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Baseballスター☆ガールズ!  作者: ぽじでぃー
第七章 2回戦 ~vs河咲女子高~
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91/150

90話 なくて七癖

 真中への初球。

 119km/hのストレート。


 真中のフルスイングの後、バックネットの大きな音が響き渡る。


「ちっ」


 ストレートを読んでいた真中は悔しそうに舌打ちをする。


(……さっきの4番と違って。芯は、食わなかったけれど。タイミングは、合ってたみたい)


 余裕そうな華園の顔を見て、真中は恨めしそうに睨み返す。

 中学の時の自分とは違う、バットで見返してやる、と。


 ……だが、そんな思いと同様に、華園も中学の頃とは異なる。


 2球目。


(ライズ、ボール……!?)


 今までのそれとは違う。


 浮き上がるのは錯覚だ。

 錯覚でしかない。


 錯覚……そう、信じたかった。

 今までは、芯は外してもバットには当たった。


 それが、全く当たる気がしない。

 ストレートも、ライズボールも、チェンジアップも、いずれもが格段にレベルアップしている。


 だが真中も意地で粘り続け、迎えた7球目。


「ジャイロ……!」


 加速、するはずがない。

 だが、理屈寄りの真中が、物理法則の方を疑ってしまうほど。

 球が自らの意志を持っているのではと思うほど。


 ガキィ! と、バットの根っこに当たった。


「セカンド、二塁へ!」


 胡蝶が打球方向のセカンドに対し、ミットで二塁を指しながらゲッツーを促す。


 4―6……3。


「アウト!」


 流れるようにそれは、ファーストのミットまで行き届いた。


「……!」


 ぎりぎりと歯を噛み締め、親の仇でも見るかのような目つきで、真中はマウンドを降りていく華園を刺す。

 ヘルメットを投げ捨てるのを何とか我慢して、打ち震えながら真中は前傾姿勢を崩さない。


 そんな真中を横目に、華園は指をパチンと鳴らすと、両手を広げて迎えるキャッチャーの胡蝶の胸に満面の笑みで飛び込んだ。


 もう、野球マシーンとは誰にも呼ばれたくない。

 もう、感情のない、ただ球を投じるだけの道具じゃない。

 それを、あの怪我をした試合の相手だった真中には、どうしても態度で伝えたかった。

 だからこそ、無駄球にさえも全力投球で見せた。


 それが、仇になるとも思わずに。


「……分かった」


 三塁コーチャーから戻ってきた左門がヘルメットを置きながら呟いた。


「何が分かったんですかー? 左門さんー」

「ライズボール、あと、ジャイロボールやね。その時の癖が、分かった気がします」

「癖、ですかー?」


 監督は左門以外を守備につかせて、座り込んで話し込む。


「で、何だったんですかー、癖というのはー」

「口で説明するより、監督動画撮ってましたよね。うちに1回見せてください」


 いつの間にか監督は自分の携帯だけでなく、二宮の携帯を許可も取らずに使っていたのだが、おかげで同時に見比べることができた。


「やっぱり、そうやわ。頭にずっと引っかかってたのは、向こうの3番の初打席やったんや」

「相手の3番って、空木さんでしたっけー。確か初打席は強烈な左門さんへのライナーでしたけどー。……それがどうかしましたかー?」


 左門は動画を何本か見て、とあるところで両方の携帯の停止ボタンを押した。


「監督、見てください。ここ」


 左門はそう言って2つの携帯の画面を指差した。


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