゃんが悩みを聞いてもらおうとしてる所だよ」
『そうだったんですね』
サヒル「ここはもう閉めますから」
『すみません、長々と居座っちゃって』
サヒル「いえ、大丈夫ですよ」
ルーク「行くか」
『はい』




